44.最後の休み!何故か教会の掃除へ!?
夏休み最終日。夏季講座詰めだった俺は、今日こそゆっくり過ごそうと思っていた。がしかし、今の俺は家ではなく学校にある教会にいる。というのも、教会の掃除をするためだ。残念ながら、当番に選ばれていた俺は溜息をつきモップを手にする。
「はぁ…。もう一人の当番の人は来ないし…。」
モップが地面を擦る音が静かに響く。
床を終えたら次は椅子や像の番だ。濡らした雑巾片手に、中央にある像へと近付く。それは、神を模したものだそう。見てみると彫りの深い男性が両手を広げている。
「神様ってこんな感じなんだ…。俺の見たのと違うかも…。」
そう。俺は転生した時に神様を見ている。やけに事務的な態度をとっていたが、あれは神様なはず。だが、その時に会った神様は女性の体つきや声音だった。像のような男性的な特徴は無かったはずだ。
まぁ、そんなことはどうでもいいか。像を拭き終えた俺は長椅子を拭きにかかる。と、その瞬間、足元に置いていたバケツに突っかかり転んでしまった。
音を立ててバケツが倒れ、中の水が床に散乱する。折角床を綺麗にしたというのに、これではやり直しだ。
「はぁ…ついてないな…。いや、不注意な俺が悪いんだ…。」
どんよりとした気分の中、重い体を屈める。今日は曇り空だし、気分も晴れるわけない。なんて思っていると、
「ヤシキ!頑張ってるかしら!手伝いに来てやったわよ!」
「ヤシキくん。差し入れも持ってきましたよ。」
「!エリーさん!クロンスさん!」
空いている扉から姿を見せたのは、友人であるエリーさんとクロンスさんだった。
「今は床掃除?なら、アタシ達は窓か椅子でも拭こうかしら。」
「ありがとう…。助かるよ、本当に。」
「何だかお疲れみたいですね。小鳥のアイス食べますか?」
「あ、ありがとう…。た、助かるけど、大丈夫かな…。本当に…。」
救世主の如き現れた2人のおかげで、面倒だった掃除も楽しいものへとなった。
そうして掃除を進めていると、僅かな時、視界へ黒光りする物体が入った。これは以前見た虫だろう。俺は燭台を拭く手を止めて、静かに虫から距離を取る。
「?どうしたのよ?」
「む、虫が…あっ!?飛んだ!」
「虫?成る程!私に任せて下さい!」
そう言ったクロンスさんは飛び立つ虫目掛けて、跳躍する。椅子を踏み台として飛び跳ねた彼女は見事、虫を手のひらで包み、直ぐ様教会の外へと出していった。
「あ、ありがとうクロンスさん。流石だね…。」
「いえいえ。……あっ、あの虫で何か作れたかもしれませんね…。」
「それは辞めとこう!」
こうして夏休み最後は掃除に明け暮れた終わった。それでも、2人のおかげで悪くない1日だったと思う。




