16.神託騒動②
「さて神託の力の授業はこれで終いだ。各々制御を誤らぬように気を付けて過ごせ。」
神託についての授業を森で終えた俺は、クロンスさんと教室に戻ろうとした。その時、つんざくような悲鳴が耳に届く。
何事かと俺達は踵を返して授業を行った森へ戻る。すると、一人の生徒が倒れていた。
倒れていたのはエリーさんだった。
「きゅ、急に見えない何かに足を掴まれて…!」
そう言った彼女のふくらはぎには何かに絞められたような跡が残っている。まるで誰かが強く握りしめたようだ。
「見えない何か…。もしかすると誰かの神託の力かもしれませんね…。」
隣にいるクロンスさんが顎に指を当てて考える。確かに不可思議な出来事は神託の力であれば行えるかもしれない。
だが、いったい誰がどんな理由でしたのだろうか。俺の疑問は他のクラスメイトも同様に持っており、瞬く間にざわめき始めた。
「神託の力のせい…?」
「やだ、私じゃないよ。そんな攻撃的じゃないもん。あんたじゃない?」
「違うよ!そもそもエリーちゃんを襲う理由なんてないし。」
「にしても気持ち悪い神託の力だよね。」
「ねっ。見えない何かを操るんでしょ?悪用し放題って感じ。」
「見えない…見えない…あれ、誰かの神託の力がそんなのじゃなかった?」
誰が言ったのか、その一言でクラスメイトの数人が俺の方を見る。確かに発言通り俺の神託の力は不可視の状態になることだが、全くもって無実だ。
「ヤシキくんは私と居ました。なので彼は無実ですよ。」
「………クロンスちゃん、彼のお友達だからって庇ってるんじゃないかしら。」
エリーさんは目を鋭くさせて俺達を見る。彼女にとっては、クロンスさんが友である俺を庇っているように見えるのも仕方ない。
「友人がそのようなことをすれば庇いませんよ。ですが彼は本当にしていませんから。」
「ふぅん?」
「エリーちゃん、私が貴方を襲った犯人を見つけますから。」
「…………。」
クロンスさんの言葉にエリーさんは何か言おうとしたが、口を閉じた。そしてエリーさんはふらふらとクラスメイトの手を借りて立ち上がる。
授業が始まるので、俺達は教室へと戻るのだった。




