67.ようこそ!芸術倶楽部へ!
オッヘル・オリヴァへ会うために、俺はエリーさんの後をついて行く。やって来たのは『芸術倶楽部』という木の板が掲げられた教室だった。
「オッヘルくんは倶楽部に入ってるの?」
尋ねると、エリーさんは頷く。
「えぇ。ここはアイツが作った倶楽部よ。」
「1年生なのに凄いね…。」
そんなことを話しながら俺達はノックをして部室へと入る。すると、目に入ったのは壁に立てかけられた絵画や部屋の中央に置かれた彫刻だった。
誰の作品かは知らないが、きっと凄い人のものなのだろう。美術館に展示されているような作品に思えた。
触れてしまわないようにやや離れて観察していると、ごたごたした物陰の奥から1人の男子生徒が姿を現す。
「おや?エリーくんじゃないか。何だい。ようやく僕の芸術を理解したのかね。」
「悪いけどアタシの意思でアンタに会いに来たわけじゃないわ。客人を連れてきたのよ。」
エリーさんに促されて、俺はオッヘルくんに用件を伝える。
「こ、こんにちは。俺、1年のヤシキ・ルイターン。実は君に話があって、」
「ふむ。話ならそこに腰掛けてするとしよう。立ち話ではなんだからね。」
「う、うん。」
緊張しながら、オッヘルくんに勧められた椅子へと座る。円形の木組みで出来た椅子は中々良いデザインであり、伸びた背もたれが丁度フィットした。
ほんの少し椅子を堪能すると、俺は早速本題を切り出す。
「その、君に聞きたいことがあるんだ。君は、神に直接会って仕えてるって聞いて。だから、神について詳しく教えてくれないかな。」
あまりうまく纏められなかったが、吐いた言葉は戻せない。観念して相手の出方を伺う。
オッヘルくんは俺の言葉で目を細めると、間を置いて口を開いた。それまでの時間は長く感じられた。
「僕が主に直接会ったことは誰から聞いたんだい。」
「研修医さんだよ。」
「成る程。彼女が…。はぁ。」
彼の溜息に肩を震わせる。もしかすると何か選択を誤ったのだろうか。今からでも挽回するために言葉を足した方が良いかもしれない。そんなことを思っていると、オッヘルくんは腕を組んで言う。
「話をするのは構わない。が、ひとつ、条件がある。」
「条件って?」
「なに、難しいものではないさ。ちょっとした片付けや手伝いだ。のんでくれるかい。」
「う、うん。勿論。」
随分ぼんやりとした条件だが、彼からは特に悪意を感じられるわけではない。その為、俺はひと息置かずに頷く。
それを受けたオッヘルくんは満足そうにすると、俺へ手を差し伸べた。
「それじゃあよろしく頼むよ。ヤシキくん。」
「よろしく、オッヘルくん。」
「よし。では、ついてきてくれ。早速働いてもらおう。」
彼に言われるがまま、俺は手伝いを始めることにした。




