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剣神になったけど本当は魔法に憧れてたので魔法使いに転生します  作者: A’s
〜魔法学校一年生〜

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30/68

階級社会


【主要人物紹介】

ラウ

 剣神シンから転生した少年。

 魔法学校の一年生。

ナタリー

 ラウの幼馴染。

 一緒に入学するために王都へ来た。

ビスタ

 ユーフィリアスの長女で王女。

 ラウとナタリーの同級生。



午前中までの授業だったその日は

放課後に侯爵以上の家柄の者が

呼び出された。


名目は貴族の在り方についての

講習という事だったが

おそらく学校としてもある程度

差別やイジメについて気付いており

注意を促す目的もあるだろう。


貴族のグループは

上級貴族に腰巾着が付いて

形成されている事が多い。


ソレイユのグループがいい例だ。

ソレイユはユピテル公爵家の長男。

ゲイルはケイン伯爵家で

フィーゴはルイス男爵家である。

だからグループでは明確に序列がある。


もちろん王族であるビスタも呼ばれていた。


ラウとナタリーは

その日のグループ授業の流れで

アストン、オルフェと共に

放課後の魔法練習をしようと

練習場に向かっているところだった。


授業の話に夢中だったオルフェが

前から来る三人組に当たってしまった。


ドンっと当たった衝撃で

相手の女の子はわざとらしく転び

その拍子で、魔力玉が割れてしまった。

魔力玉とは魔道具学で

魔力を視認するための道具である。


オルフェもかなりの勢いで飛ばされたが

ラウが受け止めて転ばずに済んだ。


「ごめんなさい。」


とっさにオルフェは謝った。

しかし、ラウは三人組がこちらを確認して

わざと当たってきたように見えた。


「あああ。

 わたくしの大切な道具が

 壊れてしまったわ!!」


大げさに騒ぎ立てる。


「しかもドレスの肘のところが

 擦り切れてしまいましたわ!」


この転んだ相手はカレスト伯爵家出身のクロエ。

あとの二人は子爵家のルイーズとアルマで

よく三人でつるんでいるクラスメイトだった。


ビスタがいないのを確認して

絡んできたのが見え見えだった。


立ち上がったクロエが言い放つ。


「ちょっと平民!!

 わたくしの大切な魔道具が

 壊れてしまったじゃないの!

 しかもドレスに傷まで!

 いくらすると思っているの?

 あなた方の一か月の収入より

 高いドレスですけれども

 弁償できますの?!」


「クロエ様大丈夫ですか?

 ちょっとあなた!!

 どういうつもり?」


腰巾着のアルマが囃し立てる。


「ごめんなさい。

 話してて気付かなくて・・・」


オルフェが申し訳なさそうに言う。


「ごめんなさい?

 本当に謝るつもりがあるなら弁償なさい。

 100万ゴールドでいいわ。」


平民の収入は王都でも30万くらいなので

100万ゴールドは、

大人が働いてもだいたい三ヵ月分だ。


「そんな!

 そんなお金・・・それに・・・」


「なに?払えないっていうの!

 まぁ貧乏学生に貧乏な親じゃ

 一生かかっても払えないでしょうね!」


「そうよね!

 ずっと汚い恰好だし!!」


たしかにオルフェは

裕福とは言えない服を着ていたが

清潔感があり実際は汚い恰好ではなかった。


「貧乏な親は教育すらできないのかしら。

 ちゃんとした謝罪すら出来ないなんて。」


親まで侮辱されてオルフェの顔色が変わる。

アストンは悔しそうに唇を嚙んでいる。


ナタリーの表情も変わり

割って入ろうとするがラウは止めた。

自分で立ち上がる機会を奪ってはいけない。


「どうしてそこまで言うの?

 私は謝った!

 それにあなたたちだって

 当たってきたんじゃない!」


わざと当たってきたことに

オルフェも気付いているようだ。


「は?!

 謝罪もせずに開き直り?

 これだから卑しい平民は困るわ!」


「そうよ、そうよ!」


反抗してきたのが気にくわないのか

腰巾着の二人も勢い付く。


「だいたいいつもビスタ様にくっついて

 人の権力に守ってもらってるのも

 卑しい平民の考えそうなことだわ。

 汚らわしい!」


「クロエ様のおっしゃる通りよ!

 調子に乗りすぎなのよ!」


元々アストンやオルフェは

ビスタに近付いたというよりは

ナタリーと親交を持ちたがっていた。

ナタリーとビスタが仲がいいだけだ。


「だいたいあなたもよ!ナタリー!

 主席だからって平民の分際で

 王族に敬語すら使わないで話すとは!」


それもビスタの希望である。

ナタリーは流れ弾に反応して参戦する。


「ビスタに相手にされないから

 私達に絡んできてるの?

 成績は頑張っている結果です。」


確かにナタリーだけではなく

アストンもオルフェも頑張っていた。

オルフェも吐き出す。


「私の両親は決してあなた達に

 馬鹿にされるような人達ではありません!」


二人の言葉にクロエ達はさらに

ヒートアップする。


「まぁ!

 いってるそばからビスタ様を呼び捨てに!

 汚らわしい平民風情が!」


「本当に汚らわしい!!!」


腰巾着も絶好調だ。


オルフェの自力での反撃を見て

ラウも参戦しようとしたが

ナタリーの方が早かった。


「汚らわしい?

 だいたいビスタの陰に隠れてると

 言っていましたけど

 そんなつもりは全くありません。

 あなた達こそ親の威光で

 くだらないことしていませんか?」


正直ナタリーのこんな姿は初めて見た。

ラウが思っている以上に

最近の貴族の振る舞いに

鬱憤が溜まっていたようだ。


騒ぎを聞きつけて生徒達が集まってきた。

その中にゲイルとフィーゴもいる。

今度はソルの腰巾着達だ。


「なんだなんだ?

 またお前たちか。

 平民風情が調子に乗ってるな。」


ソルがいないからかビスタがいないからか

ゲイルがしゃしゃり出てきた。


「ゲイルさん、ひどいんですの。

 この汚い平民がわたくしを突き飛ばして

 魔力玉を割った上、

 ドレスまで傷つけておいて

 開き直って言い返してくる始末です。」


「そうなんです!

 クロエ様の言う通りです!

 私達も見ていました!」


三人の報告にゲイルがニヤッとしながら言う。


「それは酷いな。

 そもそも平民が貴族に逆らうとは。

 お仕置きが必要だな。」


言うとナタリーの顔にペッと唾を吐きかけた。

いや、正確には吐きかけようとした。


ラウはナタリーが被弾する前に

ゲイルが持っていた教科書をひったくると

ナタリーの顔の前に広げて

ゲイルの唾を一粒残らず

ファイリングしてやった。


そしてそれをそのまま

ゲイルの顔に押し当てる。

ゲイルの行動はラウの逆鱗に触れていた。


「やっていいことといけないことの

 区別がついていないようだ。

 お前こそお仕置きが必要だな」


ラウはゲイルの袖をつかんで

中庭の芝生の上に放り投げた。


「だいたいお前も」


クロエに向き直る。


「自分から当たってきておいて

 難癖つけるとは躾がなってないな」


クロエのマントを剥ぐと

身体にぐるぐる巻き動けないようにする。


すまきにされたクロエは

じたばたするしかできない。


その隙にフィーゴがオルフェを

蹴ろうとしていた。

アストンがオルフェを守ろうと動く。


ラウはフィーゴの脚をつかみ

蹴ろうとした方向に勢いをつけた。


一回転したフィーゴは

頭を床にしたたか打ち付けて

そのまま倒れた。


「そしてお前たちも」


クロエの腰巾着、

ルイーズとアルマの番だ。


「水でもかぶって反省しろ」


二人の首根っこを掴んで、

中庭の真ん中にある噴水に投げ込んだ。


ゲイルが復帰して魔法で攻撃してくる。

もちろん生徒同士の魔法による攻撃は

闘技場以外では禁止されている。


「ちくしょう!生意気な!

 ファイアーボール!」


「デフェンド!」


ラウの一団目掛けて飛んできた魔法を

見事な反応でナタリーが相殺した。


「くそっ!

 サンダー・・・」


ゲイルが言いかけたが、ラウはその手から

杖をひったくると思い切り投げた。

やり投げ選手のやりよろしく

遥か彼方に飛んでいく。


「反省しながら探すのだな」


「何をする!」


自分がしたことを棚に上げて

ゲイルが喚き散らかした。


「今に見ていろ!

 伯爵である父上がお前たちを

 許すはずがない!」


散々な目にあったはずなのに

全く反省するどころか嚙みついてくる。


騒ぎを聞きつけて基本戦闘術の担当

アラモンド先生がやってきた。

誰かが呼んだのかもしれない。


「どうしたのいうのです?」


ナタリーとオルフェが口々に説明する。

アラモンド先生は話の中ごろで

おおむね理解したようだった。


「分かりました。

 あなた達はもう行きなさい。」


ラウ達に言う。

そしてクロエ達に向き直って言う。


「そしてあなた達。

 指導室に来なさい。」


「どうしてですか?

 私達被害者なのに!!」


すまきから解放されたクロエが言う。


「その態度が問題なのです。

 いいから来なさい。

 ゲイルもフィーゴもです。」


まさかアラモンド先生に逆らうわけにもいかず

五人は指導室に連行されていった。


ラウ達一行は気を取り直して練習場に向かう。


練習場に着くとラウを残して

四人は練習を始めた。


みなそれぞれ思うところがあるだろうが

口に出さずに練習に打ち込んでいた。


しかしラウは考えてしまっていた。

これで終わればいいが難しいだろう。


出来るだけオルフェとアストンとも

行動を共にするようにしよう。


そう考えていた。


今回もお読みいただきありがとうございます。


いいね、ブックマーク、コメント頂けたら嬉しいです。

励みになります。


基本的には土日祝を除く月~金の昼に更新します。

次回もよろしくお願いします。

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