3.チートスキルを貰いました。いや、スキルって何だよ。
目を開けるとそこは森の中だった。影ばかりの鬱蒼とした森は少し寒い。
というか、転生というなら赤ん坊からではないのか。体の何処をどう見ても元の俺と変わってはいない。
『ヤシキ様。聞こえますか。どうやら此方のトラブルで貴方様の新しい体を用意することが出来なかったようです。』
女神様でもミスはするんだ。何だか親近感が湧く。
『なので補填としてヤシキ様には他者より優れた能力をプレゼントさせて頂きます。』
もしや、チートスキルというやつか。ここがどんな世界かは分からないが、神様に贈り物を貰えるのは嬉しい。
「それで、どんなチートなんですか?」
『あらゆる能力を見定める目です。』
「……………つまり?」
『ステータスオープンと唱えて下さい。そうすれば分かります。』
いいえ、そうしなくても分かります。それでもやってみます。
「ス、ステータス…オープン。」
少し恥ずかしがりながらもステータスオープンと唱える。幸い周囲には誰もいない。
俺の声に呼応して、目の前の空間には俺の名前と身体能力や学力の数値いわゆるステータスが表示された。
「えっと、これだけ、ですか?」
『………?はい。他に質問もないようでしたら、私はこれで。』
ドライな女神様はそれっきり話しかけては来なくなった。他の業務に移ったのだろうか。
それにしてもステータスを見ることだけがチートスキルとはこれいかに。どうせならもっとド派手な能力が欲しかった。
「…………いや、もしかすると後々進化するかもしれないよな。うん、きっとそうだ。」
自身を鼓舞して気を取り直す。そして、取り直した所で気づいてしまった。
俺、衣食住はどうすればいいんだろう。