シンの恩返し
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
ソフィア
シンのPTメンバー。大司祭。
ティア
シンの妹で王妃。
オクタヴィア公
オクト公と略される。オクタヴィアの領主。
セルマ
シンの弟でティアの兄。
襲われている街を見て
シンのスイッチが入る。
即座に状況確認をする。
敵が攻めてきてから
30分から1時間といったところ。
前線にゴブリン部隊。
指揮するようにオーク兵。
中盤にオークの部隊。
後方支援はリザードマンと
空からワイバーン十数匹。
全部で500程度。
どうやら前線は頑張っていて
街に入っている敵はまばらだ。
これはオクトの防衛部隊で殲滅出来るだろう。
「ティア、基本支援の書はマスターしたか?」
「はいっお兄様!」
状況を確認すると指示を出す。
『セキト、入口付近に俺たちを落としたら
空中の部隊殲滅!』
『ようやく命令だね!了解!』
「ソフィアと俺は前線にて戦闘!
ティアは町に戻り後方支援と避難誘導!」
「分かりました!」
「はいっ!」
「ソフィア、皆を頼む」
「まかせて下さい!」
言いはしたが、ソフィアは並の僧侶ではない。
間違いなく皆を守ってくれるだろう。
ゴブリンどもの攻撃など
ソフィアの回復力の前では児戯に等しい。
全員に指示を出し、前線に到着する。
ラウはティアを抱えて飛び降りた。
ソフィアは自ら飛び軽々と着地する。
「行ってくる!」
〔いくぞデュランダル!剣だ!〕
[久しぶりだな]
杖を抜くとすでに剣になっている。
混戦模様の前線は敵味方入り交じり
大味な技は使えない。
一体一体倒していく。
混戦の中にシンの弟、セルマを見付ける。
騎士団長の印である銀の鎧を着ている。
太刀筋も成長の跡が見える。
「セルマ!久しいな!」
話しかけざまにセルマの近くにいた
ゴブリンとオークを片付ける。
セルマは少年に
いきなり名前を呼ばれて戸惑っていた。
シンモードだったので
思わず口走ってしまったが
押し通すことにする。
「セルマ!俺は突っ込む!
ここで陣形を再編!
戦線維持!」
「?!
は、はい!?」
勢いに押されセルマは思わず
返事をしてしまう。
初見の少年に指示されて戸惑っている。
セルマの返事を待たずにラウは
味方が戦っている所々に突っ込みながら
敵を殲滅していく。
「皆いったん引いてセルマに従え!」
敵をどんどん倒していく少年に驚きながらも、
助けられた兵士達はセルマの元へ集合し始める。
初見の少年に指示された面々だが
最善策だと気付いたのだろう。
ソフィアが傷ついた兵を回復する。
多少傷を負った兵士もいたが
すぐに癒されていく。
戦闘中の味方を全員助けると
ラウは残りの敵に対峙した。
空ではセキトが
ワイバーンの最後の一頭に止めを刺していた。
ドラゴンとワイバーン、相手になっていない。
ラウは戦況を確認すると
愛剣デュランダルに気合を入れる。
〔久々に全力で行くぞ〕
[まかせてくれ]
前線の味方がセルマの元へ集合した今、
ラウの前には敵しかいない。
全力を出すのに相応しい場面だ。
<散>
残っていたゴブリンもオークも
ラウが剣を向けた先の敵は
粉々になって砕け散っていく。
<百花>
固いリザードマンの隊列に突っ込む。
ラウの技の一撃で1部隊が殲滅する。
瞬歩と百花で怒涛の様に攻め入る。
さながらそこかしこで
花火が上がっているようだった。
何度か技を出した頃、
敵はいなくなっていた。
ラウが戦線に到着して5分足らずで
500は居た敵は壊滅した。
皆が鬨の声を上げる中
セルマがラウに駆け寄ってきた。
「少年!
助太刀感謝する!」
まずは礼を言う。
「私を知っているようだったが
もしや・・・
いや、そんなわけあるまい。
とにかく、父に会ってくれ。
お礼がしたい。
そこの女性も・・・聖女様?!」
「こんにちは、セルマ。
立派な戦いでしたね。」
「聖女様でしたか。
それではやはり・・・いや」
セルマはかぶりを振る。
「皆様、こちらへ。」
兵士達の歓声の中、街に案内される。
「「少年!少年!」」
ラウを称える歓声と共に
肩を叩く兵士達をかき分け
セルマの案内で街に入る。
すぐにティアと一緒に避難誘導している
立派な男性が目についた。
深紅の鎧に身を包み、すばらしい体躯は
鎧にも負けない偉丈夫ぶりを際立たせている。
オクタヴィア公その人である。
ティアとセルマの父、そして、シンの義父だ。
「父上!もう大丈夫です!
・・・ティア!!」
セルマは父に戦闘が終わったことを告げると
久々に会った王妃になった妹がいることに驚いた。
しかし自分がやるべき事を思い出し優先する。
「父上!
この少年の活躍で敵部隊は壊滅!
オクトは守られました!」
「なに?
あれだけの敵との戦闘がもう終わったと?
しかも壊滅とはどういうことだ?
ん?聖女様?」
「本当です。
聖女様と共に現れたこの少年が
一瞬の内に敵を殲滅しました。
敗走した敵すらいません。
敵は全滅です。」
「すぐには納得しかねるが
敵はもういないのだな。」
確認するオクト公にセルマは力強く頷く。
オクト公は大声で叫んだ。
「きけぃ皆の者!!敵は壊滅した!
もう一度言う!敵は壊滅した!!
避難は解除!普段の生活に戻るがよい!」
街の住民から歓声が上がる。
「オクト!オクト!」
「皆もよく耐えた!
私はオクトの兵士と民を誇りに思う!」
「ワーーーーーー!!!!!」
兵士も民衆も士気は最高潮だ。
オクト公は兵士長達に
被害報告をまとめるよう指示すると
セルマに向けて言った。
「とにかく詳しい報告を聞こう。
ついてまいれ。
聖女様も是非とも。」
いつの間にか人型になったセキトも
合流している。
セルマが咎める。
「その者は?」
「私の・・」
どう紹介すべきかラウが言い淀んでいると
セキトが自分で答えた。
「従者です。」
「そうかそれでは一緒にくるといい。」
一行は歓声に沸く領民達に応えながら
領主のオクト邸へ向かった。
街には戦勝を祝う鬨の声が
しばらく響き渡っていた。
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