68.取り掛かれ!彫刻撤去作業!
オッヘルくんに話を聞くため、俺は彼の手伝いをしていた。その内容は行ってみれば分かる、ということで大人しく彼について行く。
やって来たのは学園の敷地内にある植物園だった。今日も今日とて緑が生い茂るそこに、ふと異物があるのを発見する。
異物は緑に似つかわしくない灰色をしており、素材は随分硬そうだ。何より、造形が人をもしているものであり、それは当に彫刻であった。
「………この彫刻、まさか、オッヘルくんの…?」
疑問を口にすると、鼻を鳴らしてオッヘルくんは答える。
「勿論。さっ、これを片すとしよう。君に手伝って欲しいのは学園内に配置した彫刻の撤去なのだからな。」
「え、えっと、ちょっと待ってね。」
「うん?」
俺の静止にオッヘルくんは首を傾げる。だが、おかしいのは俺でないはずだ。何故そう思うかと言うと、肝心の彫刻にある。
不思議と彫刻の形は目前の人物、オッヘルくんにそっくりなのだ。そして、問題はその先にある。
オッヘルくんそっくりの像は、何と全裸なのだ。一糸纏わぬ姿であるということは、恥部も丸見えということ。
それを加味すると、まさか、この像はオッヘルくんが自身をモデルに作った訳では無いはず。そうだ。そうに決まってる。
「オッヘルくん。この像は、誰が作ったの?」
「?僕だが。」
「…………誰がここに設置したの……?」
「それも僕だ。」
「…………。」
なんてことだ。俺の前にいる人物は、露出癖でも持っているのか。でなければ、公衆の面前に恥部をさらした自分の像なんておけるはずない。
未知の存在に恐怖する。一体どういう発想で、この像を作って設置しようなんて思うんだ。
「うまく造れているだろう?僕を隅々まで再現したのさ。」
「ぜ、全裸だけど、いいの?その、恥ずかしさとかは、」
「無いね。美しい僕の身を目に出来るんだ。僕は僕に生まれたことに感謝するね。」
そんなことを誇らしげに言う。その考えは素晴らしいかもしれないが、出力されるのが自身の全裸像なのは中々見ないと思う。と、考えつつ、俺はその像の撤去作業に取り掛かる。
重さはかなりあるので両手でしっかり持つ。奇しくも、お姫様抱っこのような形になる。
「うーん。抱えられていても僕は華になるなぁ。」
「そ、それは良かったね。……これを部室に持ち帰るんだよね?」
「あぁ。残り13個ある。先は長いが張り切っていこうじゃないか。」
残り13個。その言葉に驚きを隠せない。何故そんなに沢山作ってしまったんだ。まぁ、今更どうにも出来ないので、俺は黙って従うことにする。
少し怖いので、像とは目を合わせないようにしながら部室へ向かう。




