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望郷の思い

【主要人物紹介】

ラウ

 剣神シンから転生した少年。

ソフィア

 シンのPTの僧侶。

ティア

 シンの妹。現王妃。



ラウはまず城に向かった。

気付いたソフィアが聞いた。


「どこに行くのですか?」

「城に行きたい」


ソフィアの予想とは違ったらしい。


「それならユーフィーの王室の

 魔法陣に転移出来ますよ?」

「そうなのか?」


「はい。

 私とイリス、ユーフィリアスは

 何かあった時のためお互いの私室に

 魔法陣を置いています。

 たまに会ったりするためにも。」


たしかに今の立場の三人が会おうと思うと

周りへの影響が大きく面倒だろう。

転送で行き来した方が色々早い。


「ユー坊もだが、ティアに会いたい。

 だから表から行こう」

「分かりました。」


そういう事ね、という感じだ。

腑に落ちたのだろう。


城に着くとすぐに中に案内される。

ソフィアはもちろん顔パスだ。


対応した衛士に王妃に会いたい旨を伝えると

応接室に通される。


ビスタがいるかもしれないな、と

考えながら待つと、すぐに王と王妃が現れた。

護衛も連れていない。


「やぁ!師匠!

 それにソフィアまで!!

 よく来てくれました!」


国王ユーフィリアスが歓迎してくれる。

国王の挨拶が終わると

王妃ティアが口を続けて挨拶する。


「お兄様、ソフィア様、

 よくいらして下さいました。

 ビスタを呼びますか?」


「チャ・・・

 ティア王妃にご相談があって来ました。

 ユーぼ・・・

 国王にもお話させて頂ければと」


王と王妃は同時に笑う。


「師匠。

 今日はラウ君ですか?

 我々と話すときは無理をなさらずに。」


それでは遠慮なくいかせてもらう。


「ユー坊とティアに頼みがある。

 特にティア。

 父上に会いたい。

 俺がここにいると知らせたい。

 協力してくれないか?」


ティアの顔が明るくなる。


「もちろんですお兄様。

 私はどうすればよろしいですか?」


「一緒に来て説明して欲しい。

 俺がシンだと。」


「それは父上、母上、兄上が喜びますね。」


そこまで言って許可を得る様に王を見る。

ユーフィリアスは頷く。


「ご一緒して協力させて頂きます。」


「ありがとう」


そこでユーフィリアスが口を開く。


「師匠!

 私も同席した方が良いのでは?」


「お前には留守番を頼む。

 ビスタが誘拐されそうだったのを

 忘れたのか?

 ナタリーも含めて守っていて

 欲しいのだが」


「それを言われると仕方ないですね。

 分かりました!」


セキトに頼めば今日中には

父のいるオクトに着くだろう。

しかし往復を考えるとどうしても一日ではきつい。


ナタリーの事も気になってしまう。

今や国内最大戦力であろう国王に

いてもらった方が安心して出かけられる。


「ティア、私の分も父上や家族に

 よろしく伝えてくれ。

 師匠、留守は任せてください。」


「本当にありがとう、ユー坊」


数日かかるかもしれないという事で

それぞれ準備をして、30分後に

城門で待ち合わせという事し一旦解散する。


ラウは寮に数日里帰りすると届け

ナタリーが働いている本屋に

連絡しに行った。


本屋のに入るとナタリーが

愛想よく挨拶してきた。


「いらっしゃいませ!

 あら、ラウ!」


嬉しそうだ。


「ナタリー、ちょっとやる事があって

 2,3日出かけてくるね」


「そうなの?

 明日はお休みなのに・・・

 それじゃあお城に遊びに行こうかしら。」


残念そうな顔に申し訳なさが増す。


「ごめんね、でもそれならビスタも喜ぶよ。

 何かあったら腕輪で知らせてくれれば

 駆けつけるから!」


「そんなにしょっちゅう何かあったら

 大変だよ!」


二人で笑い合う。


「知らせに来てくれてありがとう!

 お土産、待ってるからね!」


「任せて!!」


結局は明るく送り出してくれた事にほっとして

ラウは城門に向かった。


すでにソフィアとティアは

荷物を持って待っていてくれた。


「おまたせっ!」


ラウは明るく言う。

二人も笑顔を返してくれた。


城を出る時にお供を連れていない王妃を見て

門番がギョッとした表情を見せたが、

ソフィアが一緒だったので

安心したようだった。


しばらく街道を進み

そこから道を外れて

人気(ひとけ)のない広い場所を探す。

そこにセキトを呼び出した。


ソフィアとティアには飛んでいく、

と説明していた。

がどうやってかは伝えていない。


ソフィアにサプライズの

仕返しの機会だと思ったからだ。


「どうしたのご主人様。」

「頼みがあるんだ。

 オクトまで乗せてくれない?」


「もちろんだよ。

 命令してくれればいいんだって。

 でもオクトってどこか知らない。

 行き方分かる?」


当然、ラウは把握している。


「大丈夫だよ」

「なら乗って!」


言うと、セキトは

立派なドラゴンの姿になった。


驚いている二人を背中に促す。


「さぁ乗って!」


まだ整理できていない表情で

二人を乗せるとラウも乗った。


『乗ったよ、出発!』


セキトに伝えると

セキトは大きく羽ばたいて

オクトを目指して飛び立った。



「どういうことですか?!これは!」

「なぜ私たちは竜に乗ってるの?!」


二人とも大人なので、少女達程騒がないが

今起こっている事が把握できていないようだ。


「飛んでいくって言ったはずだけど」


確かに言われた二人は顔を見合わせる。


「でもドラゴンでとは聞いてません!」


それはそうだ、言ってないからな。

このいたずら心は少年だからか。

シンにはこんなユーモアは無かった。


『もう少しスピードあげて』


セキトに言う。


『了解』


セキトはスピードを上げる。



「じゃあ何で飛ぶと思ったの?」


「何で飛ぶかとおも・・・

 きゃあーーーーー」


結局少女と同じリアクションになった

二人の反応を見ながら

オクトへの空旅を楽しんだ。



オクトへ近づいてきた頃、

陽はだいぶ低くなってきていた。


二人も慣れてきたのか

普通に話せるようになっている。

土地勘のあるティアが言った。


「そろそろですね。

 私も家族に会うのは

 ひさしぶりなので楽しみです。」


ソフィアは思いにふけるように言う。


「私もひさしぶりです。

 あなたが・・・シンが

 居なくなったのを報告に来て以来です。」


暗くなりかけた雰囲気を

打ち破るように続ける。


「でも今日は明るい知らせで行けますね。」


いよいよオクトが近付いてきた。

空がオレンジに染まっている。

近付くにつれ、それが夕焼けではない事に気付く。

喧騒も近付いていた。


オクトはジグロスの辺境にある。

ジグロスの北側のほとんどはローグ山脈だ。

山脈の西側の麓に魔の森と呼ばれる森が、

ガルバン帝国とジグロスの国境に広がっている。


オクトのちょうど王都の真反対、北西の方角だ。

そちら側から火と煙が立ち上っていた。

ただならぬ気配にオクトを通過し

なにかある方に行くようセキトに指示する。


北西の門に着く前に状況が分かった。


オクトは魔物の群れに襲われていた。


今回もお読みいただきありがとうございます。

24日、ミスでアップしてしまいました。

こちらは本来25日の分でした。

なので25日はアップはありません。

またお読み忘れの方は

前エピソード18も楽しんでください。

ラウがなぜシンの故郷に帰ろうとしたか

分かるエピソードとなっています。

かなり気に入っているエピソードなので

是非ご覧ください。


次は年末年始でお休みさせて

頂くかもしれないので

ブックマークお願いします。


いいね、コメントも頂けたら嬉しいです。

励みになります。


基本的には土日を除く月~金の昼に更新します。

次回もよろしくお願いします。

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主人公を騒動は待ってくれないのね(;^ω^)タイヘンダー
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