十七繋目:家無き子
「えっ?私ずっといたのに空気だったッス…」
「大変そうだねぇ、家まで帰れるかい?」
私ことシェリンは鑑定屋まで着いてきてたのに、忘れられたように取り残された。
同じく鑑定屋にいたカートールという人間と会話をする。
「子ども扱いしないで欲しいッス。こう見えても貴方よりも長く生きてるんスよ」
「吸血鬼の年齢は分かりにくいですからねぇ」
「確かに、見た目じゃほとんどわからないっスからね」
流石商売人というだけあって、なんだか話をしやすく感じるッス。
「家まで帰れるかって言ってたッスけど、私の家は無いんスよね」
無視をしていた質問の答えを返す。
「何か事情があるんですか?」
「普段はダンジョン内の休憩所とかで寝泊まりしてるんスよ」
「人間の国の城に泊めてもらうことは出来ないんですか?」
「確かに、できなくはないかもしれないっスね。アドバイス感謝するッス」
とりあえずはあの二人に連絡を取るところから始めないとっスね。
『あーあー、焔さんっスか?』
思念を使い、焔さんと会話をする。
『なんでしょーか?』
焔さんのだらけきったような声が、私の中に響き渡る。
『泊まるところがないんで城に泊めてもらえないか交渉してほしいんスけど』
『とりあえずこっち来る?』
『許可なく城に入るのも気が引けるんスよ…』
『多分私が説明すれば何とかなるから、大丈夫だと思うよ。迎えに行こうか?』
そう頭に声が聞こえた数秒後に、焔さんが私の隣に現れた。
「早くないっすか?」
「そうかな?とりあえず城に戻らない?」
「焔さんがそれでいいなら良いんスけど…」
「じゃあ決まり!レッツラゴー!」
焔さんは私の肩に手をまわして、転移を使った。
* * *
「ただいまー」
「お帰りなさい!」
「おっ、お邪魔しますッス」
「初めまして!」
いきなり部屋に飛ばされたかと思ったら、小さな獣人の女の子に挨拶をされた。
「初めましてッス…」
「私の部屋は布団が一つあるから、それで寝てもらっていい?」
「泊めてもらえるならありがたいんッスけど」
展開が早すぎてついていけてないッス…