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①
やばい。本当にこれはまずい。
平和な日常の中で、いかに自分自身が能天気に何も考えず生きてきたのか、今ならよく分かる。むしろ、後悔しているまである。
今この瞬間、俺の目の前で短機関銃の銃口が静かにこちらを睨んでいる。それは、ゲームや映画の中で見る銃のようだが 実際、俺の目の前にあるそれは迫力があった。迫力以上の存在感が確かにあった。この時間においてそれは、俺を殺すためにそこに存在しているのたがら。
「どうしてこうなった⋯⋯。」俺はどこで間違ったのだろうか。
凡庸な男子高校生のひとりだった俺が学校の教室の片隅で特殊部隊と対峙している。この状況は間違いなく現実だ。
分かっている。理解している。そう、全てはあの女のせいだ。