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17.神託騒動③

 エリーさんを襲ったと勘違いされた俺は、真犯人を見つける為に放課後、森へと訪れた。

 犯人は現場に戻るなんて聞くのだからもしかするとエリーさんを襲った奴と出くわせるかもしれない。


 一人で森の中を歩く。すると、ガサガサと葉が揺れる音を耳にした。


 「誰かいるの?」

 後ろを振り返り確認する。しかし影はない。だというのに、ガサガサと嘲笑うかのように音は四方から鳴る。


 どうしたものか。この不可思議な状況は十中八九、神託の力によるものだ。そして俺の考えが正しければ、エリーさんを襲った犯人が近くにいる可能性は高い。

 等と思案していると、足に痛みが走る。


 「ぐっ!?」


 それはまるでふくらはぎを絞られているような、そんな苦痛だ。成る程。エリーさんはこんな痛みを味わったのか。

 だが、このまましてやられるわけにはいかない。俺はここである力を使うことを決心した。


 「すぅ……ステータスオープン!」


 緊急事態ということもあって恥ずかしさはない。そして俺の声が届いたのか、足に絡みついた手は一瞬力を緩める。


 俺の声によって目前には数値が浮かび上がってきた。誰の、何の数値なのかは一目瞭然だ。だからこそ驚いた。

 そこに表示されたのは俺と、何故かエリーさんのステータスだったからだ。


 「…………エリーさん!いるなら出てきて!」

 呼びかけるが姿は現さない。当然かもしれない。俺は数値や文字が浮かび上がった場所へ行く。そこにエリーさんのステータスが表示されているのだ。


 しかし、彼女のもとに歩み寄ろうとした瞬間、何かに足を取られて転んでしまう。これもまた神託の力なのか。

 そちらが神託の力を活用するというなら、俺だって使わせてもらおう。手を組んで目を閉じる。


 すると途端に体は透明になる。なったとて俺の足を掴んだ物が見えるわけじゃない。だが、少なくとも足を阻害されることはなくなった。

 自由になった足を使ってエリーさんの居場所へ行く。そこは茂みの中だった。草をかき分ける。


 当のエリーさんはしゃがみ込んで、此方を観察するような体勢だった。


 「エリーさん。君だったんだね。」

 姿を現して話しかける。彼女は少し目を見開いたあと、状況を把握したのか眉間に皺をつくって俺を睨む。


 「いったいどうして、あんな自作自演を、」

 「嫌いだからよ。アンタがね。アンタは勝手だわ。クロンスちゃんの呪いのことを知ってるくせに近付いて。それでアンタがあの子を嫌ったら、誰よりも傷付くのはあの子なのよ。だってのに、友達だとか馬鹿なこと言うんだもの。」


 俺は呆気にとられてしまった。だって今の言い草は俺のことが嫌いでも、クロンスさんのことはそうじゃないみたいだ。

 てっきり、エリーさんは呪いの影響でクロンスさんを嫌いになったとばかり思っていた。しかし逆に呪いのせいで彼女を嫌いになる前に、クロンスさんからわざわざ離れたのだとしたら。


 それは、一つの友情の形なのかもしれない。


 「…………エリーさんの言っていることも分かるよ。でもさ、俺は信じてる。クロンスさんは弱くないって。呪いの力にも負けないぐらい前向きに生きてるって。」

 「随分知った口聞くのね。あって間もないくせに。」

 「確かにそうだね。でもエリーさん、一度クロンスさんと向き合ってみてもいいんじゃないかな。そしたら気付くと思うんだ。」

 「…………………。」


 エリーさんは変わらず俺を睨んでいる。でも、俺はそんな彼女にクロンスさんと話をして欲しかった。

 きっとクロンスさんの変化に気付くんじゃないかと思うから。



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