六繋目:お国の為に(頑張るとは言ってない)
「焔様、少しお時間宜しいでしょうか?」
「ん、どした~?」
「この国の城まで付いてきてもらいたいのですが。後、天音様も着いてきてもらって構いませんので」
「お城に行くの!?」
ちなみに、この国には城は一つしかない…というか、国に一つしかないのだが。
その国の力の大きさを誇示したり、国の象徴として城が建っているという感じだ。
「まぁ暇だし、全然いいぞよ」
「ぞよとはなんですか。それはそうとして、それでは転移させていただきますね」
ルーンの言葉を最後に、私たち三人の身体は光に包まれた。
* * *
「やっぱり便利だな。転移ってのは」
「それでは、案内は私がやらせていただきますので、どうぞこちらへ」
数分間長い廊下を真っ直ぐ歩き続けると、大きすぎるというほどの扉が間の前に現れた。
現れたと言ったが、『見えてきた』ではなく『現れた』が正しかった。
どういうことかというと、歩いていただけなのに、急に扉が出現したのだ。
少し考えたが、王様がいるんだから、こういう警備が必要なのだろう。
特別な魔法を使ったりしているのだろう。
「失礼します」
見上げる程に大きい扉を数回ノックして、淡々とそう告げると、ひとりでに扉が開かれた。
「おぉ、待っておったぞ」
扉を抜け中に入ると、20メートル程奥に、これほど大きくする意味があったのかと思うほど大きい玉座があった。
その玉座には、ちょこんと白いひげを生やしたおっさんが座っていた。
まぁ私もそこまで空気が読めない訳じゃない。
あのおっさんこそ、この国の王なのだろう。
見るからに偉そうだしな
「端的に話そう」
おっさn…おっと間違えた。王様がゆっくりと口を開いた。
「焔殿よ、この国に雇われる気は無いか?」
「えーっと…面倒くさそうだなぁ……」
「知っているとは思うが、つい先日、この世界の空が闇に覆われた。これは神の仕業によるものだ」
「でしょうねぇ」
適当に相槌を打っているのだが、大丈夫だろうか?
…まぁ大丈夫か。
「神を討伐する部隊に入る、もしくは、国の防衛を頼みたいのだが」
「討伐は面倒くさそうだから却下で、防衛は…手伝ってやらんことも無い!」
「そうか!では、この城、及びこの町を守ってくれ!」
「ねぇルーン?要件ってこれ?」
笑顔の王様を差し置いて、小声で隣に居るルーンと会話をする。
「そうですが?」
そうして、私はお国の為に働くことになった。
どうもLrmyです。
作品の話を少し。
王室は王宮魔法使いの手によって、場所を隠蔽されています。
王室に直接転移することはできず、王様からの許可が出たら王室に入れる。という仕組みになっています。
後書きはこの辺で。ではでは~