魔法使いとして
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
魔法学校の二年生。
ナタリー
ラウの幼馴染。
一緒に入学するために王都へ来た。
ビスタ
ユーフィリアスの長女で王女。
ラウとナタリーの同級生。
ラウは決めていた。
この戦いは魔法使いとして戦う。
イリスがシンとして、と言ったのも
校長との闘いの事だ。
しかし、ラウが開発・練習してきた
オリジナル魔法は
どれも殺傷能力に特化していた。
心臓の血を沸騰させたり
粉塵爆発を誘発して
長時間爆発させたり、と
実戦では役立つだろうが
疑似的な戦い、
相手にとどめを刺さない戦いには
向いていない。
学校で習った呪文と
ナタリーと学んだ呪文のみが
ラウの手札だ。
昔よくやった縛りプレイと同じだ。
ラウは自分に、
そして愛杖に言い聞かせる。
〔魔法で戦う。頼むぞデュランダル〕
[ああ、任せておけ]
「それでは試合開始!!」
ユーフィリアスの声が響いた。
「ディフェンド」
まずは防御魔法を展開し
相手のミェーチの出方を探る。
剣の構え方、足運び、は
なかなかどうして
さまになっている。
騎士学校も捨てたものではないな。
「ハッ!」
初手は正面から切りかかってきた。
剣速もなかなかだ。
ラウは後ろにかわす。
するとミェーチは剣を戻すと
突いてきた。
「ハァッ!」
今度はラウは横にかわす。
剣もよく手入れされていて
汚れているところはない。
「ハッ!」
ラウはもう一度剣が届かない所へ
下がった。
剣が音を立てて空を斬る。
音が出るという事は
なかなかの剣速だ。
三連撃の間の足も
バランスを崩すことなく
踏み込めている。
いい鍛錬をしている。
もう少し剣速が欲しい所だが
これならオークくらいとは
戦えるかも知れない。
ミェーチは剣を
構えに戻すと踏み込みながら
下から斜めに切り上げてきた。
ラウは剣が来ている側にかわす。
「ほぅ」
切り上げてきた剣を
コマの様に身体ごと回転させながら
連撃を繰り出してきた。
回転計の技は上から斬るのと
下から斬るのでは
少し意味が違う。
重力に合わせて上から斬れば
威力は大きくなるが
相手が見えない時間が長い。
下から斬れば回転時に
重力を使えるので
隙が小さくなる。
ミェーチは隙を少なくして
当てに来ていた。
しかし少ないと言っても
ラウにとっては十分だった。
「ファイヤーボール!」
回転している隙に
瞬歩で踏み込み
至近距離で火球をくらわす。
戦いにおいて体術がものをいう。
それはもちろんだが
生かすための動体視力が必要だ。
ラウはそれもずば抜けていた。
ミェーチは思ったよりも
派手に宙を舞った。
ユーフィリアスの防護を破り
鎧を少し焦がしている。
「それまで!!」
ユーフィリアスが止める。
ミェーチは呪文というより
吹き飛んだ衝撃で頭を振っている。
「勝者!
ラウディース!!」
お互いに礼をして相手を称える。
正直なかなかの剣士だった。
その証拠にすがすがしい顔をしている。
実力差が分かったのだろう。
会場を去ろうとしたところに
王が話しかけてきた。
「さすがでした、師匠。」
「ありがとう、国王」
そでに戻ると、
ナタリーとビスタが
歓迎してくれた。
「さすがだね、ラウ。」
「あれは凄かったね。」
チームメイトも駆け寄ってくる。
これでユーシリアが三勝、
一戦目はこちらの勝利が決まった。
場内にスカーレット先生の声が響いた。
「これでユーシリアの三勝!
第一試合個人戦は
ユーシリアの勝利です!」
ユーシリア側から大歓声があがる。
「いいぞー!」
「信じてたぞー!」
そして負けたシリアス側からも
健闘を称える拍手が沸いた。
「惜しかった!」
「次は頼むぞ!!!」
「それでは10分間の休憩の後、
団体戦を開始します!」
休憩時間は思い思いに過ごした。
とはいっても試合時間も短く
疲れている選手はいない。
ナタリーはビスタと
話に花を咲かせている。
ラウはイリスに話しかけに行く。
「し、校長!」
「ん?」
「次の団体戦ですが
どう戦えばいいですか?」
正直、個人戦はどの試合も短く
盛り上がりには欠けただろう。
ラウは少し盛り上げますか?
と聞いたのだ。
「全力で。」
イリスの答えは
その必要はない、との事だった。
相手側のそででは
憤慨している選手がいた。
出番がなかった選手の一人だろう。
自分の出番無く負けたのだ
気持ちいいものではないのは
想像に難くない。
体躯も立派でひときわ目立つその選手は
負けた選手を責めることなく
1人で憤慨していた。
「次は勝つぞ!!」
チームに大きな喝を入れている。
10分の休憩の後
団体戦が始まろうとしていた。
最上級生のフレールが言った。
第一試合で見事な勝ちを収めた
髪の綺麗な女性だ。
「チーム戦はフォーメーションも
ものをいってくるはずだ。
私とベネジクトで前衛をする。
基本的には防御に回るから
三人は隙をみて攻撃してくれ。」
フレールとベネジクトが最上級生で
後のメンバー、
ラウ、ナタリー、ライスは下級生だ。
無難な戦略と言えるだろう。
「分かりました」
「くれぐれも我々に
魔法を当てないでくれよ。」
ベネジクトが冗談めかして言う。
そう、実は後衛の難しさはそこだ。
動き回る敵と前衛を見て
しっかり敵のみに
魔法を当てなければならない。
もう一つ不安要素といえば
ライスの事だ。
ラウは剣士なら普段の動きで
ある程度強さが分かる。
しかし魔法使いの強さは
戦いを見ないと全く分からないのだ。
こればかりは
始まってみないと分からない。
「選手入場!」
スカーレットの声で
選手たちが入場する。
「なお、この試合は
選手が多い事と安全面も踏まえて
副審をソフィア様が
務めて下さる事になりました!」
そのアナウンスに
会場は大盛り上がりを見せた。
「うぉぉぉぉぉ!聖女様!!」
「&%)#!¥sfkjd」
「女神の化身だぁぁぁぁ!」
大司教ソフィアは有名だ。
もちろん国王やイリス校長、
そしてシンと共に有名だ。
加えて性格の良さがにじみ出ている笑顔、
美しい立ち居振る舞い、整った容姿。
そのせいでコアなファンも少なくない。
ソフィアの登場に、彼らの
もはや何を言っているか分からない言葉も
飛び交っていた。
王と目が合うと二人で苦笑いする。
どこに行ってもソフィアは
ファンを作ってしまっていたのを思い出す。
本人も選手以上に注目を浴びてしまい
申し訳なさそうにしている。
しかしソフィアの審判起用は
かなり合理的だ。
誰かが怪我をしても
即座に回復できるだろう。
本気で戦えそうだ、
とナタリーに言おうとして隣を見た。
驚いた事にナタリーまでが
ソフィアにくぎ付けになっていた。
まぁ今回は団体戦
隣にはラウがいる。
万一ナタリーが
気を抜いた戦いをしたとて
何も問題はない。
「それでは試合開始です!
お互いに礼!」
礼をして両チームとも
フォーメーションを展開する。
「はじめ!」
ユーフィリアスが
試合開始を告げた。
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