村の修行と約束と
今回はラウの村での日常です。
まだ転生したばかりなので日常生活の
ラウとナタリーを見守ってください。
学校が終わると帰り道、少し寄り道して帰る。
帰り道から少し外れる小道を行くと、
少しひらけた草原に出る。
いつもの湖のほとりだ。
左には村を見守るような大きな木がそびえ、
それを囲むように木々がまばらに生えている。
右側には色とりどりの花が絨毯のようにひろがり
村人の目を楽しませていた。
湖は緩やかな波が打ち寄せ、
子どもが泳いで渡るのはかなり難しいであろう
向こう岸には森が広がっている。
森の向こうにはそれほど高くないが
いくつかの山が見える。
ラウやナタリーが住むフォーレ村は田舎で
海までは遠い。
海を見たことのある村人は少ない。
村人達は暑い季節は
この湖で水遊びや水浴びをする。
今は緑が多く温かい季節なので
昼は水遊びをしている人もちらほらいるが、
学校帰りのこの時間はラウ達以外は誰もいなかった。
「今日も練習するんでしょ?」
ナタリーが微笑む。
こんなに幼い少女にかすかな恋心を抱いているのは
少年の記憶があるからだろう。
大人の時ならありえないが
俺も10歳だからな。
この辺の違和感にも徐々に慣れていかないといけない。
「じゃあ私から!」
ナタリーが小枝を拾いながら言う。
「アクア!」
泉のほとりの木に向けて杖替わりの小枝を振り、
水魔法を放つ。
教科書に載っているレベルの基礎魔法だ。
小枝の先から、かなりの勢いで水がほとばしった。
「だんだん大きくなってきた!」
ナタリーがはじける笑顔で喜んでいる。
「じゃあラウの番よ!」
俺も木の下から枝を拾い湖に向かって振りながら
呪文を唱える。
「ファイア!」
これも基礎呪文だ。
杖の先から火が吹き出す。熱気が顔をかすめる。
小さな木くらいは燃やせるだろうか。
魔法は魔力のコントロールと
具現化のイメージ力によって
同じ魔法でも練度で威力が変わる。
これは前世、シンの時には鍛えなかった事だ。
剣技を鍛え、身を守ることから始めて
それからは剣を極めていったし
魔王討伐のパーティを組んでからは
勇者ユーフィリアスに剣技を指導していた。
日々闘いだった上、大きな使命も背負っていた。
魔法について学んだり鍛えたりする時間が
なかったというのが正直なところだ。
「ラウもだんだん大きくなってきたね!」
「うん!」
「じゃあ次は・・・アイス!」
ナタリーが唱えると、
杖先から氷の塊が飛んでいく。
涼しい風が駆け抜けた。
「これも大きくなってきた!」
「そうだね!じゃあ僕は・・・ウインド!」
唱えると杖先から小規模な
竜巻のような風が発生する。
「きゃあ!」
「わっ!」
二人は風の勢いに尻もちをついた。
「それはダメだって言ってるのに!」
ナタリーが少し膨れた顔で言う。
「へへへ!これも大きくなってきたよ!」
「そうね!でもこれ以上大きくなったら
私達吹き飛ばされちゃうわ!」
「だね!」
そんなやり取りの後、二人で大笑いした。
日々の練習で少し怪我をして
ナタリーの魔法で回復することもあった。
今日はそこまでは必要ない。
「さぁ帰りましょう!」
そうしていつものように
笑いながら帰路についた。
「そういえばラウは
王都の魔法学校に行くのよね?」
「そうだよ!だって僕はそのためにーー」
転生したんだよ、といいかけて訂正する。
「魔法の練習してきたんだもの」
「私も、お母さん達と離れて暮らしたりが嫌だし
新しい場所で生活するのが不安で
迷ってたんだけどーー
王都の魔法学校に行くことにしたよ!」
「え!?」
嬉しさで少しはにかんでしまう。
進路は決めていたものの
ナタリーと離れるのが気がかりだった。
それが解消されるのだ。
素直に嬉しかった。
「それに私、ラウと一緒にいたいし!」
ラウが言えないセリフをナタリーが言った。
こいういう時は女の子の方が大胆なんだな。
「それは僕もだよ!」
「ほんと?!
でも一緒に行こうって
言ってくれなかったじゃない?」
「だってそれは・・・」
照れてるんだよ!分かれ!
といっても俺じゃなく少年だけどな。
「じゃあ約束するよ。
大切な絶対に守る約束。
王都に行ったら色々あると思うし、
学校も大変だと思う。
でも僕はずっとナタリーを守るよ!」
今世は自分のための人生とはいえ、
世界を救った俺が幼馴染くらい
守れない道理がない。
「本当!?絶対ぜぇったい約束だよ!!」
「もちろんだよ!ぜぇったい!」
ナタリーの嬉しそうな顔をみて、
言ってよかったと思う。
「じゃあまた明日ね!」
分かれ間際にそういうと
ナタリーは小走りで帰っていく。
こころなしか弾んでいるようにも見える。
しかし、よく考えると恥ずかしくなってきた。
さっきのセリフ、ほとんどプロポーズじゃないか。
「まぁまだ子供だしな」
照れ隠しか、自分に言い聞かせながら
家の扉を開けた。
「ただいま!!」
今回はラウの村での日常を書きました。
そこでラウと幼馴染のナタリーは
大切な約束をします。
次回は、本格的に魔法を学ぶため王都に向かいます。
私もようやく書きたいところに少しだけ近づけます。
読んで頂ければありがたいです。
分かりにくい所、間違いがありましたら
ご指摘いただければ改変します。
コメントお待ちしております。
また、少しでも気になって頂けたら、
是非フォロー応援いいね、お願いします。
※12/11改行等修正




