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剣神になったけど本当は魔法に憧れてたので魔法使いに転生します  作者: A’s
〜二年生〜

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ナタリーの告白


【主要人物紹介】

ラウ

 剣神シンから転生した少年。

 魔法学校の二年生。

ナタリー

 ラウの幼馴染。

 一緒に入学するために王都へ来た。

ソフィア

 シンのPTグラディウスの僧侶。

 今では大神官で聖女として

 人々から崇められている。



「私、魔法の他に

 やりたい事が出来たの!」


その言葉はラウにとって意外だった。


ナタリーは非常に優秀で

成績は常に学年1位だ。


それは学年で1番勉強している、

という事を証明していた。


それだけやる気をもって

取り組んでいた事を

やめるというのはどういう事だろう。


これだけ近くにいて

何も兆候は掴めていなかった。


「私どうしても

 回復魔法を使えるように

 なりたいって思ってるの。」


どういう事だろうか。


このまま魔法を学んでいても

怪我を直す程度の回復魔法は

学べるはずだ。


「それが一番ラウの役に

 立てるかなって。」


ラウはグラディウスでの

戦いを想像してみる。


確かに戦闘時に、ソフィアが

いるのといないのとでは大きく違う。


だがイリスと一緒に戦っても

安心感はある。

特に魔法使いのバフは強力で

殆どの敵は二人でも倒せるはずだ。

ソフィアの回復魔法が必要な場面が

そうそうあるとは思えない。


魔王と戦うレベルの戦闘でなければ。


「ラウはこの先、さっき見付けた

 サマエル?とかと戦うんでしょ。

 去年のメフィストと言い

 シン様たちが魔王を倒してくれて

 訪れた平和が崩れてきてるのは

 私でもなんとなく分かる。」


確かにドリジャ公が起こした反乱は

戦火を拡げつつある。


メフィストは確実だし

サマエル、暗黒竜に至っても

その影響である可能性が高い。


「ビスタのお父様のユーフィリアス王や

 イリス校長やソフィア様がいてくれるから

 王都に不安はないの。」


それぞれ先の大戦の英雄だ。

ナタリーだけではなく

人々からの信頼も厚いだろう。


「でも私はラウが心配。

 ラウが強いのはもう分かってる。

 だけどそれでも、私がいない所で

 ラウが戦ってるのを心配するのが

 私にはとってもとっても辛いの。」


ナタリーの目からは涙が溢れている。


「もう・・・・・

 あなたを失いたくないの・・・」


ラウは驚いた。


ナタリーが自分を失ったと

感じることがあったとは

思えなかったからだ。


「そんなことあった?

 いつのこと?」


素直に疑問を口にする。


「ごめん、今のは忘れて。」


ラウはどういう意味なのか

いつのことなのか

確かめたい気持ちが

とても大きかったが

忘れることにする。


「だから魔法もちゃんと覚える。

 イリス校長と同じくらいに

 なれるまで頑張る。

 だけど回復魔法も覚えたい。

 ソフィア様くらいに

 皆を助けられるように。」


それは物凄い事だ。

進一郎が大好きだったRPGの

賢者になるという事だ。

しかしこの魔法が現実にある世界でも

ラウはシンの時にすら賢者を見た事がない。

この世界でさえ非常に困難だというのは

火を見るよりも明らかだった。


「だから私は守りたい。

 皆を・・・・・

 そしてあなたを!」


ナタリーはラウに目を向ける。

何かを心に決めた時の、

あの真剣な眼差しだ。


ナタリーに「あなた」と呼ばれたのも

今が初めての事だった。


「ナタリー、本当にありがとう」


ナタリーの気持ちが伝わっている事を

なんとか言葉に乗せる。


実際ラウは感動していた。

ナタリーへの感謝で一杯だ。


ナタリーも心の中を出し切ったのか

無言で頷いた後、黙ってしまった。




しばしの時が流れた。

ラウの胸に、身体に

ナタリーの言葉と心が拡がっていく。


再びナタリーが言う。


「それで・・・

 ラウにお願いがあるんだけど。」


自分に出来る事なら何でも言ってくれ

という気分だ。


「ラウはソフィア様と知り合い・・・

 なんだよね?」


「そうだね」


今更隠しても仕方ない。

というよりラウはナタリーに

全てをさらけ出したかった。


あとはタイミングの問題だけだ。


「どうやって知り合ったのかは

 分からないけど

 知り合いなのは分かったの。


 だからお願い、ソフィア様に

 私を紹介してくれないかな?

 私ソフィア様に回復魔法を習いたい!」


全てを告白しようとしていたラウは

拍子抜けしてしまった。

知り合った理由を聞かれなかったからだ。


「お安い御用だよ」


ソフィアなら能力も人格も

師匠にうってつけだろう。

ラウの事情も良く分かっている。




二人は女神亭をあとにした。

シルに勘定を払い、店を出ると

さっそく神殿に向かう。


神殿に着くと

ソフィアはすぐに見つかった。


入口を入ってすぐの祈り場で

熱心な信者に説教をしている。


「・・・ですから女神様は

 いつでも私達を

 見守っていてくれています。」


ラウを見つけて話しかけてくれた。


「あら、ラウ。いらっしゃい。

 そして可愛いお連れ様も。」


ソフィアは信者達に一礼すると

ラウに、一緒に歩けと手招きした。


「今日はどうしたのかしら?」


「ソフィア様にお願いがあって

 参りました」


「なんでしょう?」


周りに神官や信者がいるため

ラウはラウのまま単刀直入に言った。


「こちらのナタリーを

 ソフィア様の弟子にして下さい。」


ソフィアは立ち止まると

振り返ってラウ達を見た。


ラウとナタリーを交互に見ると

口を開く。


「ラウ、あなたとその方の関係は?」


「私の最も大切な人です」


ラウは正直になると

先ほど決心したばかりだ。

しかも相手は最も信用するソフィアである。

ソフィアは一瞬驚いた表情を見せたが

ナタリーに向かって言った。


「あなた、お名前は?」


「ナタリーと申します。

 ナタリー・ジョリです。

 ソフィア様私からもお願いです。

 あなた様の弟子にして

 いただけませんでしょうか?」


ナタリーが膝まづいて言った。


「分かりました。

 こちらへ。」


ソフィアは再び歩き始めると

部屋に案内した。


ラウが転生陣を持っている

ソフィアの自室だ。


「さあ、中へ。」


ソフィアは二人を中に案内すると

テーブルに座らせた。

お茶の用意をしながら質問する。


「なぜ私の弟子に?

 すでに魔法学校に通っていると

 お見受けしますが。」


「はい、その通りです。

 魔法も学びたいのですが

 女神様の癒しの魔法も学びたいのです。」


ソフィアはラウを見た。

ラウは頷くように頭を下げた。

ソフィアが納得するように頷き返す。


「分かりました。

 それではこちらを差し上げます。

 私の部屋に直接転移出来る首飾りです。

 週に一度、あなたに指導しましょう。

 その時に使いなさい。」


ナタリーはラウに喜びの表情を見せると

ソフィアにうやうやしくお辞儀をした。


「ありがとうございます!!」


「それから。

 毎朝祈りの時間に来て一緒に祈る事。」


「はい、かしこまりました。」


「毎朝の祈りはあなたの足で来て

 きちんと入口から入る事。」


「はい、かしこまりました。」


「ではこちらへ。」


ソフィアの前にナタリーが進む。


「女神エリュシオン様

 わたくしソフィア・ローランは

 この使徒ナタリー・ジュリを

 弟子としてすべてを教示する事を

 ここに誓い、この首飾りを授けます。」


「ありがとうございます。」


「ナタリー。

 あなたもあなたの言葉で構わないので

 女神様に誓いを立てなさい。」


「はい。

 わたくしナタリー・ジュリは

 ソフィア・ローラン様を師と仰ぎ

 教えを懸命に受け取る事を誓います。

 エリュシオン様のご加護を賜りますよう

 精進してまいります。」


「いいでしょう。

 それではこれを。」


そういうとソフィアはナタリーの首に

首飾りをかけた。


「これであなたは私の弟子です。

 さっそく明日の祈りから

 参加するように。」


「かしこまりました。」

「ありがとうございます」


ラウもソフィアに礼をする。


「ラウは今日は用事はありませんか?」


「はい。このお願いをしに来ました。」


「それではまた。

 私も用がありますのでこれで。」


神殿の入口まで送ってくれたソフィアは

ラウにウインクをすると

奥に行ってしまった。


かくしてナタリーはソフィアの弟子となった。




「はぁ~緊張したぁ~。」


神殿からの帰り道にナタリーが洩らす。


「それにしてもラウはすごいね。

 ラウが紹介してくれただけで

 弟子にしてくれるなんて!」


「そうだね、僕も意外だった」


ソフィアはナタリーについて

名前以外何も聞かなかった。

逆にラウにソフィアが人を連れてきて

私の大事な人だから剣を仕込んで、

と言われたら、確かに何も聞かずに

受け入れるだろう。


信頼の証だとは分かっていても

感謝の気持ちで一杯だった。


「ラウが言ってくれたおかげだね!

 その・・・」


ナタリーは頬を赤らめて言い淀んだ。


「一番大事な人だって?」


「うん・・・。」


正直に全て言おうと決めた矢先だ。

思わず口から出ていた。


「ねぇ、ラウ。

 さっきの私にもう一回言って。」


先刻の発言は自然に出たものだ。

あらためて言えと言われると緊張する。

しかし男が一度決めた事だ。

ナタリーを見ると

こちらをしっかり見つめている。

余計に緊張してくるが心を決めて言った。


「ナタリー

 君は僕の一番大事な人だよ」


「私も!」


言いながらナタリーは

ラウに飛び込んできた。


ラウはその身体を受け止めると

気持ちも受け止めた気がした。


「帰りましょう!」


ナタリーに手を引かれる。

昼の深刻な表情のナタリーは

もういなかった。


晴れ晴れとした表情をしている。


ラウは女神に感謝しながら

帰路についた。


今回もお読みいただきありがとうございます。


いいね、ブックマーク、コメント頂けたら嬉しいです。

励みになります。


基本的に週に三回は更新したいと思っています。

次回もよろしくお願いします。

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