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タビスー女神の刻印を持つ者ー  作者: オオオカ エピ
六章 金色の回想
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◯月星暦一五四二年十一月〜〈アウルムの手記より②〉

【月星暦一五四二年十一月】

 竜護星のハイネ・ウェルト・ブライトの依頼で月星人の女官の件を片付けた後のアトラスは、憑き物が一つ落ちたかのようだった。


 六年ぶりの城でのアトラスは、子供の頃には見せなかった様々な顔をみせた。

 以前の彼がいかに抑圧されて生きていたのかが解る。


 好き嫌いが案外はっきりしていた。


 例えば、手違いで街区神殿をタビスとして、全て訪問せざるを得なくなったのはかなり嫌らしい。アリアンナをどう丸め込んだのか、彼女を矢面にして最低限の労力でこなしている。


 おべっかとご機嫌伺いで話が長い者の相手も嫌いらしい。

 要点だけ早く言えと、余所行きの笑顔と柔らかな口調で、ぐさりと抉っている様は、見ていて痛快ですらある。


 基本的に無駄が嫌いなのだ。


 倹約家傾向なのは五年に渡る旅の影響だろう。華美なものはあまり好まないが、実用的なもの、価値があると判断したものには惜しまない。

 やたらと嵩みがちになる予算について、財務担当が言いくるめられていたのは面白かった。


 人にものを教えるのは好きらしい。

 弓月隊の隊員達にこと細やかに稽古をつけている姿は楽しそうに見える。


 依頼した報告書に則って、優先順位と実現可能事項、要確認事項等を各担当者とすり合わせして案を出し合っているのも楽しいらしい。 

 そういう時は何時間話し込んでも苦にならない様子である。


 思惑が入り混じり、滞って進まない案件について意見を聞いてみると、多角的に切り込んで想像の斜め上を行く面白い案を出してくれたりする。


 旅をして、多くを見てきた為に視野が広いのだろう。


 ずっと傍にいてくれたらと何度思ったか知れない。半年で手放さねばならないのが惜しくなる。


 だが、それを口にしない。

 アトラスの枷にはならないと決めている。

小噺

アリアンナには、ハイネの情報を対価にアトラスは協力してもらったも模様。

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