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タビスー女神の刻印を持つ者ー  作者: オオオカ エピ
九章 後継者
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■月星暦一五七六年一月末④〈落としどころ〉

登場人物紹介はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n1669iy/12

「それはそうと、なんですか。あの采配はっ!」


 呆れ果てた声音がアトラスから漏れた。


「今回は、(せがれ)に一任している」

「そんなことは見れば判ります!」


 ぴしゃりと言い放ち、アトラスはレクスを見据えた。


 アウルムが息子に経験を積ませようとしているのは明らかだった。だが、言わずにはいられない。


「殿下、この戦いの落としどころはお解りですか?」

「……叩き潰せば良いのだろう?」

「圧倒的な敗北感を持って、国に帰ってもらえれば良いのです。殲滅の必要は無い」


 アトラスは(アウルム)(レクス)の背後に目を向けた。


 完全に邪魔をする形になったが、軍議の最中だった。

 隊長格が数名、固唾をのんで待機している。


 五大公の血統、北部を任されているクザン家の娘婿、ノース・マリ・クザンや、かつて軍部統括を担っていたヴェストの孫、フランク・ウェスト・ゴーシュ——等々。


 伝達係として、王妹アリアンナとハイネの息子のルネ・フェルム・ブライトの姿もある。ルネはレクスの従兄(いとこ)にあたるが、アリアンナは降嫁してハイネの妻になったため、ボレアデス姓では無い。


 皆、歳若い。

 四十年前を知らない世代。これからレクスを支えて行く者達である。


「……かの国が無茶をやらかしたのは、深刻な食糧事情です。今年の冬は寒気が強く、北側の港が軒並み氷に閉ざされました」


 海が凍った。まさかその海の上を進軍してくるとは思わず初手を見誤って砦を奪われた。


「だから、こちらが譲歩しろと言うのですか?」


 不貞腐れた口調でレクスは問う。


「いいえ。巫覡の言葉を軽んじ、食糧備蓄の対策を怠ったのはあちらの責任です。援助を乞うのでなく手を出してきた身勝手を許す必要はありません」


 アトラスは冷ややかに言い放った。

お読みいただきありがとうございます

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