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冤罪で処刑された公爵令嬢

「ユーフェミア王国王太子ラインハルトは宣言する。エレノア、私は貴様との婚約を破棄する!!!」




 最初の人生で私の婚約者が卒業記念のパーティーでそう宣言されました。

この後、身に覚えのない冤罪で私は投獄され処刑されたのです。



 なんでもラインハルト様の恋人の男爵令嬢を悪し様に罵ったとか、茶会に呼ばなかったとか、階段から突き落としたとか、そんな理由で。




 ・・・いや、罪重くないですか?

私、王太子の婚約者の公爵令嬢ですよ。

男爵令嬢に害をなしたからと言って、ましてや婚約者の不貞相手にその程度のことで処刑されます?

ましてや私の場合、冤罪ですからね。


 でもこの時の私には庇って下さる友人もおらず、元々は少し気の弱いところがありましたから、冤罪を晴らしきれず投獄されることになってしまったのです。

友人が出来なかったのには王太子妃教育のため、感情が表に現れにくいことも仇となったと思います。

ですが一定の人間と懇意にすることで将来、王太子妃になった時に余計な忖度を持たないためだと王太子妃教育でならったことが大きかった気がします。



 ???

王太子は良いのですかね?

ずっと疑問に思った事を今言ってみました。

ふふふ、今更ですね。



 処刑された後、なぜか私は自室のベットの上に寝ており、何と体は6歳まで若返っていました。

鏡を見たときは夢でも見ているのかと思いましたが、よく考えれば死んだ人間は夢など見れませんものね。


 最初の人生で王太子との婚約が結ばれたのは8歳の時。

再び王太子なんかと婚約してなるものかと、私奮闘させていただきました。


 王太子のお出でになるパーティーなんかには必ず欠席しました。

それでも家柄を鑑みて婚約のお話は当家にやってきます。

それを回避するため、以前は希薄だった父との関係をここ一年で改善致しました。

甘えて甘えて甘え倒しましたわ。


 父も私のことが嫌いだったわけでは無く、母を早く亡くし何となく関わり方が分からなかっただけのようでした。

王太子妃にもなれば実家に戻ることはおろか、父に会うにも一苦労します。

それが嫌だと言えば、父は目尻を下げて大喜びで婚約を断ってくださいました。

ギリギリセーフでございます。


 なんとか婚約を回避した私は今年16歳となりました。

最初の人生では出来なかったあれやこれやを満喫して暮らしておりました。

そのおかげか、前回の人生より性格が明るくなり、気の弱さもなりを潜めたように思います。



 なのに何故でしょう?

私の目の前に今、ティーセットと茶菓子が整えられ、王太子のラインハルト・ユーフェミア様がいらっしゃいます。


「エレノア嬢、今日も美しいな。君とこうして毎日でもお茶をしたいものだよ。」


 王太子はそうおっしゃいました。

・・・大丈夫ですか?

私の見た目は前回から変わっておりません。

婚約者だった時には一度もそんなことを言われたことがありませんのに。

目を患われたのでしょうか?


「王太子殿下は口がお上手ですのね。」


 そのように切り返して、私はお茶を一口飲みました。

まあ、相変わらずなんて美味しいお茶でしょうか。

さすが王宮、この見事なお茶やお菓子が食べられないことだけが心残りです。

今のうちに目の前にある見事なマカロンを食べましょう。

と思ったのに王太子が話しかけてきました。


「王太子殿下だなんて他人行儀な・・・。君にはラインハルトと呼んで欲しい。君のこともエレノアと呼んでも構わないだろうか?」


 嫌です、とは言えませんからね。


「恐れ多いことです。」


「何を恐れることがあるものか。私は君になら何と呼ばれても構わないよ。」



 え、糞野郎とかでも大丈夫ですか?


 しょうがないので俯きがちに微笑んでおきます。

王太子もまんざらでもない顔をしておりますので、よく分かりませんがこれで良かったのでしょう。


「今日は君の好きな菓子を取り揃えておいたよ。気に入ると良いのだが。」


 王太子の言葉に、思わず目を瞠りました。

好きな茶菓子が揃っていると思ったら私の好みに合わせて下さったのですね。


 ・・・でも私、茶菓子の好き嫌いを殿下に話したことはありません。

調べたのでしょうか? 調べたのでしょうね。

その調査能力は、冤罪を生む前に使用できなかったのでしょうか?


「本当に素晴らしい茶菓子ですわ。さすが王宮の職人ですわね。」


「気に入ったかい? 君が望むなら好きなだけ王宮にいて良いのだよ。」


 謹んでお断りします。

男爵令嬢はどうされたのでしょうか?

いくら今の王太子が私に何もしていないと言っても、何もなかったことには出来ません。


 第一、婚約者のいる身で浮気をしたのもこの人ですし、その恋人に言われたからと言って一方的な話を信じて私を処刑するような方なのです。

はっきり言うなら、絶対許さないですわよ。


 どうお返事をしようかと考えていた所、周りが騒がしくなってまいりました。

今いる庭園の向こうの方に、件の男爵令嬢と取り巻きたちがやって来るのが見えます。

取り巻きの中にいる王太子の従兄弟の公爵家令息が引き入れたのでしょうか?


 意外にもそれ見た王太子が舌打ちをされ、小さい声で呟かれました。


「あいつら・・・処刑ものだな。」


 えげつないブラックジョークですね。

本気でないにしろ、すぐに処刑・・・などと言う発想になるからこそ、前回それほどの罪でもない公爵令嬢の処刑などとなったのでしょうか。


 はっ! いけないっ!! つい汚物を見る目で王太子を見つめてしまいましたわ。

誰かに見られなかったかしら。


 それにしても、ここは王宮。

こんなにも簡単に部外者が入ってこれて大丈夫なのでしょうか?

これがお友達になった令嬢が言っていた、ゲーム補正と言う奴でしょうか?


 ああ、私もこうしてはいられません。

彼らが此処に来れば、当て擦られるのは私ですからね。

多勢に無勢、逃げるが勝ちです。


「殿下、お友達がお見えになったようですわね。お邪魔したくありませんので、私はこれで失礼いたします。」


 王太子に引き留められましたが、よくこの状況で引き留める気になったものですね。

まさかこれが今日お茶会に呼んだ目的なのでしょうか?

さっさと逃げましょう。


 すれ違いざまに外野が何やら騒いでおりますが、もうよく聞こえません。

そう言えば、王太子が良く喋るのであのマカロン食べ損ねました。

お店でマカロン 買って帰ろうかしら。



 あっ! そうそう、本日のお相手は私ことエレノア・ミレディ公爵令嬢でした。


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