表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/9

仮面の英雄

前話のあらすじ。


ペリだよ!

ちっちゃい時からずっと友達のレイ!

やさしくてかわいい女の子!

でも怖いお兄さんたちに囲まれた時、すっごく強かったの!

ばーんってやって、どかーんって感じで、げしげしげしってふんでた!

すごかったなぁ! まるで別の人みたいだった!

レイが男の子だったらお嫁さんになりたいな!


え、次のお話? えっと、あ、第五話『仮面の英雄』! 読んでね!

「うへへ……。濡れスケ……。濡れスケ……!」


 ナスタの力で目を凝らすと、路地の角から通りを見つめる男の人に、精霊の力がぐるぐる回ってるのが見えた。


『あいつだレイ! 女と見れば雨を降らせる精霊憑きは!』

『まぁ、何ともよいご趣味で。じっくりお話したいですわ』

『……変態……』

『ねーねー。今日はどうやってやっつけるのー?』

「うーん、前のロングスカート切り裂き魔はネリーネの幻影で誘えたけど、狙いが女の人なら誰でもって感じだからなぁ。それに昼間だから、無理に捕まえようとすると目立つよね……」


 とりあえずいつでも動けるようにしないと。

 スカートを脱いでボタンを外し、肩に付ける。

 髪を後ろで縛って仮面を付ける。よし、準備完了!

 スカートからショートパンツ、肩にマント、仮面をつけて髪型まで変えれば、そう簡単にはバレないよね。

 なんて考えていたら、男の人が魔法を使った!


「きゃあ! な、何!? にわか雨!?」

「うへへ……!」

「あ、やんだ……。んもう、何なの……?」

「濡れスケ、最高……!」


 何であんな事するのかわからないけど、このまま放っておくと風邪ひく人も出ちゃうよ。


「アネモス、あの人乾かしてあげて!」

『はーい』


 アネモスがボクの中に入る。


「サニー・ウインド」


 ボクの手から吹き出した風が空へ上がり、温かい風になって濡れた女の人に降り注ぐ!


「きゃっ、今度は風!? ……あ、でもあったかい……? 服が乾いてく……? 不思議……」

「な、何ぃ!? お、俺の濡れスケがぁ……! 誰か精霊使いがいるのか!?」


 あ、男の人が路地に向かって逃げた! これはチャンスだ!


『今だアネモス! このまま捕まえて!』

「りょーかいっ」


 身体が風をまとって浮き上がる!

 アネモスの力はこれがすごいよなぁ。


「まーてー」

「な、何だお前!」

「にーがさないぞー。エアロ・フロート」

「か、身体が、浮く!?」


 よし、捕まえた!


『アネモス、そのまま分離して!』

「え、いーの?」

『うん! お願い!』

「わかったー。ホーリー・ウインド」


 白く輝く風が男の人に吹き付ける!

 男の人から水の精霊が飛び出した。よかったぁ。


「うわー! すごーい! 精霊使いだー!」

『!?』


 聞き慣れた声に振り返ると、あぁ神さま! どうしてペリがここに!?


「精霊憑きの人から精霊を分離してあげたんだ! すごーい! カッコいい!」

『や、やばい!』

「だからいーの?って聞いたのにー」


 そういう事はちゃんと言って!


『と、とにかくアネモス、早くここから離れて!』

「えー? ペリちゃん楽しそうだよー? このまま一緒に遊んでもいいでしょー?」

『ダメ! 今は絶対ダメ!』

「え、私の名前、知ってるの? 誰? キラキラ緑の髪の人なんて、知り合いにいたかな……?」


 もうダメだ! こうなったら……!


『アネモス! 帰りは好きに飛んでいいから、今すぐ飛んで!』

『レイ!?』

『急いで離れなければいけないのはわかりますけど、それは……!』

『……地獄……』

「わーいやったー! じゃあ飛びまーす!」


 アネモスはいきなり飛び上がった!

 すごい速さ……! その上、上がったり、下がったり、回ったり……!


「わーい! たーのしー!」

『バカやめろアネモス! うぇ、きもちわる……!』

『目が、目が回りますわ〜』

『……出して、下ろして……』

『あ、アネモス、もうちょっと、優しく……』

「ひゃっほー!」


 あ、聞こえてない……。

 ボクたちはアネモスの気がすむまで、空を振り回され続けた……。




「ねーレイ! あたしすごいの見た!」

「……なに……?」


 アネモスに身体を貸したのと、振り回されまくったのとで、居間でぐったりしていたボクのところにペリが飛び込んできた。


「精霊使いの仮面の英雄様!」

「え……」

「あのね、すごい風でびゅーんって飛んで、精霊憑きの人を助けて、またびゅーんって飛んでいったの!」

「そ、そうなんだ……」

「でね! 仮面をしてたんだけど、私の名前知ってたの! キラキラ緑の髪の人に知り合いいないんだけど、誰だろ? 気になるー!」

「あ、あの、ペリ……」

「レイは心当たりある?」

「えっと……」


 ボクだけど、そんな事言えない……。


「わ、わからないけど、仮面をしてたって事は、正体を知られちゃ困」

「ありがと! 他の人にも聞いてみる! じゃあね!」


 あぁ、飛び出していっちゃった……。

 明日にはきっと学校中の噂になるだろうなぁ……。

 しばらく精霊憑きを探すの、やめた方がいいかなぁ……。

読了ありがとうございます。


正体がバレそう回をやりたかったので、普段着を使って変装させてみました。

ロングスカートをマントにしたら格好いいかな、と思ったまでで、ショタっ子にはショートパンツを履かせるべきと思っているからやった、なんて事はあります。


さて今回大活躍のアネモス。これは簡単だったかと思います。

ギリシャ語の『風』から名が付いた花、アネモネです。

というか、ギリシャ語の『風』がアネモスと言うそうです。

でも花由来です! 色々もじったけどアネモス以上にしっくりくるのが思いつかなかったんです! 堪忍してつかぁさい!

アネモネの花言葉は短命な花ということもあってかギリシャ神話の悲恋の物語に登場し、そこから『儚い恋』『恋の苦しみ』『見捨てられた』などネガティブな言葉がついています。

しかし『無邪気』『待望』などの言葉もあるのでそっちメインでキャラを立てました。

おバカキャラになった感はありますが……。


それでは次話『原点』もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ