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独眼竜伊達






『多分きっと、今日はいい日になる。多分な?』


 ボイスの後、俺は一気に走り出す。


 新規の街だから相手の装備は弱い。


 俺も身につけた経験があるくらいにはな。


 可能性はかなりあると考えた。


『ファイア』


 左手にフックを構えながら、右手の剣を引きずってスキルを発動させる。


『ソードダッシュ』


 斜めの角度から魔力を噴射してファイア魔法から逃げる。


 空に上がった俺は左手のフックを天井に刺す。



 スカッ。



 なんで外れるんだよ! 劣悪でもないのに!


 もう一度!


 別の天井に刺すとなんとか成功した。


 狙った対象が動かせない存在だった場合、自分が引き寄せられていく。


 俺はブランコか振り子のように前へ体を振る。


 相手チームの頭上でフックを切り離す。


「こしゃくな!」


 魔法が使われる前に詠唱邪魔ノイズを発生させる。


 耳がキーン。


 そんな中でソードダッシュで突っ込んで来た人間が一人。


 無双連撃を使ってきた。


 俺はカリンガを使って対応する。



 まるでそこに地面があるかのように。



 空気を蹴ってバックステップを踏む。



「なっ!」


 モーションは高低差関係ない、ゲームだから。


 連撃を避けた俺は一気に近づくモーションで斬り上げる。


 被弾しても相手のモーションは続く。


 ギリギリでカリンガキャンセル。


 詠唱邪魔ノイズを追加して。



 仕返しの『無双連撃』を発動。



 カリンガのキャンセル効果で斬撃を瞬間的に叩き込む。


 突き刺して大爆発。


 爆発エファクトも加速して消える。


 膝をついて落ちる男を見ながら吹き飛んでいく俺。


「し、死んでるっ!」


「マジやば? どうする?」


 吹き飛び終えた俺は遠距離攻撃のソードウェーブを構える。


 振り上げてちょうど背後の壁に剣先が向いた時。


『ソードダッシュ』


 剣先の魔力を噴射して滑るように高速で前進していく。


 振り下ろすモーションから刃の衝撃波が現れる。


「ッ……!」


 衝撃波に隠れながら接近した俺は、ブーストソードを発動させて右側に飛び出す。


 鉄の剣に赤い亀裂が走る。唸るように白い煙を吐いた。


 ブーストソードの効果は炎の追加と縦に振る斬撃モーションの加速。


 加速効果を使用するとブーストソードは終わる。




『フォーゼ』




 独眼竜伊達の加護が待つ龍のエフェクトに飛び込み、派手な甲冑と隻眼を纏う。


 ブーストソードが効果を終える。


 鉄の剣が装飾を施された刀に変わる。



 独眼竜の効果は特定回数の独眼スキル許可。


 申し訳程度のスピード増加補正と被弾の無効。


 被弾の無効は独眼竜伊達において効果終了を意味する。



 独眼スキルその壱。


『ドラゴンアイ』


 隻眼の中を見せ、視認した人間は2秒だけ完全に静止する。



 止まった魔法使いを近づけフックで引き寄せる。


 敵を掴んだ時のフックは身体に巻きついて拘束する。


「た、たすけてっ!」


 動き出した時間に合わせて詠唱邪魔ノイズ。


 ピキーン。


 不発しやがった! もう一度!


 ピキーン!


 クソ、魔物戦向けの悪い癖が出ちまった!




『タイタンライフル』




 別の魔法使いに詠唱されてしまった。


 でもタイタンライフルは弱い方だ。


 一瞬の弾丸で撃ち抜くスキル。


 もちろん、当たればちょっとヤバい。


 下手に回避したら周囲の奴が攻勢に出てくる。


 俺はタイミングを合わせて回避スキルを使う。


 パンッ。


 乾いた音に合わせて。


『カリンガ』



 弾丸が通り抜けた瞬間にモーションをキャンセル。



「な、なんで……?」


「ま、マジか!」


 傍から見れば、体に当たったのにすり抜けた判定。


 一瞬だけ当たり判定を剣に移したんだからな。


 クソとろいフックで引き寄せた魔法使いに第二の独眼スキルを使用する。



『天下無双』



 その場で刀を掲げると白い光が刀に宿る。


 白き炎に燃え立つ刀をゆっくり振り下ろす。



「ユカー!」


 光が魔法使いを包み、青い龍がその場で光ごと天地を飲み込んだ演出。


 膝をついて魔法使いが終わる。


『タイタンライフル』


 発射された弾丸を独眼竜の加護が受け止める。


 フォーゼの効果と甲冑が燃えながら消えていく。



「マジやばいんですけど!」


「2人も消えちったよ……」


 鉄の剣を握り直してソードダンス。


 ノーモーションで剣に青いオーラを纏わせて突っ込む。


 相手の攻撃を上手く交わす必要はない。


『タイタンライフル』


 こんなウザイ魔法使いはもう倒してしまえばいい。


 土の銃が弾ける。


 俺は手を向ける。


『カウンターファング』


 この技は受けたダメージ分をグフッ!


 通り抜けた弾丸がクリーンヒット。


 激しい痛みが全身に回る。


 それは相手も同じみたいでうずくまっていた。



『ギャザリング』



 回復スキル。


 手を横に振るモーションの後、減ったHPを瞬時にリカバリーするスキル。


 このスキルは前後左右に対する移動に強く制限をかけていて、比較的無防備になる。



「あれは隙だ! 行け!」


 この間に突っ込んでくるギャルと男。


 俺は二人が領域に踏み入れた瞬間、魔法を使う。


『アップブレス』


 特に動きを必要としない風の魔法。


 対象を不安定な空に投げるだけ。


 その対象は自分とギャルと男。


「え!?」


 ギャザリングは平行な移動を制限するだけで上下の制限はない。


 俺だけ棒立ちで上昇していく異常現象。


 そのまま仲良く三人で空に打ち上がる。


 モーションがないギャル達が体制を崩した。


 ギャザリングのモーションが終わる。


 即座にスキルを発動する。



『ファントムソード』



 周囲に透明な剣を浮かせて剣を横に振ると。


 ヒュンヒュン飛んだ剣が二人を斬り裂いた。


「ひ、引くぞ!」


 男がギャルの手を取ってソードダッシュ。


 俺の方に魔力を噴射して離れていく。


「援護する!」


 痛み分けをしていた魔法使いが引き金を引く。


『タイタンライフル』



 空中に居る俺は食らってもいいが。


 それって投げ銭的にダサいよな?


 カッコよく避けてやろうか。


 いつもより早くフォーゼのリロードが完了したんだ。




『フォーゼ』




 カイザーの加護は確率で攻撃の無効化。


 眼前に炎のオーラが立ち塞がる。


 ソードダッシュで突き破り、炎の鎧を着込む。



 その先で待ち受ける弾丸に対して、炎の篭手で握り拳を作った。



 その手をゆっくり開くと。



 手中(しゅちゅう)から落下していく弾丸。



 カランッと地面を叩いた。









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