29.レッツゴー!テーマパーク!②
テーマパーク内のアトラクションを楽しんだ俺達は昼食を終えた。休日もいよいよ後半戦、といったところか。
午前中は激しいアトラクションが多かったので、クロンスさんは見かねてゆったりとした場所を選んだ。そして着いたのが観覧車だった。
見てくれは籠のようなものであり、どうやらそこに人が入るらしい。籠には植物の蔓が巻き付いており、それらが籠を動かすのに一役買っている。
窓がなく、蔓に支えられているそれに乗るのは少し恐ろしかった。だが、クロンスさんとエリーさんが先んじて乗ったので俺もついて行った。
籠は俺達を乗せると弧を描くように上昇を始める。ゆったりとした動きの最中、俺はふと籠の中から外を眺めた。
そこからはテーマパーク全体が見える。以前いた世界の遊園地よりもいささかメルヘンなこの場所は、童話を思い起こさせた。
赤茶色のレンガで造られた建物や、クリーム色をした建物が視界に映る。あれらは売店や食事処だ。
そうして遠くを眺めていると、向かえに座るエリーさんは欠伸をしながら言う。
「こんなにゆっくりだと何かしたくなるわね。」
「な、何かって?」
俺は嫌な予感がしたので聞いてみる。
「そりゃあ勿論、スリルを求めるのよ!こんなふうにね!」
得意げになったエリーさんは、狭い籠の中で揺れ始める。それに呼応して俺達の入っている籠も左右に動く。
「エリーさん、止まろう!?」
安全装置も何もないのだから、籠の揺れは恐怖でしかない。俺は彼女を必死に止める。
「えぇ?でもほら、スリルはあったほうが良いんじゃないかしら。」
「スリルにも種類があるよ!命の危険を感じるほどのは要らないよ!」
「そうです!今すぐ止まらないなら、エリーちゃんを突き落としてでも止めますからね!?」
あまりの恐怖にクロンスさんはそんなことを叫ぶ。だが、俺もかくなる上はそうしてエリーさんを止めようと思う。どうか、俺達に友を手にかけさせないでくれ。
「わ、分かった。やめるわよ。…………ごめんなさいね。」
俺達の慌てようが伝わったのか、エリーさんは揺れるのをやめる。意思がしっかり伝わったようで何よりだ。
そんな調子で俺達はアトラクションを次々回っていった。気付くとすっかり暗くなっている。しかし、まだ帰ることはない。何故なら、これからパレードがあるからだ。
パレードが行われる予定の場所へ向かい、よく見えるようにする。
思えばこんな遅くまで友人と遊んだのは初めてだ。何せ前世ではそんな暇がなかった。遊ぶくらいならバイトの時間を増やしていたし、中学を卒業してからは働き初めたから。まぁそんな仕事も死んだことで2年で終わってしまったが。
そうして感慨にふけっていると、ようやくパレードが始まった。魔法によるのか、星のように瞬く物体が光の尾を引いて空中を飛び回る。暗い夜には眩しすぎるくらいに。
それを先導するのはノースリーブに短パンの涼し気な格好をした集団だ。テーマパークのキャストなのだろう。彼らは手を組み、星を自由自在に動かす。原理は分からないが、神託の力によるものだろう。
「魔法とか、神託の力とかって凄いんだね。……俺、今日ここに来れて良かったよ。」
ふと、口に出す。
「私もです。初めてでしたが、とても楽しかったです。」
「そう。なら良かったわ。1回だけなんて言わずに、また来ましょう。次だってアタシが案内するわ。」
クロンスさんとエリーさんが、大切な友人が、隣にいると実感をして、俺はパレードを見届けるのだった。




