冬コミ原稿デスヨ!(未完なり)
第1節 魔術概要
この節では現在確認されている様々な魔術群の概要を記載する。子細に描写が可能なものはなるべくその実態を次の章で述べるものとする。
マーレ魔術
マデナ理論に基づく比較的新しい魔術体系であり、原初の魔術「原典」と同じく詠唱を用いた「マデナ」との意思疎通によって発動させる魔術方式である。詠唱によって自身の深層意識の魔術イメージをマデナ粒子に投射、同時に術者のイヴ体のマナを放出することでマデナ粒子が再現、実行する形で事象改変を起こす。この魔術イメージが明確であるほど意図した現象を正確に発動できる為、多くの人に同じようなイメージを想起させる規格化された詠唱が存在する。これがいわゆる汎用詠唱と呼ばれるものであり、ローメイン魔導学院においてはこの詠唱を一通り習熟することが第一関門となっている。
マーレ魔術は放出したマナの量や質、術者のマデナ血中濃度や意志力によって威力、効果が増減するため得手不得手などの個人差の差が激しい魔術であるが、潤沢なマナや意志力さえあれば治癒を除けばなんでもできるとさえ言われているほど術の縛りのない魔術であるが、高度な魔術に関してはそれ現象を起こすための複雑な理論構築を必要とする。治癒魔術に関しては、ある程度人体の構造に詳しく適性を持つことが必要であり、損傷箇所の元の状態を何らかの方法で把握できていないと間違った治癒が行われ壊死が起きることが大半である。その解決策として治癒ポーションや、未だ実用には至っていないがイヴ体を復元し、双体理論における付随復元現象を引き起こすことで治癒するといった考えが考案されている。
以下からはマーレ魔術における特異な詠唱方法を記述する。
・陣術
ルノア魔術の権威デーヌ・アイサックによって考案された術式。円形を主軸に幾何図形の合わさった昔ながらの刻印魔術を用い術者のイメージ投射に一部のルノア文字で補正を加えて強化を施し、放出したマナを拡散させることなく気中のマデナ粒子に効率よく受け取らせることで、大規模な魔術の発動や詠唱の簡易化を実現したものである。正確には一つの魔術ではなく魔術の発動を補助する技術のたぐいのものであり、これによって戦況を変えうるレベルの大規模術式の構築が可能となったほどの画期的な技術であった。陣の作成には麗蘭石やコーツ鉱などを含む6種の魔術触媒を砕いて固めた特性のチョークを用い平らな地面に描くかほか、簡易化のためのものは紙に陣を描く。その理由として、複雑な陣は繊細で、少し線がずれただけで陣にマナが流れず魔力暴発を引き起こすというマナの不安定さを併せ持つため、万が一こすれるなどして陣がずれた際のリスクが莫大であることがあげられる。
・無詠唱術
詠唱が本来必要なマーレ魔術であるが、マデナとの親和性が35%を超える高適性者や、何らかのアクションをトリガーとすることで、詠唱を省いて魔術を発動する。その代わりマナ消費が激しく威力も著しく低下する。通常、発音による詠唱によってマデナ粒子と深層意識のやり取りを行うが、無詠唱法術の場合は自身の深層意識とマデナ粒子のリンクを定型化し、詠唱を省いた状態でもマデナ粒子とのやり取りを可能にしている。そのため、最低限の素質のほかに何度も発動することによるパターン化を行うことで発動確率を上げることが必要である。
このように威力の低く、対軍戦術としては適さない無詠唱術であるが、消音性と発動時間の短さから北域の国々特有のゲリラ戦術では多用される詠唱方法である。
ノイット術
マーレ魔術が確立する以前に使用されていた魔術。長大な詠唱とマインドを使用することで神の御業を限定的に再現する。
ルノア魔術
ルノア輝石ルノア文字を刻んだ第二階位以上の輝石を使用して発動する魔術。ルノア文字は現存する文字言語の中で最も原初の統合言語に近いとされる言語である。ここでいう原初の統合言語とは全ての知性を持つ種族及び概念全てと意思疎通可能な言語で、この言語を使うことで魔術の行使をも可能にすると言われる。この際の魔術の発動キーは発音ではなく刻まれた意匠であり、その下位言語である文字の意匠のみを持つルノア文字を使う際も発音ではなく正確な意匠が重視される。今言った通り、ルノア文字に発音は存在せず、それ故に詠唱は存在しない。そのため即時発動の可能な魔術であるということ、それがこのルノア文字の優位点である。だが、欠点もあり、ルノア文字の文によって魔術の威力や属性、性質などを定義するため、注ぎ込む魔力の質などは関係ないため、事前に作成したルノア輝石の魔術のみしか使えないという点がある。ただしこれは魔力の質が著しく低いものでも同様であり、必要量の魔力さえ注げば同一の魔術が発動できるため、使用者を選ばない魔術ともいえる。また便宜上ルノア文字の意匠それぞれにも発音が与えられている。
錬金術
錬金術はマーレ魔術と同じマデナ理論体系でありながら、モースの鋼子・輝子説やシャ-デルの物質原理に基づく、鋼子と輝子の割合操作による物体の形態変化、マナポゼッションによる性質変化を行うことを目的として発展してきた魔術系統。この対象には生物も含まれ、新たな生命の創造や治療行為もこの分野で扱うことがある。直接戦闘などに用いられることのない錬金術では、魔導具をはじめとする設備を利用した発動が大前提としてあり、その詠唱速度も遅い。だが現実空間の改変能力だけで言えばマーレ魔術の大規模詠唱魔術を超えるものも存在する。錬金術には、マデナ理論のほかに、様々な物質の組成に関する原理を学ぶ必要がある。
双道術
マデナ理論とは全く別側面のアプローチによって魔術発動をしているとされる民族内でのみ伝わる秘術。イヴ体とマインドそのものを操作する術とされているがそのほとんどが不明。
儀式魔術
マインドの代わりに供物をささげることで効果を発揮させる魔術。発動には簡易的な祭壇を用いる。携行できるような祭壇も考案されている。平均的なマーレ魔術の攻撃呪文であるフロガスフィラと同等の魔術エシを発動するにはネズミなどの小動物5匹程度の供物を必要とするなど効率は悪い。だが、この魔術の最大の特徴は供物に生命をささげた場合イヴ体に作用する魔術を発動できることにある。その性質から呪いを操る術とされ忌み嫌われることの多い魔術でもある。
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