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23.落とし物を探して三千里

 「う〜ん、見つからないなぁ。」

 教室の床を舐めるように見た俺は溜息をつく。どうやらハインセさんに貰ったペンを何処かに落としてしまったので、絶賛捜索中なのだ。


 「教室にない、ということは別の所にあるのかもしれませんね。1日の行動を振り返って探してみましょう。」


 一緒に探し物をしてくれているクロンスさんはそう提案した。確かにここは彼女の言う通りにすべきだろう。


 「となると、教室の他には敷地内にある森かな…。でもあそこに落としたとなると骨が折れそう…。」

 「森を探すの?ならアタシに任せなさい!」

 「エリーちゃん、何か良い案でもあるんですか?」

 「えぇ。まぁ見てなさいって。」


 自信満々なエリーさんと俺達は早速、森へ向かった。相変わらず草木が生い茂っており、学校と同じ敷地内にあるのが信じられない。

 さて、胸を張っていたエリーさんはと言うと、森へ着いた途端に手を組んで瞳を閉じた。それは神託の力を使う時の動作だ。


 「そう言えば、エリーさんの神託の力ってどういうのなの?絞め付けるような力を持ってるのは体感して知ったけど。」

 「あの時は悪かったわ。アタシの『不可視の虚栄』はね、蛇を操れるのよ。」


 そう言う彼女の側には茶色の地味めな蛇が近付いていた。成る程、俺やクロンスさんはこの蛇に足を絡め取られていたらしい。

 俺はその経験もあって蛇を警戒していたが、クロンスさんは違った。何やら熱心に蛇を見つめている。というか、熱心すぎるその視線は危険な域に達している気がする。


 「……………クロンスさん、まさか蛇を食べようとしてないよね。」

 「え!?ま、まさか。いつも私が空腹だと思ったら大間違いですよ!」

 「空腹だったら食べようとしてたの…?」

 「そ、それは…」


 目が泳いでるよクロンスさん。そこは間髪入れずに否定してほしかったよ。


 蛇ではなく、クロンスさんを警戒する。エリーさんも己が蛇を食べられないように抱き寄せてクロンスさんを見る。


 「誤解です!口に入れられるものだったら何でも食べるわけじゃないです!」

 「クロンスちゃん。アタシの蛇と距離をとって頂戴ね。」

 「エリーちゃんまで!?」


 そして、蛇はクロンスさんと十分な距離を取りつつ俺の落とし物を探してくれた。恐ろしい蛇だと思っていたがかなり優秀で、すぐに探していたペンを咥えて帰ってきた。


 「ありがとうエリーさん。それとエリーさんの蛇さん。クロンスさんが君を食べようとしたら俺が守るからね。」

 「食べませんって!」

 「その時は頼むわね、ヤシキくん。」

 「私、信用ないですね!?」


 いざとなったら蛇を守護ると誓って、俺は感謝を告げるのだった。

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