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タビスー女神の刻印を持つ者ー  作者: オオオカ エピ
八章 軌跡
165/374

□月星暦一五六〇年六月③〈兄の役目〉

□視点アウルム

登場人物紹介はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n1669iy/13/

 高台にある城からは街門の旗がよく見える。

 報せを受けたアウルムは、城の玄関で自らアトラス達を出迎えた。


「ただいま、戻りました」


 一目見て、アトラスの顔色の悪さにアウルムは胸を痛めた。


「お帰り。この度は出向けず済まなかった」

「宰相のネウルスを派遣して頂いた、それだけで充分兄上のお心遣いは伝わりました。感謝します」


 そう言って、頭を下げるアトラスの、平然を装った態度が痛ましかった。

 全然平気ではないのに綺麗に平気な振りをする姿は、嫌と言うほど知っている。


 アウルムだから判る違和感。

 アウルムは同行者を労うと、アトラスの手首を掴んだ。


「少し二人で話そう。今日の仕事は終いだ」


 ネウルスが何やら喚いていたが無視する。

 アウルムは人払いをして応接室にアトラスを放り込んだ。


「兄上?」

「お前、ひどい顔をしているぞ」

「船旅に疲れただけですよ」


 棒読みの返答に、アウルムは溜息をついた。


「アトラス、ちゃんと寝ているか?食べているか?」

「いやだな。子供じゃないのですから」

「哀しむのに大人も子供もあるか!」


 怒鳴りつけるとアトラスがぽかんとした顔をした。


「大人だからなんだ? 哀しければ泣けば良いんだ! 泣くことも許されない少年時代を送ったんだ、最愛の者を喪った今位、泣いたって良いじゃないか」


 呆けたアトラスの顔が歪む。 



「はは……。兄上には敵わないなぁ」

 乾いた笑いを漏らすと、アトラスは片手で両こめかみを抑えた。

お読みいただきありがとうございます

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