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剣神になったけど本当は魔法に憧れてたので魔法使いに転生します  作者: A’s
〜二年生〜

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38/68

フォーレ村と異世界温泉


【主要人物紹介】

ラウ

 剣神シンから転生した少年。

ナタリー

 ラウの幼馴染。

セキト

 ラウをご主人様と呼ぶレッドドラゴン。

 人の姿になれる。


「どうだい?セキト」


ラウは赤いドラゴンに話しかけた。


「すごい!!似合ってると思うよ!」


ドラゴンが答えるより早く

隣にいた女の子が答えた。


とはいえ、その女の子、ナタリーは

セキトの声を理解出来ない。

金属音のような音が聞こえるだけだ。


『んー。

 これ何のためにつけるの?』


鞍を付けたセキトはラウに聞いた。

ラウはドラゴンと会話ができる。


『僕たちが乗りやすくなるんだ』


『へー。

 乗りにくかったの?』


それはそうだ。

魔法で安定させてくれているとはいえ

ドラゴンの鱗は固い。


乗り心地が良いとは言えなかった。

しかし多少ショックを受けているようで

ラウははっきり言うのはやめておいた。


『そんなことはないけど、

 僕たち以外も乗れるようになるんだ』


安心して、という言葉は削除する。


『まぁご主人様がつけろっていうなら

 つけるけど。

 そんなに邪魔じゃないし。』


セキトは余り気に入っている様子ではないが

特に嫌でもないらしい。


この鞍は乗り心地を考えて

このフォーレ村一番の鍛冶職人である

ティガ、ラウの父に作ってもらった。


ラウはこの鞍がかなり気に入っている。


特性の十字型の鞍は前後に二人、

左右に二人、と安定して

4人が座れるように出来ている。


座り心地もかなり良く、

座席の後ろには荷物置き場もあり

長旅にもいいだろう。

ドラゴンの飛行速度は速いので

そんなに長旅をすることはないだろうが。


「なにを話してたの?」


ラウは思わずドラゴンの言葉で

話していたのに気付いた。


「あんまり気に入ってないみたいだけど

 嫌でもないみたい。」


「そんなことないよ!」


人型に戻ったセキトが言う。


「ご主人様がくれるものは嬉しいよ!

 でもさ・・・」


鞍を見て言う。


「これ、僕がこの姿の時は

 どうするの?」


確かに!!


乗り心地はかなり向上するが

こんなに大きな鞍を

もって歩くわけにはいかない。


「小さくする魔法でもあれば

 簡単なんだけど・・・

 ナタリー使える?」


「私はそんな魔法見たことないなぁ」


ナタリーが知らないなら教科書にも

乗ってないのだろう。


「小さくしていいの?

 僕使えるけど。」


セキトがナイスな事を言う。


「本当に!?

 元にも戻せる?」


「戻せるよ。

 生き物には使えないけど。」


言うとセキトは

聞いたことがない言語で魔法を唱えて

一瞬の内に鞍を手のひらサイズにした。


「戻してみて」


「分かった。」


また聞いたことのない言語で

なにやら唱えると元に戻る。


「すごーい!

 そんな魔法あるんだね!

 でもそれ何語?」


ナタリーが目を輝かせて聞いた。

知らない言語に興味津々といった様子だ。

竜語でもない事はラウにも分かる。


「なんだろう?

 僕は呪文用の言葉と思ってたけど

 違うのかな?」


セキトにも分からないなら

竜は不思議な言葉も使える、

ということにしておくしかない。


「古代の言葉なのかな?」


ナタリーの知識欲は

まだ納得していないらしい。


「今度校長先生にでも

 聞いてみようよ」


「そうだね!」


魔法の事はイリスに聞くのが一番だ。

逆にイリスが知らないなら

誰にも分からないだろう。


「でもこれで鞍の問題は解決だね」


「そうね!」


これで()()()セキトに乗れる。

あとで父に礼をいっておこう。




春休み、田舎生活を満喫していた

ラウとナタリーに

次の学年が始まる日が近付いていた。


「おはよう!」


「おはよう。」

「おはよう、ラウ。」

「おはよ、ご主人様。」


両親、とセキトが返してくれる。

両親とはしばらく離れていたので

このやり取りだけでも嬉しかった。


今日は恩返しをしよう。


「昨日もいったけどさ」


セキトと顔を見合わせて

頷きあってから両親に言う。


「今日はポートグラスに行こうよ」


ここフォーレ村の北には

ジグロス王国の北側の国境線を担う

ローグ山脈がそびえている。

山脈に沿って遥か西に行けば魔の森があり、

その向こうはガルバン帝国。

東に行けばドワーフ王国だ。


そしてドワーフ王国の手前に

ポートグラスという温泉街がある。


フォーレ村はジグロスの

東北側に位置しており、

少し北上するとポートグラスに行ける。


少しとはいってもちょうど100kmくらいで

馬車で行けば3日くらいの道程だ。


しかしセキトなら一時間もかからない。

簡単に日帰り温泉旅行が出来てしまう。


「でも母さん・・・」


セキトの顔をちらちら見ながら

母が遠慮がちに言う。


「ドラゴン・・・さんに乗るの

 ちょっと怖いのよね。」


セキトがちょっとショックを受けている。


「それは大丈夫だよ!

 魔法で落ちないようにしてるから!」


反論する。


「それに、ご主人様の母君、

 村にいる間もお世話になったし

 大切に運びますよ!!」


「そう?

 それじゃあ行ってみようかしら。」


「そうだな。

 せっかく二人がそう言ってくれてるし。」


父も同意する。


「それじゃ決まり!

 準備してね!!」



日帰りなので大した準備もなく

すぐ支度したラウの一家は

ポートグラスに向けて出発した。


もちろんナタリーも一緒だ。


今日はナタリーを前に座らせた。

その後ろにラウ、左右に両親だ。


出発してから10分ほど経っているが

母はずっと叫んでいる。

言葉にはなっていないが。


母を無視して父に礼を言う。


「父さん、昨日も言ったけど」


「なんだ?」


「この鞍とても乗り心地がいいよ!

 本当にありがとう!」


「お安い御用だ。

 材料代はお前が出したしな!」


ラウの懐事情は、潤沢そのものだ。

シンの仲間たちのおかげで、

シンの元々の財産と魔王討伐報酬がある。


さらにそれとは知らずにたまたま助けた

王女様の救助報酬で、ナタリーと共に

何年かは暮らせるくらいの金額をもらった。

実はこれはほとんどナタリーに渡した。

()()()()王がシンのPTメンバーだったので

示し合わせた。


しかし王からの報酬、と言えば

お金を持っている言い訳になるので

これは本当に幸運だった。


というわけで10回は人生をこなせる位の

財産があるわけだ。


本当は実家にお金を置いて行きたかった。

しかし父は受け取らないだろう。

ラウは諦めざるをえなかった。


「王様に結構もらったからね」


一応、フォローする。


「それにセキトはこう見えて

 一流の冒険者なんだ!」


『こう見えてって酷くない?』


『いや、ドラゴンはずっと憧れだったよ』


『ふーん。それならいいけど』


誇り高き赤竜を納得させると

父との会話を続けた。


「だからお金の心配はしないでね」


「本当に安心したよ。

 住むところはあるにせよ

 王都は物価が高いそうだから。」


本気で心配していたであろう表情を見て

ラウの愛情が込み上げてくる。


「大丈夫だよ、お父さん」


ラウはしっかり父の目を見て言った。


「僕はお父さんの子だよ?」


父ティガは、満面の笑みで返す。

少し目が潤んでいるのは

風のせいかもしれない。


三度目の人生だが、親の経験のないラウには

良く分からなかった。



ようやく母が静かになった頃には

ポートグラスはもう目の前だった。


ドラゴン来襲騒ぎにならないように

少し手前の林で降りて歩く。


ラウにとっても進一郎以来の温泉だ。

今日は楽しもう。


ナタリーが話しかけてきた。


「ねぇ、おばさん怖かったみたいね。」


「うん。

 明日はナタリーの両親の番だから

 ちゃんと説明と説得しておいてね」


「ふふふ。

 大変そうだけど分かった。」


「なにを話してるの?」


地上に降りて安心した顔の母が

会話に参加してくる。


「秘密。」


笑いながらナタリーがラウの母の手を引く。


「行きましょう!」


父と肩をすくめながら二人の後姿を見守る。

こうしてみるとまるで親子のようだ。


明日は僕の番だな。


そう決意しながら、

ラウは父と温泉街に入って行った。




今回もお読みいただきありがとうございます。

ポートグラス、私が大好きな場所です(笑)


ブックマーク、いいね、コメント頂けたら嬉しいです。

励みになります。


基本的には土日祝を除く月~金の昼に更新します。

次回もよろしくお願いします。

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