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48.球形遊戯《ラウンダン》をしよう!

 少女と戦った翌朝、彼女は俺たちの前に再び姿を現した。初めは警戒こそすれど、既に何かを企んでいる様子は無かった。


 「お姉ちゃん、お兄ちゃん!おはよう!」

 「おはようございます。」

 

 挨拶を返すクロンスさん。昨日のことはあまり気にしていないようだ。しかし、その隣のエリーさんは違った。


 「…………おはよう。………アンタ、エリーお姉ちゃんに挨拶は?」

 「……………。」


 少女は舌を出し、顔を背ける。無論、エリーさんが怒らないはずもなく。


 「アンタねぇ…!あっ!こらっ!待ちなさい!」


 エリーさんの怒号とほぼ同時に少女は走り去っていった。それを追って彼女もまた白い廊下を走る。どうやら2人は未だ仲良しとはいかないらしい。


 「2人は元気ですねぇ…。」

 

 随分呑気なことを話すクロンスさんと共に、俺は先に教室へと行くことにした。


***

 「精神統一。さすれば火もまた涼し。これより授業を始める。」


 おかしな文言共に授業の開始を告げたのは、体育の教師だった。俺は今、授業のために森にいた。


 「早速だが、此処から神具をとり修練を始めるのだ。」 


 彼の言う通りに、俺は先生のそばにある杖状の神具を手に取る。 今日の授業は球技のようなスポーツ、球形遊戯(ラウンダン)だ。

 ルールは単純で2面のコートを使って、相手よりも後ろにボールを通すだけ。通した回数がそのまま点数になり、それを競うといった競技だ。無論、ボールを操る時は神具で魔法を使う。


 「ヤシキ!やるわよ!」

 そう声をかけてきたのはエリーさんだった。彼女は杖状の神具でなく、黒革の手袋型の神具を身に着けていた。


 「うん。……エリーさん、その神具を使うんだね。」

 「えぇ!運動に自信があったら、こっちのほうが有利なのよ?」

 「じゃあ、俺は杖の形の方がいいかな…。」


 こうして早速球形遊戯(ラウンダン)のゲームを始める。最初は俺がボールを投げて良いようだ。

 ボールを空へ投げて、神具を向ける。僅かな手のブレがボールに反映されているのを確認すると、俺は神具を振った。それに呼応したボールは相手のコートへ向かう。


 そのままエリーさんの後ろへ到達するかと思ったが、そうはいかなかった。速度を出したボールを、彼女は鷲掴みにする。


 「そんな真っすぐ投げちゃ意味ないわよ。点を取るならこうしなきゃ、ねっ!」


 力みながらボールを此方に投げつける。かと思うと、狙いを定めるように神具を身に着けた掌をボールに合わせる。

 その手を思い切り下へ動かすと同時に、俺のコートに入ったボールも下へと動く。丁度、俺の股下をくぐり抜ける形だ。つまり、ボールは俺の後ろを通り抜けてしまった。


 「よしっ!まずは1点ね!3点取ったらアタシの勝ちなのよ?うかうかしてたらすぐ勝負はつくわね!」

 「ま、まだまだ!」


 先制点を取られたが、何とか食いつこう。そう思って俺は神具を構えた。

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