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剣神になったけど本当は魔法に憧れてたので魔法使いに転生します  作者: A’s
〜二年生〜

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赤竜トラベル開店


【主要人物紹介】

ラウ

 剣神シンから転生した少年。

 魔法学校の二年生。

ナタリー

 ラウの幼馴染。

 一緒に入学するために王都へ来た。

ビスタ

 ユーフィリアスの長女で王女。

 ラウとナタリーの同級生。



いよいよ今日から夏休みだ。


夏休みはほぼ一か月、

その分宿題も多かった。


「毎日計画的にこなせば

 大した量ではありません。

 皆の頑張りを期待していますよ。」


と終業式の注意事項と共に

スカーレット先生が言っていた。


ラウのクラス1組は

成績トップのクラスだ。

皆余裕ででこなしてくる。

特にナタリーを始め優秀者は

宿題以上の事をこなすだろう。


しかしそれ以外のクラスにとっては

なかなかのボリュームに感じる量だ。


そのため宿題をこなすために

里帰りしない生徒も下のクラスには居る。


そんな心配とは無縁な

アストンとオルフェは

休み初日の今日、里帰りする予定だ。


「おはよー、二人とも!」

「「おはよう、ビスタ!」」


朝食を終え、ラウはナタリーと

中庭の噴水前で皆を待っていた。

そこへビスタが駆け寄ってきた。


「ラウ、赤竜トラベルだけど。」


ビスタが珍しく

ナタリーより先にラウと話し始めた。


よほど赤竜トラベルの開店を

楽しみにしてくれているようだ。


「お店は明日から開店しようと思うの。

 それで今日はあの二人が

 利用するところを宣伝するわ!」


あの二人、というのは

赤竜トラベルのモニター、

アストンとオルフェの事だ。


ラウは赤竜トラベルの事務所予定地を

何度か見に行った。


いくつかの候補の中から

セキトとビスタが中心になって

決めた場所だ。


ビスタは赤竜トラベルの発足に

とても乗り気で、セキトと一緒に

色々な準備をしてくれていた。


商人ギルドや馬車協会とも

話をつけてくれていたし

冒険者ギルドに宣伝もしてくれている。


その過程でセキトとかなり仲良くなり

今ではすっかりセキトのマネージャーだ。


ラウは黒竜の調査もあり

大方二人に任せていた。


「今日のセレモニーはただの宣伝。

 明日はもう少しちゃんとやるわ。」


セレモニーをやるとは大げさな。

ラウは正直そう思ったが

任せた手前口には出さない。


「おまたせ!」


少し話しているとアストンとオルフェが

荷物を抱えてやってきた。


「待たせちゃったかな?」


オルフェが申し訳なさそうに言うが

まだ集合時間にはなっていない。


「いや時間前だよ、気にしないで」


「良かった。」


ラウの言葉に安心したような表情を見せる。


「それでは行きましょうか!」


一行は赤竜トラベルに向かった。




ラウは驚いた。


西の商業区に着くと

赤竜トラベルの前に人だかりが出来ている。


ビスタが目配せすると

店の入り口の左右に配置された音楽隊が

ファンファーレを鳴らす。


「えええ?!」


アストンから思わず驚きの声が漏れる。


ファンファーレが終わると

二人の男性が入口に丸めてあった赤い絨毯を

クルクルとひろげて道をつくった。


そしてセキトが人の姿で

うやうやしく手招きした。


「赤竜トラベルへようこそ!」


最初の話だとあまり気乗りしないという

雰囲気だったセキトは一転して

すっかり嬉しそうに役割をこなしている。


モニターの二人をビスタが促す。

二人はビスタと違って田舎の平民だ。

絨毯を踏んでも良いか迷っている。


「どうぞこちらへ!」


ビスタが絨毯へ手で誘いながら

大げさにかしこまって言った。

アストンとオルフェは顔を見合わせて

覚悟したかのように一緒に踏み出した。

一歩目と共にクラッカーが鳴る。


二人の後をビスタが付いていき

二人を店の前に並ばせると

後ろの台にセキトとビスタが登った。


ビスタが拡張魔法を使って言った。


「皆さま、本日はお集り頂き

 ありがとうございます。

 赤竜トラベル開店です!」


「おおおおお!」


歓声と共に拍手が沸いた。


「皆さまの英雄、赤竜セキトが

 行きたい所にひとっ飛び!!

 移動時間の短縮は必須!

 移動の場所は国内限定ですが

 どこでも一日かからずに到着!」


「それはすごい!」

「オクトなんて馬車で一週間はかかるぞ。

 それを一日とは!」


ビスタはしばし黙って

敢えてざわつかせているようだった。


「本日はわたくしのご学友の二人に

 お試しいただきます!

 そして明日からは

 どなたでもご利用いただけます!

 長旅の際は是非ご利用ください!!」


「いいなぁ。あの二人は最初の客か。」

「それはすごい!

 竜に乗って旅が出来るのか!」

 

観衆は興味津々だ。

セキトが口を開く。


「それでは皆様!

 赤竜トラベル開店です!!

 店の前を大きく空けてください!」


セキトは空いた場所に行くと

赤い竜の姿になった。


ビスタに促されて

アストンとオルフェが

セキトの鞍に乗り込む。


そしてビスタも前の席に乗った。

荷物は従者の様な男性二人が

後ろに納めてくれていた。


「それではしゅっぱーっつ!」


セキトは天高く舞い上がり

大きく三度円を描くと

合図するかのように一度咆哮し

南東の空に勢いよく飛んでいく。

まずはオルフェを送るようだ。


「皆さま、明日からのご予約を承ります。

 ご希望の方は利用料金もご確認の上、

 こちらにお並び下さい!!」


店の前に大きな声で案内する男性がいた。

ビスタの従者、セバスチャンだ。


人だかりは我先にと、あっという間に

予約を取る列に変わった。


「行っちゃったね。」


ナタリーがラウに言う。


「そうだね」


「ビスタもセキトもノリノリだったね。」


「驚くほどに、ね」


「ビスタ多分セキトに乗りたいんだね。」


「間違いないね」


「セバスチャンさんまで使って・・・

 さすがというか・・・ねぇ。」


普段は気さくな性格と物言いで

あまり意識することはないのだが

こういう所をみると

やはりビスタは王女なのだという事を

実感する。


「私達もお手伝いしようか。」


「そうだね!」


二人は並んでいる人を

かき分けるように店に入った。


店内ではカウンターがあり、

そこで5人のメイドさんと思しき人が

予約を担当している。


店の正面の壁には料金表と

予約表が展示してある。


驚くことに担当者が予約を取るたびに

そこに自動で書き込まれていた。


ラウにはどういう仕組みなのか

さっぱり分からなかった。


「あれね、ビスタに頼まれて

 私が作ったの。」


ナタリーが驚くラウに言う。


「展示の予約表と担当者の予約表を

 魔法で繋げて、書き込まれる情報を

 すぐに反映するようにしたの。

 予約が入ってる所に

 2重に予約できないようにするのが

 ちょっと難しかったんだけど。」


ラウは感心してしまった。

一体ナタリーはどこまで出来るのだろう。


「すごいね、ナタリー」


ラウが素直に感心すると

ナタリーはとても嬉しそうに

笑顔で返事をしてくれた。


ラウ達二人は手伝いをしようと

セバスチャンに話しかけた。


「こんにちはセバスチャンさん」


「おお、ラウディース様、

 それにナタリー様。

 お久しぶりでございます。」


「お久しぶりです」

「私達に手伝える事はありませんか?」


「人手は足りているのですが

 私の声が聞こえにくいようなので

 先ほどお嬢様がご自分にかけてらした

 声を大きくする魔法をかけて頂けたら

 ありがたく存じます。」


「お安い御用です!」


ナタリーはすぐに杖を一振りして

セバスチャンに魔法をかけた。

セバスチャンの声が大きくなる。


「そこのお客様!

 順番にご案内致しますので

 前の方を押さないでください!」


大きな声になって

仕事もしやすくなったのか

セバスチャンはラウ達に挨拶をして

仕事に戻ってしまった。

取り残されたラウとナタリーは

顔を見合わせる。


「邪魔になるといけないから

 退散しよう」


二人は下見の時に確認していた

裏口から外に出た。


とてもじゃないが、

表から出られる感じではない程

並んでいる人が多かったからだ。



「ふぅーー

 それにしても

 上手くいきそうでよかった」


「そうね。

 私も発案者として嬉しい!」


「もうお昼だし

 ソレミア亭にでもいこうか」


「そうしましょう!」


ソレミア亭はいつもより空いていた。

いつも美味しいチェリーバイだが

今日はことさら美味しく感じた。




次の日はビスタの言葉通り

とても豪華な開店セレモニーだった。


有名な歌手も来ていたし

音楽隊もオーケストラばりに

素敵な演奏を奏でていた。


前日以上の盛り上がりで

店も道も人で溢れている。


店の列も終始

予約の客が後を絶たなかった。


周りの店もこの機会を逃すまいと

出店を出している。

ラウは商人の逞しさを感じた。


圧倒されているラウに

ナタリーが呟く。


「こうやって改めて見ると

 ビスタってさ・・・」


人だかりと演奏家達を

見ながら続ける。


「やっぱり王女様なんだね。」


 

今回もお読みいただきありがとうございます。


いいね、ブックマーク、コメント頂けたら嬉しいです。

励みになります。


基本的に週に3回は更新したいと思っております。

次回もよろしくお願いします。

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