魔法学校図書館
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
魔法学校の二年生。
ナタリー
ラウの幼馴染。
一緒に入学するために王都へ来た。
ビスタ
ユーフィリアスの長女で王女。
ラウとナタリーの同級生。
さっそく二人は、学校に帰る。
魔法学校の図書館に行くためだ。
魔法学校の図書館は
かなり変わった造りになっている。
世の中にあるほぼ全ての本があると
噂されるこの図書館は、
学校の敷地の西側にあり、
学校からも、市街地からも
入れるようになっていた。
出入口自体はなかなか広いのだが
ひとりずつしか入れないようになっている
ゲートがふたつあり、そのゲートの横に
ひとりずつ守衛が立っていて
身分証を見せる必要がある。
セキュリティはなかなか厳重だが
そうは見せない工夫がされている。
さながらアミューズメントパークの
出入り口の様だった。
中は三階建てで1、2階は一般書物、
3階は禁書の類が置いてある。
禁書と言っても一般的に言う
絶対見てはいけない本、ではなく
許可がないと見てはいけない本で
先生方の許可を得れば
生徒は入る事が出来る。
本当の禁書は地下にあると噂だが
誰も入ったことがない上
入口を知っている生徒すらいない。
あくまで噂だが、
そこかしこで聞かれるので
証拠がないだけの本当の話かも知れない。
ラウが調べたいのは暗黒竜についてなので
恐らく禁書の棚にあるだろう。
「ニフィー先生に
許可をもらわないと」
「どこにいるのかな?」
まずは職員室を探すが
今日は休みなので誰もいない。
「魔法学の教室かな?」
魔法学の教室に行くが閉まっていた。
休みの学校は廊下を歩いている
生徒がちらほらいるが
教室にいる生徒はほとんどいない。
中庭や大広間、闘技場で
それぞれ思い思いに自習していたり
おしゃべりしていたりと
生徒がいる場所はだいたい決まっている。
中には図書館で勉強している生徒もいた。
ラウは休日には
弟のセルマに剣の稽古をつけるか
師匠のイリスに魔法の稽古をつけてもらうか
今日の様にナタリーとどこかに行くかだった。
校内を歩く事がほとんどなかったので
他の生徒の様子を見られて新鮮な気分だ。
しかしなかなか担任の先生は見つからない。
本当はイリスの所に行って許可を貰うのが
早くて確実なのは分かっていたが
イリスの部屋に勝手に転送で入れるのを
ナタリーに知られた時の
言い訳が考え付かなかった。
と、闘技場の様子を見に行くのか
アラモンド先生とすれ違った。
「あ、先生!
アラモンド先生!」
ラウが呼び止める。
「あら、ラウとナタリー。
珍しいわね。
どうしたのかしら?」
戦闘術の担当、アラモンド先生は
学校でも1,2を争う強さだと有名だ。
もちろんイリスを抜いてだが。
「図書館で調べ物をしたいので
三階に入る許可をお願いできますか?」
「ええ。いいですよ。
着いてきなさい。」
二人は成績優秀の上、
この前のジグロス杯では
学校の勝利の立役者だ。
特にアラモンド先生からは
かなり褒められた。
その影響もあってか
スムーズに許可を貰えそうだ。
「何を調べるのですか?」
アラモンド先生が聞いてくる。
ここは正直に答えることにした。
「この前、街を襲ってきた
黒竜についてです」
「それは先生達も気になっていたの。
校長先生も知らないようだったし。」
それも当然だった。
物知りのナタリーでさえ知らなかった。
ラウもデュランダルに聞いて
ようやく分かったくらいだ。
そんな会話を交わしながら
アラモンド先生の部屋についた。
先生は鍵を開けて中に入ると
すぐに許可証を書いて渡してくれた。
「それにしてもラウ。
あなた剣はどこで覚えたの?」
アラモンド先生が
急に突っ込んだ質問をしてきた。
びっくりしたラウだが
それでも冷静に答える。
「ずっと一人で練習してたんです。
守らなきゃいけない約束があって」
ナタリーが少し俯くのが分かった。
「それにしても見事な剣さばきよね。
一人で練習してメディア校長を
あんなに子ども扱い出来るものかしら。
まぁだからこそ校長は
私じゃなくてあなたを
パートナーにしたんでしょうけど。」
アラモンド先生が少し首をかしげる。
「でもあれだけ強いとして
なぜ校長がそれを
知っていたのかしら?」
これはなかなか厳しい質問だ。
「ラウは入学前に
剣でドラゴンを倒したんです。
黒竜と戦ったあの赤いドラゴンです。」
意外な事にナタリーからフォローが入った。
「それでその噂を聞いたのかも知れません。」
ラウはてっきりナタリーも
なぜ校長がラウを選んだのかを
疑問に思わないのか心配していた。
おそらく学校の誰もが
疑問に思うだろうと思っていた。
しかしナタリーはそれを聞く機会を
棒に振ろうとしている。
ラウは内心驚いていた。
「そうなの?
そんな事があったなら
校長の耳に入ってもおかしくないかもね。」
完全に納得した様子ではなかったが
これ以上話を掘るのはやめてくれた。
別れ際にアラモンド先生が言った。
「何か分かったら
出来れば私にも教えてね。」
「もちろんです、先生」
「それじゃあ成果がある事を
祈っているわ。
ごきげんよう、ラウ、ナタリー。」
図書室に着くと二人は
まっすぐ禁書の棚へ向かった。
「まずはドラゴンについて調べよう」
「うん、そうしよう!」
二人で手分けしてドラゴンの情報が
載っている本を、片っ端から集めて
机に重ねていく。
とりあえず集めた本だけでも
20冊は積みあがった。
二人は椅子に腰を落ち着けると
一冊一冊調べていく。
二人は無言で集中しながら調べた。
ふと気付くと図書館に入ってから
5時間近くも経過していた。
かなり時間が経っているのに気付いたのは
さすがにお腹減って来たね、と
ナタリーが言ったからだ。
それでも分かった事は
ドラゴンはいろいろな色をしていて
赤は炎、緑は毒、青は水など
得意なブレス攻撃があるらしいという事と
それぞれ住む場所が違うという
誰もが気付きそうな内容だけだった。
「とりあえず今日は終わりにしようか」
「そうね、お腹も限界だし。」
気を抜いたからか
ぐぅぅ~とラウのお腹が鳴った。
「ラウのお腹は悲鳴あげてるし。」
二人はまた同時に吹き出す。
本を片付けて図書館を出ると
食事をするためにソレミア亭に向かった。
それにしてもドラゴンの情報は少ない。
二人の周りにはセキトがいるので
最近はドラゴンを身近に感じていたが
確かにシンの時もドラゴンについては
あまりよく知らなかった。
これは時間がかかるかも知れない。
それまで暗黒竜が黙っていてくれればいいが。
ラウはそんなことを考えながら
デザートのチェリーパイを頬張った。
今回もお読みいただきありがとうございます。
いいね、ブックマーク、コメント頂けたら嬉しいです。
励みになります。
次回もよろしくお願いします。




