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25話

ララ視点


「今日はありがとね」


「こちらこそ、僕もララと過ごせて楽しかったよ」


 ルークはニカっと微笑んで答えた。こういう事をしれっと言えてしまう性格はずるいと思う。


「もう暗いから送ってくよ」


「う〜ん……ありがとう。でも大丈夫。少し寄る所もあるから先に帰っていて」


 私はやんわりとルークの提案を断ると、そそくさとその場を離れて、人気のない場所に移動した。


「もういいわよ。出てきたら?」


 路地裏から人影がぼんやりと現れてゆっくりと私の前にやって来た。なんとなく気配は感じていたけど……やっぱりそうだったのね。


「何をしているの? アモン?」


 その人影は殺し屋のアモンだった。どうしてここに?


「聞きたいのは俺の方だよ。ララ! お前何楽しんでるんだ? 目的を忘れたわけじゃないだろ?」


「………………」


「お前は殺し屋なんだよ。分かってるのか?」


「……………はい……」


「お前はもう普通の生活には戻れねーんだよ!」


「………………」


 分かってはいた……普通の幸せな生活なんてもう出来ないって事くらい……でも、訓練兵の皆んなやバトラ将軍……そしてルークに出会った事で私は変わってしまった……


「もう、殺しの道には戻れません……もう誰も殺したくありません……私も普通に生きたい!」


 そう、それが今の私の本音だ。普通に仕事をして、普通に仲間と楽しく会話をして、普通にルークと出かけたり食事をしたい。でも……


「そんな事が許されると思っているのか? お前はこれまで何人殺してきたんだ? お前の手はもう汚れているんだよ。そんな奴が普通の生活に戻れると思っているのか?」


「……………」


 アモンの言葉がぐさっと心に刺さる。その一撃は想像以上の威力を秘めていた。これまで殺しをしてきた罪悪感が、見えない鎖のように巻きついてくる。こんな私が幸せを求めてもいいの?


「以前教えたよな? 一度でも手を染めた奴は、殺しの道に進むか……罪の意識から自害するか……この2つしかねぇーんだよ!」


「……………」


 自害……その言葉が頭に深く刻まれる。私はこれまで多くの人の命を奪ってきた。そんな私が幸せを望んでいいはずがない。そんな事……頭では分かっているのに……


「ごめんない……ごめんなさい、ごめんなさい……………ごめんなさい……」


 私はその場に崩れると、顔をくしゃくしゃにして泣きながら謝り続けた。今までは心が麻痺して感じなかった罪悪感が一気に押し寄せてきて呼吸が苦しい……


「はぁ……はぁ……はぁ……ごめんなさい……」


 謝っても謝っても湧き起こる罪悪感に吐き気がする。この苦しみから解放されるのならなんだってする。誰か助けて……


「しょーがねー奴だな。最後は俺が楽にしてやるよ」


 アモンはゆっくりと剣を抜くと、四つん這いになっている私の首元に狙いを定めた。


「アモン……お願い……助けて……」


「もちろんだ。俺はお前の師匠だからな」


 アモンが構えた剣が月明かりに照らされ不気味に輝く。不思議な事に恐怖心はない。むしろ、この苦しみから解放されるのなら早くして欲しいくらいだ。


「じゃあーな、俺の一番弟子」


 いよいよ解放の時がやってきた。アモンの振り下ろした剣がゆっくりと私の首元に吸い込まれていく。


 まるで全てがスローモーションのように見える。瞬きも許されない刹那、突然アモンの剣筋が変化して私の首筋を軽く通過して行った。


「クソ、誰だ⁉︎」


 アモンは腕をだらんっと下げて肩を押さえる。足元に石が落ちていた。これが当たって軌道がズレたのね。でも誰が投げたの?


「お前は……どうしてここにいる?」


 アモンは忌々しそうに呟きながら振り返る。つられて私も顔をあげると、そこにはルークが立っていた。

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