魔法学校始業式
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
魔法学校の二年生。
ナタリー
ラウの幼馴染。
一緒に入学するために王都へ来た。
ビスタ
ユーフィリアスの長女で王女。
ラウとナタリーの同級生。
始業式の朝、ラウの目覚めは快適だった。
「やっぱり日本人は温泉だな」
思わず13歳の子供らしからぬことを言う。
前々世、尾崎進一郎は日本人だった。
前世のシンの人生は10年足らず。
今世は覚醒してからまだ6年程なので
十数年前は日本人の大人だったのだ。
思わず口から出てしまったのも仕方ない。
それにしても、今回は充実した休みだった。
三日前に両親、二日前にナタリーの両親、と
ポートグラスへの温泉旅行は
ラウにとっては温泉一泊旅行みたいなものだ。
お互いの両親も喜んでくれていたし
日頃の疲れが飛んだと言ってくれた。
温泉効果で身体もリフレッシュした上
ラウの心も晴れやかだった。
次はオクタヴィア公夫妻も連れて行こう。
大広間での始業式が終わり
クラスごとに今年の案内をされる。
今年も教科も担任も変わらずだ。
担任のニフィー先生はまだ若いが生徒思いだ。
階級社会では、細かいイジメが起きやすい。
ニフィー先生は少なくとも目の前では
そんなことを許しはしなかった。
根本的に解決しようと動いてくれる。
他のクラスでも勉強が苦手な生徒には、
残って指導してくれる事もある。
ラウはそんなニフィー先生が好きだったので
担任が変わらない事は嬉しかった。
「皆さん、元気な顔を見せてくれて
先生は安心しました。
皆、去年頑張ったので
またこのクラスにいます。
今年も勉学に励みましょう!」
そう、クラス編成は成績順で
この1組は一番上のクラスだ。
数人入れ替わってはいるが
ほとんどが去年と同じメンバーだ。
入って来た生徒は去年頑張ったのだろう。
また、頭の悪い貴族のやっかみほど
面倒くさいものはない。
だからあんなことに・・・。
ラウは去年の学年末の事件について
考えるのをやめた。
担任のおかげもあるが、
そういった意味でもこのクラスは
問題が少なかった。
皆、成績を維持するのに必死であり
余計なことを考えている暇がないのだ。
先生の話も終わり、
昼食を食べるために大広間に戻る。
基本的に昼食は思い思いの場所で取るのだが
式典の時は、大広間でみんなで食べる。
料理も学校が振舞ってくれるのだが
これがなかなか豪華で
さながらパーティの様だった。
各々席に着くとビスタが話しかけてきた。
ラウの隣には常々ナタリーがいるが
殆どの場合、その隣にビスタがいる。
「休みの旅行、楽しかったそうね。」
少し棘のある言い方だ。
「うん。
ビスタはどうだった?」
ラウは素直に聞き返す。
「私は通常運転よ。
ドラゴンに乗ってもいないし。」
ビスタが拗ねている理由が分かった。
移動中にナタリーに聞いたのだろう。
「セキトに乗りやすいように
お父さんに鞍を作ってもらったんだ」
ビスタの興味津々の顔に語りかける。
「今度の休み、一緒にどこか行かない?」
「行ってもいいけど、
どこに行くの?」
少し機嫌が直ってきたようだ。
ナタリーが口を挟む。
「フォーレ村から帰る途中で、
すごくお花が綺麗な街があったの。
一面に桃色の花が咲いていて綺麗なの。
今度行きたいと思ってたから
そこにしない?」
ビスタの顔が明るくなった。
ナタリーミサイルはクリティカルだったらしい。
「いいわね。
それじゃあそうしましょう!」
次の休みの予定が決まった。
食事を終えるとイリス校長が話し始めた。
イリスはシンのPTメンバーで
今はラウの師匠でもある。
「みんな、きいて。
今年はシリアスと交流戦する。
楽しみ・・・ですね?」
イリスは独特な話し方をする。
最後は多分失敗しただけだ。
「参加は自由。
誰もいなかったら私が推薦。
種目は決めたけど秘密。
戦ったり競争したり。
また発表する。」
要領を得ない説明に広間がどよめく。
その後副校長が普通に説明した。
要点はこうだ。
・お互いの向上のためシリアス剣士学校と交流戦
・両校5人が代表で競技に参加
・学年は問わない
・希望者多数の場合は校内で予選
・模擬戦や競争があるが詳細は当日発表
・安全確保は先生方が責任もって行う
・希望は担任まで
面白そうだ。
もちろんラウは観戦側で考えていた。
剣士学校とはいっても所詮は学生。
前世でのシンは剣神と呼ばれるほどで
剣士としてぶっちぎりで世界最強だった。
身体の成長の関係で前世の3割程度の
力しか出せないとはいえ、学生では
強くてニューゲームのラウの相手ではないだろう。
横をみると、ナタリーが目を輝かせていた。
この目はラウとは違う視点だ。
「面白そう!」
「え?参加するの?」
「分からないけど立候補はしたいな。」
「上級生も出るのに!
勇気あるのね。」
ビスタも驚いている。
それでもナタリーの目の色は変わらない。
ラウは少しの不安もあった。
面白そうな予感もする。
正直、まだ2年生の段階では
最上級生の7年生とは戦えないかもしれない。
いい勝負になれば十分だろう。
それでもナタリーなら何とかなるかもという
期待感が大きかった。
「頑張って!
応援するよ!」
ナタリーは力強く頷いた。
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