表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タビスー女神の刻印を持つ者ー  作者: オオオカ エピ
七章 偽りの王
138/374

■月星暦一五四三年十一月⑪〈見舞い〉

 ネウルスに案内されて、アトラスはアウルムの治療がなされている部屋を訪ねた。


「アウルム、災難でしたね」

 大丈夫かとは聞かない。大丈夫だと答えるに決まっているからだ。

 こういうところはこの兄弟(アトラスもアウルムも)そっくりである。


「アトラスか。新婚早々すまんな」

「そうですよ、デートの最中だったのに、いきなり呼び出されるのですから」


 敢えて軽く応える。

 アウルムは微笑った様だった。


「ネウルスに聞いていると思いますが、お姿とお名前をお借りします」

「存分に使え。きっちり借りを返して来なさい」


 小さく掠れたアウルムの声。

 だが、しっかりとそこには怒りがあった。


「兄上の代役なんて、今だけですからね」

「おや、残念。お前にならいつだってくれてやっても構わない椅子なのだがな」

「御冗談。いざとなったら、タビスの一声を用いても戻ります」

「奥方に恨まれても適わないから、頑張ってみようかね」

 軽口で答えるが、アウルムの顔色は悪い。


 部屋には城の医官に加え、神殿の医療班も既に来ており、案を出し合っている。


 ハイネの意見も取り入れられ、擦り下ろしたトマト等も用意されていた。

「こちらはお任せを。兄上は治すことに専念してください」


 良い添えて、アトラスは退出した。いくら心配でもここで出来ることはない。ならば、すべきことをするだけである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ