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101.ハチャメチャメチャクチャ②

 「クロンスくん。僕はがっかりしたよ。」


 オッヘルは心底落胆したように語りながら、教室内で逃げ回るクロンスへ火の玉をぶつける。


 「君が僕の言葉で変わるんじゃないかと思ったんだ。ヤシキくん達に依存する君が変わるんじゃないかとね。だが、そんなことはなかったらしい。」

 「ごちゃごちゃと!」


 上手い言い返しが思い浮かばず、クロンスは怒りのまま言葉をぶつける。

 火の玉を避けるため、時には机や椅子を投げつけ盾にする。ガチャガチャと、それらがぶつかる音が教室内には響く。彼女の頭には一向に良い案が浮かばない。どうすればオッヘルの火の玉に対処出来るか。


 そんな策をこうじる最中であっても、オッヘルは変わらず無遠慮にクロンスの痛いところをつき続ける。


 「第一、君は今日、彼らの足手まといにしかならないんじゃないのかい?」

 「足手まとい…?」


 淡々としたオッヘルの発言に突っかかる。


 足手まとい。自分が、ヤシキ達にとって。


 「ふ、ふふっ。いいえ。いいえ。違いますよオッヘル・オリヴァ。」


 不気味に笑うクロンス。オッヘルは異変を感じ取り、眉をひそめる。彼女は相手の変化に構わず、唇の端から這うような笑い声を洩らす。


 「私は言われたんです。一緒に戦おうと。ヤシキくんとエリーちゃんから。ですから、足手まといなんかにはなりませんよ。」

 「…………2人は君とは違うからね。気を使ったんじゃないかい?」

 「あははっ!それが何だと言うんですか。」

 「?」


 オッヘルの冷静な様子に反して、クロンスの語気が強まる。ヒートアップしていく様子のまま、何が可笑しいのか笑みを絶やさずにいる。随分ご機嫌なものだ。


 「私は友に頼られました!肩を並べようと言われました!それは動かぬ事実!そうです!考えてみれば、友人でもない貴方の言葉なんてどうでもいいです!」


 幼稚。身勝手。視野の狭い。そんなクロンスの言葉は、しかし、彼女の中では断固とした軸となりつつあった。そうだ、友に頼られ、目一杯戦うと言ったのだ。今更、オッヘル・オリヴァの言葉に心揺さぶられるなんて変な話だろう。

 まくし立てるような独り言に、オッヘルは呆れかえる。


 「はぁ。結局、そう結論づけるのかい。君は変わらないと。」

 「変わらないなんて言っていませんよ!ただ、貴方の言葉で、今、変わることはないです!」


 目指すべき道を見つけたのか、クロンスは途端に元気を取り戻して手を組む。神託の力を発動させて次に触れたのは机の足の先だった。天板に近い部分を触り、そこを腐らせる。その拍子に、机の足は外れた。

 彼女はそれをオッヘル目掛け投げつける。


 「だって!私、貴方のこと、嫌いですから!」

 「幼稚だね。全く。君の友人であるヤシキくんやエリーくんに同情するよ。」

 「あはっ!ご勝手に!」


 投げつけた机の足を炎の玉で燃やされる。だが、クロンスは止まらない。同じ調子で他の机や椅子の足を取り、オッヘルへ投げつける。力任せの攻撃。その様子と、クロンスの狂気的な笑い声にオッヘルはやや後ずさりをする。

 彼女は、今や未知の存在となった。わけの分からない存在だ。


 「だいたい、澄ました顔で過ごす貴方の方が、自分がないんじゃありませんか!」

 「なに?」

 「本気になれないんですよ!何にも!だから、そう達観している風なんです!でも私は違います!今この瞬間、全てを友のために捧げられます!貴方と違って!」

 「………………。」


 たかが狂人の戯言だ。いつものオッヘルなら流せたはず。しかし、今日はそういかなかった。相手がクロンスだからか。真相は分からない。それでも、確かに彼女の言葉が彼の心にさざ波を呼び寄せるのだった。

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