20.休日だ!お出かけだ!いや、その前に補習だ!
エリーさんとの一悶着を終えて、さらにはテストも終えて俺達はひと息ついていた。正直テストに自信はないが、まぁ赤点は取らないだろう。まさかね。
それに、テスト採点の時間を考えればすぐに結果が返ってくることはないだろう。そうだよね。
そんな油断は担任の冷たい声に打ち消された。
「授業を行う前にテスト返却を行う。何だ、心の準備が出来ていない様子だな。問題ない。私のテストでの赤点は学年でたった一人だ。」
そっか。それなら安心。学年でたった一人の生徒が自分なんて、そんなことあるはずないし。
やや震える足で教壇へ向かう。そして担任からテスト用紙を受け取る。恐る恐る点数を見ると、
そこには15と、あまりにも小さすぎる数字が記されていた。目を擦る。見間違いではない。頬をつねる。夢でもない。嘘でしょ。
よく見ればテスト用紙には付箋が貼られていた。明日、学校は休みだが早急に補習を行う。必ず出席するように、と。
嫌だ。信じられない。
「…?ヤシキくんどうしたんですか。」
「さぁ?きっと赤点ギリギリだったんじゃないかしら。」
休み時間、呆ける俺にクロンスさんとエリーさんの言葉が刺さる。
「そうだ!気分転換に明日出掛けましょうよ!どうせテストは終わったんだもの!」
「良いですね!ヤシキくんも来ますか?」
「…………………ない、よ。」
「「?」」
「行けないよ…。俺、補習、ある、」
俺の告白に2人は固まった。まさか学年でたった一人の赤点者が目の前にいるとは思わなかったのだろう。そんなに恐ろしいか、赤点者が。いや頭の良い2人には恐ろしく思えるかもしれない。
「ま、まぁ補習があるってことは単位を落とすわけじゃないんだから気を落とすことないわよ!」
「エリーさんは頭が良いからそんなに前向きなんだ…。」
「関係ないわよ!豆粒ほどの知能を持ってなくとも、楽観的な奴は楽観的なんだから!」
「それじゃ、俺は豆粒以下ってこと…?」
「め、面倒くさいわね!うじうじと!」
そうは言うけれどこの間のエリーさんだってうじうじしていたじゃないか。友達になって良いのかとか何とか。
俺が不貞腐れてボソッと言った発言は耳に届いたのか、エリーさんは顔を赤くしながら訂正を始める。
「悪かったわね!でも普通、そんな時のこと持ち出す!?」
「私は2人がどんなにうじうじしても友人でいますよ。」
「そういう問題じゃないよ!」
「そういう問題じゃないわ!」
俺とエリーさんの声が重なる。クロンスさんはよく分かっていないのか首を傾げて、親指を立てる。何のフォローなのか。
そうして俺は休日を友人とのお出掛けではなく、補習の為に費やすことになったのだった。




