第四章:百貌(ひゃくぼう)の城主
【前回のあらすじ】
3人目の天守・備中 蒼月との戦闘の最中、突然目覚めた古のゴーレムが乱入する。蒼月との共闘を経て和真と恭子は認められ、天守核を譲ってもらえることになった。
天守核を集めた後は「元の世界に帰る」ことを願おうとしていた和真に、少しずつ心の変化があり…?
備中蒼月との出会いと共闘は「天守核を集める」という行為の重みを改めて刻みつけた。それは単なるアイテム収集ではなく、それぞれの天守が背負う覚悟と土地の歴史そのものを受け継ぐことなのだと。
蒼月のアドバイスに従い、二人は山の水が集まって形成されたであろう大きな川の流れに沿って西へと旅を続けた。険しい山岳地帯を抜け、次第に開けた平野部へと景色が変わっていく。川幅は広がり、流れも穏やかになってきた。人々の往来も増えて街道沿いには小さな村や町が点在するようになる。
しかし、旅を続ける中で和真は奇妙な違和感を覚え始めていた。以前よりも頻繁に不穏な噂や出来事に遭遇するようになったのだ。
立ち寄った村では「夜な夜な森の奥から奇妙な唸り声が聞こえる」「畑を荒らす、見たこともない獣が現れた」といった話を聞いた。別の町では川の水が突然濁り、魚が大量に死んでしまったという。そして何より気がかりだったのは、備中松山で遭遇したような「ゴーレム」の目撃情報が各地で囁かれ始めていたことだ。まだ小規模なものばかりのようだが、その出現頻度は確実に増しているようだった。
「…最近、妙なことが多いな」
ある夜、野営の準備をしながら和真は不安げに呟いた。空には不気味なほど赤い月が浮かんでいる。
「うん…そうだね。なんだかテンシュリアの空気が少しずつざわついてる感じがする」
恭子は焚き火を見つめながら同意するように言った。その横顔には心配とは少し違う、複雑な色が浮かんでいるように和真には見えた。
しかしそれは一瞬のことで、すぐにいつもの快活な表情で「ま、私たちがしっかりしてれば大丈夫だよ!」と和真を励ますのだった。
(考えすぎか…?)
和真は首を振った。だが、胸騒ぎは消えない。自分たちの天守核を集めと最近の異変は関係があるのだろうか?
いや、そんなはずはない。天守核はそれぞれの土地を守る力の源なのだ。それを集めることが世界に悪影響を与えるとは考えにくい。むしろ12個集めて願いを叶えれば、この異変だって止められるかもしれない…。
和真の心には「元の世界に帰りたい」という個人的な願いと「この世界の異変を何とかしたい」という気持ちとの間で小さな葛藤が芽生え始めていた。
川の流れは、やがて広大な湖――あるいは内海と呼ぶべきかもしれない――へと注ぎ込んだ。湖畔には活気のある大きな港町が広がっている。潮の香りと人々の喧騒。山の中ばかりを歩いてきた和真にとって、それは久しぶりの文明の匂いだった。
港町を見下ろす丘の上には、幾重にも連なる石垣と多数の櫓を持つ壮麗な城郭がそびえ立っていた。白壁の天守閣が青い空と湖の水を背景に誇らしげに輝いている。
「あれが…伊予松山城!」
「わー! 大きいね! さすが港町を見守るお城って感じ!」
恭子も感嘆の声を上げる。あの城の主が、次の目標である天守・伊予頼通だ。
城下町はこれまで訪れたどの村や町よりも賑わっていた。港には多くの船が出入りし、市場には様々な品物が溢れている。二人は情報を集めるために町の酒場に立ち寄ってみた。
「伊予松山城の頼通様かい? ああ、立派な領主様だよ。この町がこれだけ栄えているのも頼通様の差配のおかげさ」
「ただ、ちぃとばかし不思議な方でな。あっちにいたかと思えばこっちにも顔を出す。まるで一人で何人もいるみたいに見えることがあるんだよ」
「ああ、分かるぜ! 分身の術でも使うんじゃねえかって噂だ」
「城の守りも天下一品らしいぞ。何重もの門と仕掛けがあって、どんな手練れの忍びだって天守閣まで辿り着けねえって話だ」
町の住民たちは頼通を慕いつつも、その掴みどころのない能力に畏敬の念を抱いているようだった。そしてここでもまた、不穏な話を聞くことになった。
「実は最近、この辺りの海の様子がおかしいんだ。魚があまり獲れなくなったり奇妙な魔物みたいなのが浜に打ち上げられたり…」
「頼通様もそのことを大変心配されて、城と町の警備を一層厳しくされているそうだ」
やはり異変の波はこの町にも押し寄せているらしい。和真の胸のざわめきは、さらに大きくなった。
その翌日。和真と恭子は丘の上にそびえる伊予松山城へと向かった。麓から続く坂道を登ると、まず巨大な高麗門が見えてくる。その奥にはさらに櫓門が控え、複雑な枡形を形成している。難攻不落を体現したような構造だ。
「うわ…すごい。城っていうより要塞だな」和真は思わず呟いた。
「さすがだねー。これじゃ攻め込むのは大変そうだ」
門の前には厳つい鎧を身に着けた衛兵たちが数人、槍を持って警備に当たっていた。和真たちが近づくと鋭い視線が向けられる。
「止まれ! 何者だ!」
「私たちは旅の者です。城主である伊予頼通様に、お目通り願いたい」和真が代表して言う。
「頼通様に? 何の用だ。約束はおありかな?」衛兵は事務的な口調で返す。
「いや、そういうわけでは…」
話が通じそうにない。困っていると恭子が前に出た。
「私は犬山城の天守、犬山恭子。こちらは私の連れの相良和真です。同じ天守である頼通殿に直接お話ししたい儀があり、参上いたしました」
恭子が堂々と言うと衛兵たちの顔色が変わった。天守の名は、この世界では特別な意味を持つらしい。
「犬山城の…天守様? し、失礼いたしました! すぐに取次を…」
衛兵の一人が慌てて城の中へと駆け込んでいった。しばらくすると別の、おそらくはもう少し位の高い武士が現れて二人を城内へと案内した。
城の中は外観以上に複雑だった。いくつもの門を通り抜け、迷路のように入り組んだ通路を進む。いたるところに櫓が設けられ、死角がないように設計されている。まさに鉄壁の守りだ。
やがて二人は城の本丸御殿と思われる、広々とした一室に通された。上座には一人の青年が穏やかな笑みを浮かべて座っていた。
年の頃は二十代半ばだろうか。優美な狩衣のような装束を身に纏い、整った顔立ちには人の好さそうな笑みが浮かんでいる。だが、その瞳の奥はどこか飄々としていて何を考えているのか窺い知れない。この人物が伊予松山城の天守、伊予頼通だろう。
「これはこれは犬山殿。そしてそちらは…異邦の方ですかな? ようこそお越しくださいました。わたくしが伊予松山城を預かる、伊予頼通と申します」
頼通は優雅な仕草で一礼した。その物腰は柔らかいが、隙がない。
「ご挨拶、痛み入ります。頼通殿」恭子も丁寧に礼を返す。
「本日はお願いがあって参りました」
「ほう、お願いですか」頼通は面白そうに目を細めた。
「はい。我々は12の天守核を集めております。つきましては、頼通殿の天守核をお譲りいただけないでしょうか」
和真が単刀直入に切り出す。頼通はその言葉を聞いても特に驚いた様子は見せなかった。ただ、穏やかな笑みのままゆっくりと答える。
「なるほど…天守核、ですか。それはまた大きく出られましたな。ですが、ご存知の通りこれは城主の魂とも言うべきもの。易々とお渡しできるものではありません」
「それは承知の上です」和真は続けた。
「ですが、俺たちにはどうしても叶えたい願いがあるんです」
「ふむ…願い、ね」頼通は顎に手を当て、少し考える素振りを見せた。
「よろしいでしょう。あなた方がその『願い』を託すに値するのかどうか、この頼通が試させていただきましょう」
頼通がパンと手を叩くと、部屋の空気が変わった。穏やかだった雰囲気が、どこか遊戯的で、しかし油断のならないものへと変化する。
「この伊予松山城は見ての通り少々入り組んでおります。城内には、わたくしの『目』や『手足』があちこちに配置されておりますのでね」頼通は悪戯っぽく笑った。
「それらを全て掻い潜り、あるいは打ち破り…この城の最奥、わたくしの真なる居場所…天守閣の最上階まで辿り着くことができたなら、その時は天守核の譲渡について改めて考えましょう」
それは、この広大な城郭そのものを舞台とした壮大な試練の始まりだった。
頼通の言葉が終わると同時に和真と恭子がいた部屋の襖が勢いよく閉まり、周囲の景色が変わった。気づけば二人は先ほどまでいた本丸御殿ではなく、城内の別の通路に立っていた。
「なっ…!? いつの間に!?」
「これも頼通さんの力…空間を操るのか、それとも幻術の一種?」
驚いている間にも通路の左右から複数の人影が現れた。その姿は先ほどまで上座に座っていた伊予頼通と瓜二つだった。
「さあ、試練の始まりですぞ。せいぜい楽しませてください」
複数の頼通|(分身)たちがにこやかに、しかし有無を言わせぬ圧力で迫ってくる。手には優雅な見た目とは裏腹に、鋭い刃を持つ扇子や短刀のようなものを握っている。
「分身…! いきなり来た!」
「カズマ、下がる!」
恭子が前に出て防御壁を展開する。分身たちはまるで熟練の武芸者のように、息の合った連携で攻撃を仕掛けてきた。一人が扇子で牽制し、別の分身が死角から短刀で斬りかかってくる集団戦法だ。
「くそっ、数が多い!」和真は【解析】で分身たちの動きを分析する。
『対象:伊予頼通(分身体)×5』
『能力:本体と同等の身体能力(一部制限あり)、連携攻撃特化』
『弱点:本体からの魔力供給に依存。一定以上のダメージで消滅。本体との距離が離れると弱体化』
「キョウコさん! 一体ずつ確実に仕留めよう! ダメージを与えれば消えるはずだ!」
「了解!」
和真は【構築】スキルで足元の石畳の一部を盛り上がらせた。分身の一人の体勢を崩し、そこに恭子が防御壁の一部をぶつけるようにして追撃する。分身は一瞬よろめき、その隙を突いて和真が拾った石を投げつけると「パリン」とガラスが割れるような音を立てて消滅した。
「よし、一体!」
しかし休む間もなく、別の通路からは城の防衛機構と思われるからくり人形のようなものが現れた。それらは自律的に動き、弓矢や吹き矢で攻撃してくる。
「こっちもか!」
二人は次々と現れる頼通の分身や防衛機構と戦いながら、城の奥・天守閣を目指して進んでいく。頼通の仕掛けは巧妙だった。行き止まりに見える壁が回転扉になっていたり、床が突然抜け落ちたり、幻覚で正しい道を見失わせたり…。
「まるで、巨大な迷宮だな…!」
「うん、でもなんだか頼通さん楽しんでるみたいだね…性格悪そう」
恭子がぷりぷり怒りながらも、的確に防御と援護をこなしていく。和真も【解析】で仕掛けの構造や分身の弱点を見抜き、【構築】で対抗策を講じる。二人の連携はこれまでのどの戦いよりも高いレベルで機能していた。
試練が進むにつれて、和真の心の中に再びあの葛藤が顔を出し始めた。
(こんなことをしていて本当にいいのだろうか…?)
頼通の分身や防衛機構を打ち破るたびに、どこかで罪悪感のようなものが芽生える。自分たちはこの城の平和を乱しているのではないか? そして、外の世界では原因不明の異変が確実に広がっている…。
(元の世界に帰りたい。でもこの世界の問題から目を背けていいのか? もし天守核を集めることが、あの異変を悪化させているとしたら…?)
考えれば考えるほど答えは出ない。焦りと迷いが和真の判断を鈍らせる。
「カズマ! 集中して!」
恭子の鋭い声が飛ぶ。ハッと我に返ると、頼通の分身の一人がすぐ目の前に迫っていた。咄嗟に身をかわすが、頬を浅く斬られる。
「…悪い、キョウコさん。ちょっと考え事を…」
「らしくないよカズマ。何かあったの?」
戦闘の合間、恭子が心配そうに尋ねてくる。和真はテンシュリアで起きている異変への不安と、自分の願いとの間で揺れていることを正直に打ち明けた。
「…そっか。カズマは優しいね」
恭子は少しだけ寂しそうな顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「でもさ、今は目の前の試練に集中しなきゃ! 悩むのは頼通さんから天守核をもらってからでも遅くないよ!」
恭子の言葉は、ある意味で正論だった。ここで立ち止まっていても何も解決しない。今はこの試練を突破することだけを考えるべきだ。
「…そうだな。ありがとう、キョウコさん」
和真は迷いを振り払うように強く頷いた。そして再び前を向く。その時、近くにいた頼通の分身の一人がニヤリと笑った気がした。
「迷いを振り払いましたか。ですがその『願い』、本当にあなたを正しい道へ導くものですかな?」
分身は意味深な言葉を残し、攻撃を再開してきた。
(俺の願い…)
和真は自問する。元の世界へ帰ること。それは揺るがない。だが、それだけでいいのか? この世界で出会った人々、経験したこと…それら全てを無かったことにして、ただ逃げ帰るだけで本当に満足できるのか?
(分からない…今は分からない。でも、立ち止まるわけにはいかないんだ!)
和真は叫び、スキルを全力で発動させた。解析し、構築し、恭子と連携し、道を切り開く。迷いは完全に消えたわけではなかったが、今は進むしかないという覚悟が彼を突き動かしていた。
どれだけの数の分身を倒し、どれだけの仕掛けを突破しただろうか。疲労はピークに達していたが、二人はついに天守閣の最上階へと続く最後の階段の前に辿り着いた。
階段の上にはこれまでとは違う、穏やかな、しかし圧倒的な存在感を放つ伊予頼通が一人静かに立っていた。彼が本物であることは疑いようもなかった。
「お見事。実に見事ですぞ、犬山殿。そして異邦の若者、相良和真殿」
頼通は穏やかな笑みを浮かべて二人を迎えた。その瞳には試すような色はもうなく、純粋な称賛の色が浮かんでいる。
「あなた方の力、連携、そして…その迷いを抱えながらも前に進む意志の強さ。しかと見届けさせていただきました」
頼通はゆっくりと和真たちに近づき言った。
「正直あなた方が天守核を集めていると聞いた時、危惧しておりました。このところ、テンシュリアの各地で不穏な動きが観測されております故な」
「不穏な動き…やはり頼通さんも気づいて…」
和真が言うと、頼通は頷いた。
「ええ。古の力が目覚め始めているような…あるいは何か強大な力が、この世界の均衡を乱そうとしているような…良くない予感がします。海が荒れ、大地が震え、見たこともないような魔物やゴーレムが現れる。このままでは大きな災厄が訪れるやもしれません」
頼通の表情には、領主として、そして天守として、この世界を憂う色が濃く浮かんでいた。
「あの…頼通さん」和真は意を決して尋ねた。
「もし、俺たちが天守核を12個集めて願いを叶えるとしたら…その力で、この世界の異変を止めることはできるでしょうか?」
それは、和真の心の中で大きくなっていたもう一つの切実な問いだった。元の世界へ帰るか、それとも、この世界の危機を救うか。もし両方は望めないとしたら…。
頼通は和真の問いにすぐには答えなかった。しばらくの間、窓の外に広がる穏やかな湖の景色を眺めていたが、やがて静かに口を開いた。
「さあ…どうでしょうな。伝説では天守核の力は万能と謳われておりますが、果たして本当にそうか。強大すぎる力は、時に持ち主の意図を超えて予期せぬ結果を招くもの。使い方を誤れば、異変を止めるどころか更なる混乱を引き起こす可能性すらありますぞ」
頼通の言葉は霞や蒼月の忠告とも重なる。力の持つ危険性。それを制御する覚悟。
「結局のところ、力が何をもたらすかはそれを使う者の『願い』の質によるのでしょうな」
頼通は和真の目を真っ直ぐに見据えた。
「あなた方の願いが、真にこの世界の…いや、あなた方自身にとって善きものであることを信じるしかありません」
頼通はそう言うと、懐から澄んだ海の青と輝く太陽の光を併せ持ったような、美しい天守核を取り出した。伊予松山城の天守核だ。
「これを託しましょう。あなた方がその力で正しい道を選び取ることを願って」
和真は頼通の言葉の重みを受け止めながら、恭しく天守核を受け取った。四つ目の核。これで12個のうちの3分の1が集まったことになる。喜びよりも、むしろ責任の重さがずしりと肩にのしかかるようだった。
「ありがとうございます、頼通さん」
「礼には及びません。むしろ、あなた方に期待しておりますぞ」
頼通はいつもの飄々とした笑みに戻っていた。
「して、次はどちらへ?」
和真は恭子と顔を見合わせる。備中蒼月からは「水の流れを辿れ」という漠然としたヒントしかもらっていない。この伊予松山の地は大きな湖(内海)に面しており、船を使えば様々な場所へ行けそうだ。
「まだ具体的には決めていませんが…何か、心当たりはありますか?」和真が尋ねる。
「ふむ…」頼通は顎に手を当て、少し考える素振りを見せた。
「そうさな。天守核を持つ者はそれぞれが特異な能力を持っておりますが…この伊予の海の向こう、讃岐と呼ばれる地に、非常に優れた『築城』の技を持つ天守がいると聞きますな」
「築城の技…?」
「ええ。丸亀城の天守、丸亀 京。彼女は土や石を自在に操り、瞬く間に難攻不落の城壁や石垣を作り上げることができるとか。その防御能力はわたくしの城の仕掛けよりも厄介かもしれませんぞ」
頼通は面白そうに目を細めた。
「彼女の守りを破るには力押しだけでは通用しないでしょう。相当な工夫と、あるいは彼女の術理そのものを見抜くような洞察力が必要になるやもしれませんな」
丸亀京…土や石を操る天守。伊予松山城の壮麗な石垣を見てきたばかりの和真にとって、それはまた全く異なるタイプの挑戦となりそうだった。
「丸亀…海の向こう、ですね。貴重な情報をありがとうございます」
「いえいえ。健闘を祈っておりますぞ」
和真と恭子は頼通に深々と礼をし、伊予松山城を後にした。
城下町は相変わらず活気に満ちている。しかし、その喧騒の裏に潜む異変の影と自分たちの旅に何か関わりがあるのかという疑問、そして「願い」についての葛藤が和真の心に複雑な模様を描いていた。
(俺は、何を願うべきなんだ…?)
答えの出ない問いを抱えながら次なる目的地・丸亀城のある地を目指して港へと向かった。船に乗り、新たな天守との出会いを求めて、穏やかな…しかしどこか不穏な気配も漂う瀬戸内の海へと漕ぎ出す。
四つの天守核は彼の決断を待つかのように、静かにその輝きを増していた。