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王都到着

ようやく王都に着いた二人は

希望に胸を膨らませます。


それから5回、村や町に泊まり、

3回野営をすると王都が見えてきた。

まだ日は高いので今日中には着けるだろう。


ここジグロス王国の王都は、

スターンレイト城を中心とする首都で

かなり大きな都だ。


シンの時には魔王軍と戦うために軍国だったが

今はどうなっているだろうか。

パレム王は元気だろうか。


ラウは田舎暮らしに慣れすぎて

王都の事を気にしていなかった。

魔法と剣の修行で忙しかったのも要因だろう。


ラウとナタリーが入学する予定の魔法学校は

全寮制のユーシリア国立魔法学校だ。

入学が決まった者は身分によって

貴族寮と平民寮に分かれる。

クラス編成は成績順だ。


入学式は一週間後。

これはトラブルがあった場合に備えて

数日の余裕をもって村を出たからだ。

入学式の前日に入学試験が行われ、

クラスが決まると案内されていた。


「王都に着いたらまずは

 入学まで一週間泊まる宿を探して、

 それから杖や教科書をそろえないとね。」


王都が見えたからか、

ナタリーはワクワクを抑えられないようだ。

輝く目に、こちらまで楽しくなってくる。


ラウはシンの時に何度も行った

勝手知ったる王都だった。

宿はフレイの「女神亭」がいいだろう。


気になる事もいくつかある。

出来れば入学までの一週間で解決したい。


入学してからの話をしばらくしていると

王都の門に着いた。


「身分証を。」


衛兵が声をかけてきた。

形式上の声掛けで

学校の入学案内書で大丈夫なはずだ。


「これでいいですか?」


ラウとナタリーはそれぞれ入学案内書を見せた。


「通ってよし。」


門をくぐるとようやく王都に到着した。

スターンレイト城が中心にそびえたっている。


「それじゃあ坊ちゃん方、あっしはここで。」

「ありがとう!また利用させてもらうよ!」


十日ほどの付き合いだったが気のいい御者だった。

チップを渡して分かれる。

御者はご機嫌で手を振りながら去っていった。


あの戦利品も含めれば結構いい収入になっただろう。


「御者のおじさんに聞いたいい宿があるんだけど

 まずはそこに行ってみない?」


ラウが言う。

本当はシンの記憶だが

御者に聞いたことにしておこう。


「そうなの?いつの間に・・・

 でもあてもないし行ってみよう!」


とりあえずこの重い荷物をどうにかしたい。


ナタリーと共に「女神亭」に行くと

中から元気な声が聞こえてきた。


まだフレイは元気なのだろうか。

フレイの料理は絶品だった。

王都に泊まる時は常に使っていた。


「いらっしゃい!」


入口から入ると

元気のいい女性が声をかけてきた。


宿はかなり大きな三階建てで、

一階は酒場兼食堂と主の部屋、

二階と三階が客室だった。


食堂には数組の客が居て、

まだ夕方だというのに

すでに酒を飲んでいる者もいた。


「こんにちは!宿を探してて

 今日から一週間、泊まれますか?」

「あら、かわいいお客さんね。

 ユーシリアの入学生かしら?

 それともシリアス?」


シリアスというのは聞いたことがなかったが、

おそらく学校だろう。


「僕たちユーシリアに入学するんです。

 それで準備期間泊まるところを探してて」

「もちろん空いてるわよ!

 お部屋はどうする?

 二人で一部屋?それとも別にする?」


ラウは激しく後悔した。

前世では当然一人一部屋で泊まっていたが

今回は子供二人。

王都までの道中は同部屋だったが今回は一週間だ。

ナタリーに意志を確認するのを忘れていた。


相談しようとナタリーの方を向くと

ナタリーが言った。


「部屋は一つで。ベッドは二つ。

 いいでしょ?」


とラウにいたずらっぽく視線を向けながら言う。


「今まで一緒だったんだし、同じでしょ?」


たしかにそうだ。


女性が微笑みながら言う。


「じゃあ部屋は一つでベッドは二つね。

 えっと…それなら305号室で。カギはこれ。

 荷物を置いたら食事の準備しておく?」


ここでラウは不安を口にした。


「フレイは?」

「フレイ・・・かぁさんのことかしら?

 かぁさんは調理場にいるわよ。

 けど変ねぇ、

 私はあなたに見覚えないのに

 かぁさんの名前がでてくるなんて」


しまった。

部屋の件で動転したのか口を滑らせてしまった。


「宿を紹介してもらったときに聞いたんです。

 フレイさんの料理がおいしいって」


なんとか取り繕うと、一瞬怪訝な表情を見せたが

それ以上追及されなかった。


「わたしはシルメリア。シルでいいわ。

 私の事も覚えておいてね!」

「うん、ありがとう!食事もお願いします!」


シル。

たまに見かけた手伝いをしていたあの女の子か。

そんなことを考えながら階段を上り部屋に着く。


カギを開けて部屋に入る。

清潔に整えられたベッドが二つと

夕日が差し込むレースのカーテンが見えた。


ナタリーが窓を開けながら言う。


「はぁ、やっと着いたわね。

 襲われた時はどうなるかと思ったけど

 約束通り護ってくれたね。」


ベッドに移動して座りながらこちらを向く。


「ちゃんと言ってなかったから・・・

 ありがとうね!

 一緒に来て良かったよ!」


そして目を合わせて言う。


「これからも色々あるだろうけど、よろしくね!!」


もちろんだ。

そう思いながらラウは言葉を返す。


「うん!よろしくね!」


それから二人は食事をし、

それぞれお風呂に入って部屋に戻った。

やはりフレイの料理は美味しく、

風呂も清潔だった。

久しぶりに落ち着いた夜だった。


明日は一緒に買い物をすることにして、

二人はそれぞれのベッドに入る。


「おやすみ。」

「おやすみ」


二人とも、疲れていたのかすぐに寝息を立てる。

少し開けたままの窓からは優しい風が吹き

レースのカーテンを揺らしていた。


ようやく王都に到着です。


物語を分かりやすくするため、

設定にある事も色々端折っていますが

分かりにくかったらご指摘下さい。


土日を除く、毎日12:30に更新する予定なので

また覗いてもらえたらうれしいです。

フォロー・コメントもお気軽にお願いいたします。


やる気に繋がります!


※12/11 改行等修正

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― 新着の感想 ―
まだ前世からそこまで大きく年月は経っていないんですね。10〜15年くらいでしょうか? 今後に知り合いと会う機会も多そうですし、いつかバレてしまいそう……。 楽しみに読み進めたいと思います。 あとこの…
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