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作戦決行

前話のあらすじ。


『夜のお出かけー。人魂の犯人見つけるぞー』

『さぁワタクシの作戦をいよいよ実行ですわ!』

『……本当に、大丈夫……?』

『オレがついてんだ! 絶対大丈夫だぜ!』

『それじゃー第八話ー』

『作戦決行、ですわ!』

『オレの大活躍を見逃すなよ!』

『……不安……』

「こんばんはー!」

「あぁペリ。準備できてるよ」

「おー! じゃあ行こう! おじさん、おばさん、行ってきまーす!」


 ボクのお父様とお母様に手を振って、ペリはボクの手を握る。


「行こっ!」

「うん!」


 ボクたちは夜の街へ出発した。

 作戦を頭の中でおさらいする。

 まず、適当に街を見回る。

 そして良さそうなところで、ナスタが火を出す。

 人魂に気付いたところで、ネリーネが幻影で仮面の英雄を映す。

 ペリはその幻影を追いかけるだろう。

 そうしたらそのままカモミリアが土を操って足音を出して、衛兵さんの詰所まで誘導する。

 戻って来れないようにネリーネが霧を出したら、その間にアネモスの力で大急ぎで人魂の犯人を見つける。

 で、ナスタが分離する。

 よし、大丈夫。


『私の立てた作戦は完璧ですわ!』

『よっしゃ! いいところに来たら、声かけろよ! バレないようにさっと入って炎出すからよ!』

「あ! レイ! 人魂だ!」

「えっ!?」


 本当だ! 何もないところで火が浮いてる!


『な、ナスタ! まだ早いですわよ!』

『お、オレじゃねぇよ!』

『……じゃあ、あれは……』

『わー、本物だー』


 ウソ! 何ですぐ出てくるの!?

 ネリーネ、どうする!?


『えっとこういう場合はまず落ち着く事が大事ですわ落ち着くというのは心が平穏な状態という事であってつまり平穏というのは波風がなく穏やかな状態を指して波風というのは嵐の中で風と波が激しい状態を示して嵐とは天候の一つで強い風と雨を伴い』

『レイ! ダメだ! ネリーネのヤツ、予想外の事態でパニクってやがる!』

『……ネリーネ、変化に、弱い……』

『こういう時のネリちゃん、面白ーい』


 わあ、どうしよう!


「ふよふよしてる! 捕まえよう!」

「い、いや、危ないよ!」


 ! 目の前で炎がドクロの形になった!


『があああぁぁぁ!』

「きゃあ!」

「うわぁ!」


 び、びっくりしたぁ!


『あ、レイー。あっちの建物の上で、笑い声が聞こえるー』

『犯人か!』

『……捕まえる、チャンス……』

『犯人というのは犯罪を犯した者の総称で犯罪とは法律に反する行いであって法律とは国が定めた守るべきルールの事で国とは領土と主権を有する』


 早く捕まえないと!

 でも追いかけたらペリも付いてくるよね……。


「……ペリ?」

「……」


 た、立ったまま気を失ってる!?

 倒れなくて良かった!


『……ペリ、運ぶ……。代わって……』

「う、うん!」


 カモミリアに代わると、力がすごく強くなる。

 ペリを軽々と抱き上げると、道端のベンチに座らせてくれた。


「……土人形、置いておく……。親子に、見せれば、安全……」


 そう言うとカモミリアは、ペリの頭に手を置くような、大人の人形を作った。

 暗い中だから、本当に親子に見える。


「……起きるまでに、捕まえよう……」

『ありがとうカモミリア! アネモスお願い!』

『りょーかいっ』


 髪の色が薄い金色から、ペリがキラキラ緑と言った色に代わる。

 と、同時にボクの身体が空を飛ぶ!

 見つけた! 建物の屋上から、下を見てる男の人!


「びっくりしすぎて、気絶……! うひひ最高……! でもいつのまに親が来たんだろう……?」

『アイツだなぁ!? 代われアネモス!』

「はーいナスちゃん、ぶっ飛ばしちゃってー」


 え、空中なのに!?

 ナスタが入って、風の力がなくなる!

 男の人のいる屋上に向かって、落ちるぅ!


「とう!」


 すごい音を立てて屋上に着地するボクの身体。

 魔力で守ってはくれてるんだろうけど、ナスタが抜けたら足痛いんだろうなぁ……。


「な、何だお前、空から……?」

「何だ、驚かすのが好きな割に、驚かされるのは嫌いか?」

「く、来るなぁ!」


 男の人が火の玉を放つ!

 でもナスタの火に比べて全然弱い。

 ナスタは軽々と叩き落とした。


「レイの友たちビビらせたんだ、じっくりボッコボコにしてやりたいとこだが、時間がないんでな!」


 ボクの手に白い炎が燃え上がる!


「イノセント・フレイム!」

「ぎゃあああぁぁぁ!」

『やっと出れた!』


 浄化の炎で、男の人を燃やさず、精霊と分離できた。

 飛び出した火の精霊が、ぺこぺこ頭を下げる。


『ありがとうございます。火の魔力を持っ』

「あぁ! 今度からやたらめったら人に入るんじゃねぇぞ! じゃあな!」


 火の精霊の話もそこそこに、ナスタは建物から飛び降りる!

 い、急いでるけど、そんな乱暴に降りなくても!

 明日、歩けるかなぁ……。


「……すぅ、すぅ……」

「よかった。まだ寝てたぜ」

『ありがとうナスタ。間に合わせてくれて』

「けっ、オレに任せりゃこれぐらい朝飯前よ! ……それに、バレたらお前とこうやって暴れる事もできなくなるって思ったら、その……」

『……土人形、戻す……。代わって……』

「カモミリア! お前オレがいい話をしてる時によぉ!」

『……ペリ、起きちゃう……。早く……』

「わ、わかったよ!」


 カモミリアは土人形を元の土に戻して、ボクをベンチの隣に座らせた。


「……足、骨は、平気……。でも、ちょっと、痛い……。治しとく……」

『ありがとうカモミリア』

『はっ! ここはどこ!? ワタクシは今まで何を!?』

『……ネリーネ、今回お前全然役に立たなかったな……。作戦は外すわテンパるわでよぉ……』

『ネリちゃん、ずーっとぶつぶつ言ってて面白かったー』

『そ、そんな……! ワタクシ、賢いポジションなのに、そんな……』

『みんな、ネリーネを責めないであげて。結果としてうまくいったんだからさ』

『……レイ〜……! ありがとう〜……!』

『泣くなうっとおしい! レイがいいって言うならいいんだよ!』

『そーだねー』


 うん、無事に解決できたんだ。

 ペリにも正体はバレなかったし、よかったよかった。


「……う、ん……?」

「……ペリ、起きる……。交代……」


 カモミリアと代わると、ずっしり来るだるい感じ……。

 足治してもらってなかったら帰れなかったかも……。


「ペリ、大丈夫?」

「レイ!? え!? 人魂は!? ドクロになってがおーって!」

「ボクも見たよ。びっくりしたね。すぐ消えちゃったけど」

「うん! びっくりしたけど、そのあとおぼえてない! あれ!? 私びっくりしすぎて気ぃ失ってた!?」

「うん。大丈夫みたいでよかった」

「心配かけてごめんね! ……あ、もしかしてここまで運んでくれたの?」

「あ、あぁ、うん……」

「レイ力持ち! すごいね! 男の人みたい!」


 ドキッとするけど、バレたわけじゃない。

 落ち着いて……。


「じゃあそろそろ帰ろうか」

「うん! 今日はびっくりしたけど楽しかった!」


 ベンチから立ち上がり、ペリと手を繋ぐ。


「明日は気ぃ失わないようにがんばるね!」

「あ、明日も行くの?」

「だってちゃんと見たいもん! それにこんな不思議な事件なら、仮面の英雄様が来るかもしれないし!」


 人魂事件は解決したし、仮面の英雄はボクだから現れないのも知ってるけど、


「会えるといいね」

「うん!」


 そう言ってボクはペリと家に帰った。

読了ありがとうございます。


知的キャラは何故高確率でポンコツになるのか、これが分からない。


いよいよ次話で完結です。

今回の話でようやくアクションらしいところを見せましたが、次話はアクションはありません。


『何ぃ!?』


つまりネリーネに名誉挽回のチャンスもありません。


『そんな……!』


カモミリアの必殺技も出ずじまいです。


『……別に、いい……』


ほんわかほのぼのエンドです。


『やだー。もっと遊びたーい』


というわけで最終話『包み込む愛』、よろしくお願いいたします。

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[良い点] 予想外に弱いネリーネすごくかわいいです! 知的キャラのポンコツぶり堪能しました! キャラクターがとっても魅力的だなと感じます!! 拝読していてそれぞれがしゃべっているところが想像できて楽し…
[良い点] 次話、完結??? えええええええっっっ。早いっ、早いですっっ(涙) ああでも元々短編でしたっけ。そっかぁ。早いなあ [一言] >何故高確率でポンコツになるのか、これが分からない 吹き出し…
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