7.最初のミッション。友達を作ろう!
担任のお陰で、俺は何とかハインセさんの住む家に辿り着いた。
「ありがとうございました。」
そらとぶ絨毯から降りて担任へ礼をする。
「礼はいらん。………それにしても、ハインセはまだこんなところに住んでいるのか。」
「前から住んでいるんですね。」
「あぁ。だが、貴様も共に住むならアイツに家を変えることを勧めろ。何せこの辺りは人攫いが多いからな。」
担任の言う人攫いとやらは既に出会った。ここらは本当に治安が悪いようだ。勿論、そういうことなら引っ越したいが居候の身なので我儘を言うわけにはいかない。
そんな考えを見抜いたのか、担任は俺にぴしゃりと告げる。
「くだらんことを考えるなよ。貴様のようなガキは大人しく勉強をすればいい。その妨げになるようなことは、ハインセにでも取り除いてもらえ。」
そうは言うものの、俺には出来そうもない。ハインセさんや担任は俺に学生という役割を全うしてほしいようだが、学校なんてしばらく行っていなかったのだ。善き学生になる自信はない。
「その、でも俺住まわせてもらってますし。あんまり我儘は言えないですよ。」
「甘えるな。我儘が言えないだと?なら言えるようにすれば良い。何もせず諦観するのは勝手だが、人生を浪費するのは賢いとは言えないぞ。」
それだけ言って担任は帰ってしまった。何もせず諦観する。確かにいつの間にか諦めぐせがついていたのかもしれない。
望みがあるならほんの少しでも頑張ってみようかな。ハインセさんの元ならそれが出来る気がする。
「ただいま戻りました。ハインセさん、その、お願いがあって。」
寝っ転がって酒を浴びるように飲むハインセさんに話をする。
「この辺り、人攫いが多いじゃないですか。俺は強くないのでまた狙われたら危ないと思うんです。なので町の方にでも暮らそうと思って。それで、暮らすためのお金を稼ぐために仕事をしたいんです。オススメの仕事ってありますか。」
「ヒック。…あ?なら町に引っ越せば良いんだろ?わざわざオメェが働く必要はねぇ。」
「そういう訳にもいかないです。せめて何か手伝いとか、条件とかをつけてください。お願いします。」
ハインセさんは子供が働く必要なんてないと以前言っていた。それでも、ただ貰ってばかりで生活するのは落ち着かない。
だから何か手伝いでも、学業の条件でもいいから目標が欲しかった。そうして期待した眼差しでハインセさんを見る。
彼はポリポリと頭をかいて口を開く。
「あー、条件…。そうだオメェダチは出来たか?」
「え?友人は…出来てない、です。」
「そんじゃ、当分の条件はそれだ。まずはダチを作れ。それからは適当に考えとく。」
友人をつくる。俺の異世界最初のミッションはこれに決定したようだ。




