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下着







 炎をなびかせながら地面に手を突いて着地する。


 俺を中心に衝撃が炎のウェーブとして可視化される。


 広がっていく炎に当たり判定はある。


『タイタンライフル』


 キンッ。カイザーの加護が無効化。


 俺は魔法使いを目指して駆ける。


『タイタンランチャー!』


 銃器が虹色の光を放って筒のような火器に姿を変える。


 発射された弾頭が魔力を噴射しながら俺を狙う。


 俺は背を向けてカリンガを使い、バックステップで進む。


 爆薬の塊は体を貫通しても進む。


 壁で炸裂すると大爆発を起こした。


「ッ……」


 カリンガをキャンセルして振り向く。


『ソードウェーブ』


 魔法使いは縦の衝撃波を横に飛び込みながら避ける。




『させるかあ!』




 男が叫ぶ。風の魔法で空に舞っていた。


 俺を見据えた剣先がキラリと輝く。


『ランサーブレード』


 斜め下の角度に進んで空間を攻撃するランサースキル。


 そのまま突っ込んでくるつもりか!


 威力は当たり前のように高い、当たったらヤバい!


 カリンガはまだ使えない。


 なら、することは一つだよな。



『ブーストソード』



 叩き落としてやる。



 鉄の剣が応えるように火の刺青を吹かす。



 白い煙が周囲に漂った。


 剣と一緒に突っ込んでくる相手の当たり判定。


 その判定の、一歩手前が俺の攻撃が命中する瞬間。


 加速して近づいてくる姿を見据えて。



 ……ここだ。


『スラッシュ』



 瞬間的に剣の炎が爆発するように燃え上がる。


 ガガガガガ。


 機械音が鳴り響き、大粒の火花がバチバチ散る。


 強烈な火炎が斬撃を後押しするように吹かれる。


 高速で繰り出した一刀が炎の残像を生み出す。




 命中の合図として俺の体が一瞬止まる。




 同時にランサーブレードの効果音が消えていく。


 炎が空気に溶け、膝をついた男が見えた。


「ぐうぅ……」


『タイタンマグナム』


 落ち着く暇がない。


 魔法使いの手に六発装填された銃が宿る。


 いわゆるリボルバー。


 パンパン。


 引き金が引かれると二発の弾が一度に飛び出る。


 これはまだ避けやすい。


 相手の置きエイム。つまり、予測して狙えるかが問われる。


 この子にはまだ難しいスキルのはずだ。


 俺も対抗して。


『タイタンマグナム』


 一丁の銃を左手に作る。


 これは初歩のスキル、強くなると誰も使わない。


 俺が取った理由は一つ。



 クルクルかっこよく回したいからだ!



 ソードダッシュで接近しながら人差し指で回す。


 右手じゃなくてわざわざ左手で練習した甲斐が有るな!


 撃ち切った魔法使いの手から銃が消える。


「た、たいたんらいふる!」



 タイタンマグナムの欠点。


 初歩スキル過ぎて使うと一定時間、他のタイタンスキルが使えない。


 これは他の属性スキルにも言える。


 運営は器用貧乏をさせなくないらしい。



 出なくて驚いてる姿を横目に過ぎ去る。


 頭部に銃口を向けて引き金を引く。


 パンパン。


 大ダメージ確定のヘッドショットを近距離で二発も食らった魔法使いは膝をつく。



 ヘッドショットはダメージ補正が掛かる。


 特にタイタンマグナムに大きく補正される。


 そのくせ二発も撃つから遠距離は当てにくい。


 でも近距離だったら剣二本持つ方がいい。



 完全に要らない子です。



「来んなし!」


 ギャルにめちゃくちゃな魔法が詠唱される。


『フレア!』


『シルフィード!』


 火炎の爆発を避け、風の空間形成を甘んじて受け入れる。


 こんなに魔法が使えるなら最初から使えばいいのにな。


 一体一は大得意だ。


 近づいて装備欄にアクセスする。


 魔法を避ける為に動きながらウィンドウに手を突っ込む。



 クラン戦では不要なバンディットスキル。


『ラバー』



 引き抜く動作をすると。


 ウィンドウが、ガラス片のように飛び散る。


「きゃっ」


 俺の手に宿ったのは。


「これは貰うぞ」


 黒と緑の清楚系スポブラ。


「か、返して!」


「ダメだ、俺が貰う」


 俺はポケットにスポブラを押し込んだ。


「そもそもクラン戦で盗みって……!」


「まあおかしいだろうな」


「変態! ゴミ!」


 その言葉がどんなスキルよりも痛いな。


「スレで話題になってた下着泥棒ってあんたの事ね!」


「いや、それは違う」



 違わないけどな!


 仲間と戦いながらウィンドウに手を突っ込んでたわ!



「疑ってごめん!」


 信じてくれてごめんよ。


 俺はそのままソードダンスで戦いを終わらせた。





『勝者が決まった、祝えお前ら! 祝われろお前!』



 勝者のボイスを聞いて戦いが終わったと確信する。


 その場で座って初勝利の余韻に浸る。


 今思えば、相手はかなり連携が取れてなかった。


 舐めてかかってきてくれたからだろう。


 視聴数の報酬が視界に浮かぶ。


 どれくらいの人間が見たのか、そういうのは出ない。


 報酬です。ってゲーム内通貨が出てくる。


 その額は20万。


 少な。アイテム買ったら終わりじゃん。


 現実生活になったら大金に見えるが、ゲームで動く為の資金と考えると……。


 少ないと言わざるを得ない。


 それだけクランバトルのアイテムはぼったくりなんだよな。


 投げ銭アイテムも俺の周囲にワープして現れる。


 魔物戦で余ったようなゴミアイテムの嵐。



 即死が当たり前なクラン戦で立ち止まって回復アイテム?



 正気じゃないだろ。


 そんな中で最後に落ちてきたアイテム。



 一番価値があるシロモノ。



 かわいいクマさんが印刷された純白のパンティー。









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