悪魔との賭け
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
ソフィア
シンのPTメンバーの僧侶。
今では聖女としてあがめられている。
イリス
シンのPTメンバーの魔法使い。
ラウの魔法の師匠。
セキト
赤竜。町で暮らすため人型になっている。
先頭のベヒーモスが
飛び掛かってくる。
セキトはドラゴンになり、
壁として立ちはだかる。
理想的なPTでは前衛がもう一人欲しいが
今はそうもいっていられない。
セキトの巨体でどれだけ頑張ってくれるかが
戦闘の難易度を大きく左右する。
左右のベヒーモスは気を溜めていて
どうやら魔法攻撃の準備をしている。
「私達も戦います。」
ソフィアが乗り気になる。
「いく。」
イリも参戦模様だ。
懐かしさが溢れる。
役割は違うが、久しぶりの
二人との戦闘だ。
参戦するとなった途端
ソフィアがとてつもない速さで
PTにバフをかける。
とんでもない強度の魔法障壁と物理障壁を
無詠唱で一瞬の内に張り巡らす。
イリスは見たこともない大きさと鋭さの
氷の塊を左右に浮かび上がらせている。
左右のベヒーモスの呪文発動の隙を狙っている。
言語を使わない魔物や魔族は
詠唱の変わりに力を溜める。
そして発動時には動きが止まる。
その隙を狙っているのだ。
魔法を使うようになって良く分かる。
二人の発動速度、発動規模は別格だ。
セキトと二人で戦おうとしていたラウは
正直五分五分より少し分が悪いと分析していた。
多少傷を負ってもソフィアが
回復はしてくれるだろう、と考えていた。
が、二人が最初から参戦するのであれば
万に一つの負けもない。
ずる賢いメフィストは
ベヒーモスだけを戦わせると見せて
魔法で横から攻撃しようとしていた。
しかし剣神の目はそれを見逃さない。
ラウはベヒーモスを三人に任せ
メフィストをターゲットにする。
だが、メフィストは悪魔だ。
魔法使いのラウよりも魔法においては
秀でているだろう。
「マジックミサイル!」
土魔法で作った無数の矢を
風魔法で飛ばす。
メフィストは魔法を中断し、回避した。
ラウの魔法は外れる。
魔力操作で追いかけると
メフィストは簡単な呪文で相殺する。
その隙に光の矢がメフィストの四肢を貫く。
ソフィアの魔法だ。
よろけるメフィストを
大量の水が包み込んだ。
こちらはイリスの魔法だろう。
「さすがだな」
ラウは舌を巻く。
ソフィアは強力な障壁を
二つも維持しながら光の矢を操り、
イリスは氷の塊を維持しながら
これだけの水を操っている。
ベヒーモスに魔法を当てるのに
一番いいタイミングを見ながら、だ。
師匠の頂はまだまだ遠い事を感じつつも
ラウは昔の仲間が誇らしかった。
力を溜め終わった左右のベヒーモスが
魔法を発動する。
無数の隕石が降り注いでくる。
しかし、ソフィアの障壁に阻まれ
無数の塵となって消える。
その瞬間、イリスの左右にあった
氷の塊がベヒーモスを直撃する。
自分の身体よりも
大きい氷の塊を食らったベヒーモスは
断末魔を叫ぶことなく消滅した。
セキトも目の前の敵に
集中出来ると察知したのか
最初のベヒーモスと一対一の戦いを
繰り広げている。
さすがドラゴン、いい勝負だ。
メフィストが行動不能になっているのを
確認したラウはターゲットを
ベヒーモスに切り替える。
横目で確認したセキトは
渾身の一撃でベヒーモスの顔をひっかいた。
一瞬出来た隙にセキトが下がったのを確認すると
ラウは新しい呪文を試してみた。
「パウダーボム!」
土魔法で出現させた硝石と硫黄を
風魔法で粉末にして火魔法で点火する。
ラウが土魔法で作れる量にしては
かなりの爆発がベヒーモスを襲った。
「グルル・・・」
大ダメージを負ったベヒーモスが怯む。
そこにしっかり息を吸い込んだ
セキトが全力のブレスを浴びせた。
「グギャアーーーーー!」
断末魔を上げながらベヒーモスは
炭化して消えた。
一行は、水の中で苦しそうにもがいている
メフィストを囲むように位置する。
イリスが魔法を解除した。
「グハァ・・ハァハァ・・・。」
メフィストが空気を求めて
音をたてて息をする。
「僕たちの勝ちだ」
ラウは勝ち名乗りを上げた。
「ゲホ・・・そ・・うですね。」
まだ息の整わないメフィストが
負けを認めた。
「約束・・・通り
我々はオクト・・・を襲わない事に
し・・ます。」
「お前を召喚した者の名前は?」
もう一度ラウは聞いてみる。
「それは賭けに・・・入ってません。
回答は拒否します。」
「では賭けの約束は守るよな?」
「正直、こんなに簡単に負けるとは
思ってません・・でした。
賭けたのですから・・
約束はお守りします。」
出来れば召喚した者を知りたかったが
それは欲張りというものか。
今日の戦果はこれで十分だろう。
「それでは皆様ごきげんよう。
もう会いたくもありませんが。」
ようやく息が戻ったメフィストが言う。
そして指を鳴らすと黒い影が浮かび
そこに入って姿を消した。
「師匠!さすがですね!
ソフィアもセキトも!」
ラウが嬉々として言う。
「あんなの大したことない。」
「まぁ普通の戦闘ですね。」
「ご主人様にいいとこ見せられたかな?」
ラウはにっこりしながら
皆を眺める。
戦闘に勝って嬉しかったのは
久しぶりだった。
成長した実感もあり充実感がある。
「それでは師匠、
帰りましょう」
「ん。」
イリスが軽く杖を振ると
一行はオクタヴィア邸の
シンの部屋に着いていた。
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