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49.グレーゾーン!賭け球形遊戯《ラウンダン》対決!

 授業にて始まった球形遊戯ラウンダンのゲーム。俺はエリーさんと対戦をすることとなったが、頑張りむなしく3-0で大敗してしまった。


 「は、はぁ、はぁ。強いね、エリーさん。」

 「まっ、得意だもの!」


 彼女はそう言って鼻をこする。運動が得意というわけではない自分とって、随分羨ましいことだ。

 さて、エリーさんとの対戦を終えたので次は誰と勝負をしようか悩んでいると後ろから早速挑戦者が現れた。


 「ヤシキくん。お疲れのようですね。」


 声の主はクロンスさんだった。彼女もまた同じ授業を受けているので、此処にいるということは不思議ではない。のだが、彼女が手にしているものが何とも不思議だ。

 クロンスさんは何故か腰に杖型の神具を携えて、両手にはいっぱいのお菓子を持っている。今日はハロウィーンではないはずだが。


 「クロンスさん…。そのお菓子は一体…?」

 「譲ってもらったんです。勝ったお礼に。」

 「へ、へぇ。…じゃあ、お互い球形遊戯ラウンダン頑張ろうね…。」

 

 そう言って彼女の前から立ち去ろうとするものの、クロンスさんは直ぐ様俺の前に立ちはだかって口を開く。


 「ヤシキくん。球形遊戯ラウンダンなら私としましょう?」

 「…………い、良いけど、俺はお菓子とか持ってないよ…。」

 「構いません。どうせ一緒にお昼を食べるんですから、その時に何か奢ってください。」


 どうして食べ物を賭けて戦うことを念頭に話を進めているのか。どんだけ食い意地を張ってるんだ、と言おうしたがクロンスさんの瞳は有無を言わさぬ圧があった。

 気圧される俺の代わりに、付近にいたエリーさんが彼女に話しかける。


 「クロンスちゃん。アンタ、食べ過ぎよ!こないだの健康診断だっていい結果じゃなかったじゃない!」

 「…………私の人生は太く短く、です。好きなように食べて死ねるならそれも本望です…!」

 「馬鹿言ってないで抑えなさいよ!」


 俺もそう思う。正直な所、友人には長生きして欲しい。だからこそ、クロンスさんにこれ以上食べ物を与えるわけにはいかない。


 「……クロンスさん。勝負、受けて立つよ…!」

 「そうこなくちゃですね!」

 「ヤシキ。絶対勝ちなさい。クロンスちゃんの健康のためにも…!」

 「勿論!」


 闘志を燃やしながら、俺はコートにつく。この勝負、負ける訳にはいかない。

 

 先行はクロンスさんだった。彼女はボールを一度、地面にバウンドさせたかと思うと杖を構える。ボールに向けた杖を振るうと、それに対応してボールも共に動く。

 動いた先は、勿論、俺のコートだ。俺の後ろには通すまいと、此方もボールへ杖を向けた。集中をしてボールを動かそうとする。がしかし、見つめていたボールの形がブレる。


 それはまるでボールが2つや3つに増えてしまったような、そんな感じだ。しかも、それぞれが別の軌道を見せる。すべて本物というわけでは無いのだろう。恐らく、あまりの素早さに残像を見せているだけに過ぎない。

 のだが、どれほど見つめても実体のあるボールがどれだか分からない。


 混乱している俺に、ボールは決して待ってはくれない。気付いたときには背後から一度、ボールが地面を打つ音が聞こえた。

 振り向くと、白い玉が転がっていた。


 「よしっ!まずは1点です!」

 「くっ…!」


 恐るべきクロンスさんの食への執念に俺は太刀打ちできないようだ。その後もボールのスピードに翻弄された俺は3-0で敗北をしてしまった。


 「私が勝ったので、お昼、楽しみにしてますね!それでは私はこれで。……………すいません!私と球形遊戯ラウンダンのゲームをしませんか!」


 遠くの方でクロンスさんが他の人を誘う声がした。残念ながら、彼女の食欲を抑えることは出来なかったようだ。


 「大丈夫よヤシキ。アンタの敵取りと、クロンスちゃんの胃の平穏を守るのはアタシに任せなさい!」

 「エリーさん…!頑張ってね…!」


 親指を立てたエリーさんはそうしてクロンスさんに勝負を挑みに行くのだった。


 結果は残念ながら、彼女の負けだったが。


 クロンスさんの食欲、恐るべし、だ。


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