表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タビスー女神の刻印を持つ者ー  作者: オオオカ エピ
十章 盟約
185/374

■月星暦1573年6月①〈木札〉

時系列的には、九章の三年前になります。

とうとう謎の男扱いだったユリウスに焦点が当たります。

が!☆付きの4話〜9話は、不快に思う方もいるかも知れませんので閲覧にはご注意ください。一応、11章で他の人物に簡単にですが語らせる予定です。宜しくお願いします。

挿絵(By みてみん)

この章から以降平日の8:00更新予定です。

 その日、アトラスはファタルで少し早い夕食を取っていた。

 港の漢達をターゲットにしている為、大盛りで安くてついでに美味いのが売りの店である。


 白身魚に衣をつけた揚げ物、野菜がゴロゴロ入ったトマト風味のスープにパン。揚げ物の味付けは単純にレモンと塩だけだが、海辺の街なだけあって、新鮮な魚はそれだけで充分美味い。スープも魚の出汁が効いている。


 冬至を過ぎたばかりで日が落ちるのも早い。辺りには薄闇が漂っている。

 夜はファタルで宿を取るか、久しぶりにアセラ迄足を延ばすか。麦酒を流し込みながら考えていた時だった。

 店に入ってきた少年がきょろきょろと見廻し、アトラスを定めて近づいてきた。


「レオンさまですか?」

 周りに聞こえないよう、声を潜めて尋ねてくる。

 その名を出されてぎょっとするアトラス。警戒を露わに少年を見据える。

「誰だ?」

「いえ、良いのです」

 少年は、訳知りの顔で頷くと、手に何かを握らせてきた。

「これを店番に見せてください。お連れさまかお待ちです」

 囁いて足早に去って行く。


 今のアトラスに連れはいない。『レオン』とアトラスを呼ぶ者は一人しか思い当たらない。

 まさかと思いつつも、その者が会いに来る理由も、アトラスがここにいるのを把握する可能性も考えにくい。


 今、アトラスがファタルにいることに意味はない。たまたま立ち寄っただけだからだ。そもそも、アトラス程の立場のある者が寄るような店ではない。

 怪訝に思いながら、代金を支払って席を立つ。


 渡されたの木札だった。札には店の名前と番地。裏には『二〇二』という三桁の数字。


 知らない店の名だが、番地を見て眉根を寄せる。あまり近寄りたく無い地帯だった。

 ますます件の人物では無いと確信する。無視する手もあるが、それはそれで気になって気持ち悪いので行くことにする。


 自覚しているが、元来好奇心には弱いのだ。


お読みいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ