十四繋目:白熱のボス戦!
「私たちも行こうか」
「そうッスね、早くしないとあの兵士たちにボスがやられちゃうかもしれないッス」
「確かに…って出遅れたじゃん」
「そうッスね…」
「流石の私でも、階層主の元へ転移は難しいですよ」
「どうしたものか…」
そんなことを話しているうちに、さっきまで小さく見えていた兵士の背中は、すっかり見えなくなってしまっていた。
「私、ある程度だったら身体強化できるんだけど」
「それでは、焔様について行きます」
「えっえっ?どういう事っスか?」
私とルーンはシェリンの質問に答えることは無く、代わりに私が腰を下ろした。
腰を下ろしたと言っても座ったわけでは無く、中腰くらいの体勢で体を止めた。
「はい」
「『はい』ってなんスか!?意味わかんないっスよ!」
「だから、おんぶしてあげるから」
そう言うと、シェリンは渋々といったような顔で、私の背中に張り付くように乗っかった。
「それじゃあーレッツラゴー」
「うひゃぁ!」
普通に考えたらあり得ない速度で私たちは走り出した。
先に進んでいた兵士たちもチラッと見えたが、兵士たちは私に気付いていないことだろう。
それほどまでに速く、走っていた。
* * *
「はぁ…はぁ…なんもしてないのに疲れたッス……」
「じゃあちょっと休憩したら進むから、息が入ったら言ってね」
「あんな速度で走っといて息一つ乱れてないとか、アンタ達バケモンッスね!」
数分後、シェリンは息を整え終わり、目の前に立ちはだかっていた大きな扉の先へと歩いて行った。
「うわぁ…」
扉の先にいたボスは、なんというか…
気持ち悪かった。
見た目はヒュドラの様に九つの首と蛇のような鱗に覆われた体、二本の脚、長い尻尾。
そして、この階層に出てきた緑色のモンスターの頭。
イメージ的にはオークなんかが近いだろうか。
とても残念なバランスに仕上がっていた。
「焔様、私はこの場所から一刻も早く立ち去りたいです」
「…そうだな、私も同意見だ」
「私は戦闘に長けていないので、ちゃんと守ってくださいッスよ…」
私の後ろにすっぽりと隠れた後、「あんなのに触られたくないッス…」と愚痴のようなものを零していた。
「そうと決まれば、さっさとやっちゃいますか」
私たちが話をしている間にヒュドラ(?)は攻撃の準備を終えたらしく、口から火の玉を吐いてきた。
…が、九つの頭から吐き出された火の玉は、私の近くへ来た瞬間に消えてしまった。
「どの部分が素材としていいと思う?」
「そうですね、頭以外は持ち帰りましょう」
「頭以外ね、了解」
私が数歩先へ進み、ヒュドラ(?)が攻撃をしようとした瞬間、頭だけが弾け飛んだ。
* * *
「腰痛ーい…」
「私は結構慣れっこッス」
ボスの頭が弾け飛んだ後に何をしているのか、それは素材の部分分けであった。
鱗は鱗、肉は肉…といったように、素材の種類ごとに切り分けているのだ。
シェリンは仕事でやっていたのか、慣れた手つきで素材を分けていた。
数時間後、持参していた袋がずっしりと重たくなると、完全に作業が終了した。
魔法で切り刻もうかとも思ったが、「魔法で切り分けると、魔力が残って鑑定の妨害になるので報酬が下がりますよ」とルーンに口を酸っぱくして言われたので、ナイフを使ったわけだ。
ナイフなんて普段使わなかったから大変だった…
どうもLrmyです。
God Killingは不定期になってしまい申し訳ない…
まぁ直るかって言ったらそんなことないと思いますけど。
不定期だからって言って、全くでないってことは無いと思うので気長にお待ちください。
ではでは~