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2 高価格 高性能

思ったより書けました。

「ここは……」


  朝日を浴びて目覚めるように自然と目が覚めた。起きた場所は白く無機質で箱の中の様な場所だった。確か夢の中では傍に頭のおかしい奴こと有神という奴がいるとの事なのだが……。

  いない、首だけ動かして見渡しても人影がない、というよりこの空間には今起きたところにあるベッド以外の物が無いので、自分とベッドの異物感を感じている。実はまだ夢でもうワンクッション入れて有神に会うみたいな感じなのだろうか。

  調べてみるか、そう思い立った瞬間その時が訪れた。


「起きた!起きたな!このー……なんだ…君は…どうしよう聞きたいことがあり過ぎて困るな!」


  現れたのは夢の中で見たあの男だった、明るい髪色の中性的なイケメンが突如開いた白い壁から飛び込んできた。


「ん…あんまり驚いてないね、僕は有神京司、いや僕の事よりも、君の名前とかあるのかな?性別は?年齢は?家族は?交友関係は?好きなものでもいい、人型だけど言葉はどう?通じるのかい?」


  矢継ぎ早に疑問を投げつけてくる、しかし内容がよくある情報がほぼ皆無のまとめサイトでも作るかのような内容だ。


「言葉は通じてる、名前は…………そう、り、りん…何とか、歳はお前と同じ位だと思う23?とかかな?」


  おかしい、名前は何とか出したが他が思い出せない。そもそも名前も合っているのかすら怪しい。有神の反応は少し悩んでいるようで目を閉じ首を少し曲げて考えているようだ。


  「うーん、言葉は大丈夫、後はあやふや……じゃあなんで君はあの森の中にいたのか聞いていいかい?」


  森の中にいた理由、これは説明出来る、俺はあの場所に至るまでの経緯を説明した。


  「成程、あそこで倒れてたのはそういう訳なのか、ところであそこで死ぬ明確な理由は無いのかい?正直あの場所はかなり特別というか異常なんだよね。」


  理由はない、そう返した。そしてあの場所がどう異常なのか聞くことにした。自分でも何となく分かってはいるが、有神の考えも聞いて見たいと思ったからだ。


「それを説明するには先に説明することがあるからまずはそっちから話そうか。」


  まずはと切り出し有神が出してきたのは、何かの端末だった。その端末はあらゆる物の振動を測ることが出来る装置だそうで、この世のあらゆる物には振動があり動植物から土地といった空間にもあるということらしい。例えば動植物の振動、人間は100前後、大きな動物は110前後、小さいものは80前後、植物は40~50、鉱物にも30前後だそうだ。

  そして土地の振動値がまた変わり者で普通の土地だと30~60でいわゆるパワースポットや心霊スポットなんていわれるような場所になると、下は20、上は150以上になるとのことだ。

 

「そして、あの場所、まず森自体が15くらいで、あそこに近づくほどに下がっていって5くらいまで下がるんだ。おそらく君は無意識に振動値の低い方に言っていたんだろうね、そして君が寝ていた時の振動値は0だった訳だけど……今は、す、凄いね0から最大計測値の200を行ったり来たりしてるよ」


  行ったり来たり、計測器を見るとたしかに値の増減が繰り返されていた。さっきの説明で言うと色々なものと同じ振動だけど違う振動ということなのか……どういうことだ?


  「ちょっとこれは…困ったな、そうだなぁ君の髪の毛数本貰っていいかな?解析したいんだ」


  お互いに困惑していたところで、出された提案に自分自身が気になっていた俺は了承した。有神はじゃあ早速と俺に近づき髪の毛を摘んでむしった。痛みは無かった。


  「よしこれでいいね、君はどうする?解析は時間かかるけど、寝てる?それとも何かする?」


  またしても提案が出される、正直ただ寝ているだけでも暇だと思ったので何かをすることにした。


  「ところで何かって、何をすればいいんだ」

  「これって言うとあれだけど、まあ着いてきてよ」


  特に何も考えていなかった様で明確に何かとは言わず着いてくるように言われた。

  部屋を出る、俺がいた空間から出るとエレベーターになっていて有神の操作で上に上がっていった、数秒後停止するとかなり広いワンルームに出た。


  「結構広いでしょ、えーと君にはこの部屋の掃除をして欲しいかな、自動でしてくれるのって床だけだからさ、道具はそこの棚にあるから、後ご飯も頼むよ、冷めてても問題ないからね、じゃあよろしく」


  有神はそう言ってエレベーターのドアを開け閉じ下にいった。

  文句も言わせなかった、有神の言う通り床は綺麗だが家具の上なんかは埃が 積もっている、どうやら普段から掃除をしていないようだった。



「いやなんでだよ、何故俺は掃除をしているんだ?」


  有神の言われるがままに掃除をしていた俺は我に返った。

  違う俺がすることは未来に起こる有神の狂行を止めさせることだ。どうすれば止められるのか、未来の俺はただ仲良くしていればいいとか言っていたはず……できるのか?いやなぜ仲良くしないといけないんだ?例えばだが有神をどうにか行動不能にすればいいのでは無いのか、それこそ世界的に大規模な被害が出るんだ有神1人殺せばそれがなくなるって言うのならそれでいいとも思う。俺は死んでいる、有神を殺したとしてどうにもならない。ならその選択も有り得るはずだが、じゃあ未来の俺はどうしてそう言わなかったのか。そしてひとつ疑問に思っていることがある、それはあの夢の中で見た有神とさっきまで一緒にいた有神がどうも一致いないところだ。もちろん見た目は一緒、いや時間の経過で僅かにあるとは思うが俺が言いたいのはそれではなく、性格とかそっちの方なのだ、夢の中の有神は人間を殺すことを快楽としていたが、今の有神は研究肌という感じで興味のあること以外には意識が向かない、殺人快楽を外向きの精神性とするなら、逆の自分の興味のあるものだけに意識が向く、内向きの精神性を感じられるのだ。

  (とりあえず、様子を見てみるか)。結論はまだつけられそうには無かった。

  悩み過ぎもよくないな、掃除をも片付いたし、言われた通りに食事を作るためにキッチンに向かった。


  「なんだ…これは。」


  驚愕した、自宅にエレベーターがある時点で察していたが有神はかなりのお金持ちのようだった。まず冷蔵庫がデカい、そして中には飲み物と加工食品と少量の生鮮食品が全体の1割も入っていなかった。一体なんのための大容量なのか。

  他に目を向けると、有神に対するある感想が湧いた。それは有神という奴は大きくて、多機能な物が好きだということだ。キッチンにある物が高性能、多人数向けのものばかりでどうしてもそう思わせる。というかもうとりあえず値段の高いもので買い揃えてるだけなのかもしれないとも思う。


  「と、とりあえず何か作るか」


  気分は高揚している、なんせ全部のものが高性能、家電だけでなく調理道具も一目でそう分かるものばかりなのだ。


  「やばい、楽しすぎる」


  冷蔵庫から適当に見繕った食材を出して調理する。食材の抵抗がない空気を切っているような包丁の使い心地に感動した。


  そして火を使う段階に入った、フライパンで高性能と言えば高熱伝導と食材がくっつかないというとこだろうか。ワクワクとその使い心地を想像しながらフライパンを取り出すとひとつだけ真っ黒のフライパンがあるではないか。何だこれ、とフライパンの表面を撫でてみると、ものすごくザラザラしている。まあいいかと、使えるものを取り出し調理を再開した。



  料理が完成し盛り付け、近くのダイニングテーブルに並べていると。


  「おわったおわった、お、丁度できてるね、ありがと」


  どうやら解析を終わらせた有神は部屋に入ってきた、礼を言うなり黙々と食べ始めた。俺も有神を追いかけるように食べ始める、すると有神が突然質問をしてきた。


  「食べるのか……味はどう?」

  「は?美味いに決まってるだろ、何回も味見してんだよこっちは」

  「いや、そうじゃなくて味覚があるか聞いただけなんだけど、料理は美味しいようん」

  「なんでそんな紛らわしく聞くんだよ」

  「悪いって、いや君はさ五感がちゃんとあるのかなって思ったんだよね耳は聞こえる、目も見える、掃除、料理が出来れば触覚も嗅覚も大丈夫、味見は分かんなかったなぁそうか味見って大事なんだね。」

「成程ねそういうことなのか。」


 有神の言うことに感心していると、当の本人は立ち上がりこっちに近づいてくる。


「そういえば、さっき髪の毛むしった時に反応が無かったから気になったんだけどさ」


  人に近づくなりそう言い放ち、有神の手元にあったフォークを俺の腹に突き刺してきた。


「どう?いや気になっただけなんだよね、ごめんごめん」


  あまりにも唐突過ぎて何も言えない、沈黙が走った。そして金属音が沈黙を破った。フォークが落ちた、それだけなら何ら不思議なことではないが、状況かその異常性を伝える。

  落ちたフォークは俺に突き刺さったフォークだからだ。刺さったものが落ちることは無いそのはずが落ちたのだ。


「これは、刺さった部分だけ無くなっているでいいのかな?」


 有神が落ちたフォークを拾い上げ観察する。俺もそのフォークを注視する。たしかにフォークは中程から無くなっていた。


「あ、刺したとこはどうなってるの?残ってる?」


 たしかに、そう思い服をたくし上げ刺さっていた場所を探すが、見つからない、触って金属の硬さを感じ取ろうとするが感触に違和感はなかった。


「どうもないってことが変だな、傷口が塞がった訳でもないから、飲み込んだ…吸収したってことか?」

「どうやらそのようだね、こうなると色々突っ込んでみたくなるなぁ」

「それはやめてくれよ」

「ハハ、しないよ。そうだな、吸収したってことは君の振動値の説明もいけそうかな、君は0から200の値、フォーク…金属は30前後ってことで君はおそらく金属と同化出来るんじゃないかな、もちろん他のものとも出来ると思う……やっぱ突っ込んでいいかい?」

「嫌だね」

「そうかぁ、でもじゃあなんで君は人型のままなんだろうね、人間の時を引きずっているってことかな?そうなると例えば体の1部を切断したらどうなるのか、分裂するのかな、でもさっきの髪の毛からは増えなかったし……切っていい?」

「馬鹿なのか?嫌に決まっ『無理!気になってしょうがない!』痛った!…くないけど何すんだお前!」


  返事を聞く前に有神は俺の手を抑え、テーブルにあったナイフを指に勢いよく縦に振り下ろした。痛みはなかったが、視覚から入る情報が痛みを伝わせてくる。見事に中指が切断されていた。


  「勢いよくやると切れるのか、吸収は少し時間がかかるってことだね、そして切れた方の指はどうなるのかな?おーそう動くのか、そして本体に帰るとなるほどね」

「そう動くか?足が生えるのが普通みたいな感じにするなよ」


  切り離された指は足を生やして動いた、そして元々いた中指に吸収されて、中指は元通りになった。そして有神は考え始めた。


「うーん、指は戻る、髪の毛は戻らない、違いはなんだろう?」

「同意があるかとかじゃないのか、まじでこういうのやめてくれよ、次やったら容赦しないからな」

「同意か……そうなると意図的に切り離しできるのかな、その体何でもできそうだね、多分、体ごと変質させたりして全身金属とかそういう感じ」


 有神は自分の考えをつぶやき考察している、その時有神の方から着信音が鳴った。


「おう、やばやば会議か…嫌だなぁ」

「会議って、仕事か?」

「うん、一応これでも稼いでるんだよ僕、今からね各国のお偉いさんと話すんだよ、すごいでしょ」

「えーと海外支部とかってことか?」

「あ、いや国、僕の持っている技術が皆んな欲しいんだよ」

「国!?えっと国が欲しがる技術ってなんだよ」

「無限のエネルギー生産とついでにあらゆる作業のAIでの自動化だよ」

「冗談じゃないよな」

「嘘じゃないでーす、そんな君にはこのスマホを授けよう」


 無限のエネルギーと自動化、確かにどこも欲しがりそうだな。

 無限エネルギーは世界のエネルギー問題を解決する、無限って事は制限なく好きなだけ使える、経済的負担はなくなるということ、自動化は無限エネルギーと合わせると休みなく動き続ける事になる訳だから、世界各国の労働環境が激変する。反発はあるかもしれないだがそれ以上の利点があるのでわないだろうかと思う。

  そして、これで有神を止めるには仲良くするしか無くなった、もし有神をどうにかしようものならそれはそれで損失になるからだ。有神を殺して世界中を元の不便な世の中にするなら俺が何とかして止めた方がいいのでは無いのか、未来の俺の言う通りに仲良くすればいいのか?でもなぜ仲良くすれば防ぐことが出来る?分からない。狂行に走るターニングポイントが来るまで待つしかないのだろうか。


「嫌だなぁ、めんどいよ会議もう、君が代わりにやってくれよ〜」

「なんで嫌なことセッティングしたんだよ」

「前は僕ならやれるって思ったんだよ、でも直前になると途端に嫌になるんだよ」

「さっさと行ってこい!」

「あーやだなぁ、あ、僕外出るけど欲しいものは今渡したスマホでできるからね好きなだけ買いなよ、であっちが使うかわかんないけどトイレとお風呂ね、君の部屋はエレベーターで1番下だからね、他の階は僕専用だから入んないでね」

「おう、わるいな」


  妙に律儀な有神に面食らった。少し急いだ様子で有神はエレベーターで上の階にいったようだ。

 

「さて、片付けるとするか」


  テーブルに並べられた食器類をまとめそのまま食洗機に入れた、初めての食洗機に少しドキドキしながら操作し洗わせた。

  そのまま待つのも暇なので、お風呂にでも入ろうかと考え、有神の指指した方に行く。一体どのような浴室なのかワクワクしながら俺は向かった。

 









 


 



 

 




 





 



 

 








 



り「ところキッチンにある真っ黒いフライパンがあったんだけどあれなに?」

あ「人類の挑戦の残骸だよ」


無事2話も書けました、ありがとうございます。

とんでもないミスをしてました23/4




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