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10.初めてのオリエンテーション。おやつ持参は良いですか!

 クロンスさんと友達の練習をすると約束をした翌日。俺達は学校でオリエンテーションを行っていた。とは言っても堅苦しいものではなく気軽に出来るもので、指定された場所を各々実際に巡るのだ。


 校内をほっつき歩くだけではあるが、如何せん敷地が広いため森や崖などにも足を運んだ。


 「町の中にある学校なのに随分広いね。」

 俺の呟きに隣にいるクロンスさんが説明する。


 「順序が逆なんです。町が出来て学校が出来たのではなく、学校が出来て町が出来たんですよ。」

 「普通逆じゃない…?」

 「そうですね。でもうちの校長は自由な人ですから思い付きで学校を建てちゃったんじゃないですかね。」


 それで学校を運営できるのだから校長は凄い人だ。


 そんな話をしながら俺達は森を抜けて崖にたどり着く。ここは町とは真反対の方向だ。崖下は人が住んでいるはずもなく、無骨な岩が転がっていた。


 「クロンスさん、押さないでね。」

 「?押しませんよ。危ないですし。」

 「絶対に押さないでね。」

 「はい。押しませんよ。」

 「本当に、絶対に絶対押さないでね。」

 「だから押しませんってば!」

 「ほんっとうに!ぜぇったい、押さないでよね!」

 「あぁもう突き飛ばしますよ!?」


 「貴様ら馬鹿やっていないで次の場所に向かえ。」


 ちょっとした悪ふざけのつもりだったが、巡回していた担任に静かに注意されてしまった。まぁ本当に突き飛ばされたら困るのだが、こういう所に来たら言っておかなければならないような気がしたのだ。


 崖を引き返して森へと戻る。その道中、俺の腹は音を鳴らして空腹を告げた。


 「…………これ食べますか?」

 クロンスさんは見かねて干したトカゲを差し出してくれた。有り難いが遠慮しておこう。


 「い、いいかな。」

 「遠慮しなくて良いんですよ。」

 「いやぁ、トカゲはちょっと…。」

 「蜘蛛もありますよ。」

 「そっちの方が嫌かも!」

 というかどうしてクロンスさんはおかしな食べ物ばかり口にしているのだろう。まさか味覚まで呪いで変わったとは言うまい。


 「その、クロンスさんはどうしてそういうのばっかり食べてるの?」

 「…………呪いのせいで家族に捨てられてしまって…。飢えをしのぐ為に今まで食べてきたんです…。」

 「そ、そうなんだ。」


 彼女の呪いはそんな所まで影響していたのか。何だか悪いことを聞いてしまったな。そう思って、クロンスさんが差し出す蜘蛛揚げを手にする。

 緊張はするがクロンスさんを信じて食べてみよう。


 「というのは冗談で、子供の頃たまたま口にしただけです。」

 「俺の気持ち返してよ!」

 「ジョークです。ジョーク。」

 「全然面白くないよ!これ捨てちゃうからね!?」

 「あっ、待ってください!捨てるなら胃袋に!」

 

 クロンスさんが持っていた残りの食料を取り上げて走る。彼女は負けじと俺を追いかけてくるのだった。

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