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最悪に黒い王国  作者: 愛猫家
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黒い黒いお国と好き勝手総統

俺は、暇な書類の仕事を投げ出して席を立った。

こんな紙切れ数百枚、投げ出したってなんちゃない。

後ろで召使いが何か言ってるが、気にしない。

俺はこの帝国の最大地位の人間だ。


大最黒帝国


「また、ですか?」

「また、だよ。ちょっとフラついてくる」

「そうですか…ではヴァンクール様…お気をつけて」


最悪に黒い帝国。

ふとそのことを思い出し鼻で笑いながらメイドの見送りを横目に城を出た。

外へ出て、少し歩くと金属が擦れ合う音が響いてきた。

シグが指導している軍隊の訓練場だ。


「やあ、シグ。今日も精がでるねぇ」

「ニコ、まあね」


団長の、シグ・タンペット

重い鎧を身につけ敵を斬り殺し多くの命を掻っ攫っていくその姿は

まさに“嵐”のようで華麗である。

この国の人口の半数は軍人。

他国の奴隷であった者を買い集め、シグが信頼と尊敬を得て

ここまで強くし、大きくなった。


“戦争屋”


この俺の二つ名。

この二つ名がついたのもこの軍隊のおかげ、なんだろうな。

真面目馬鹿真面目なこのシグが居るから、この国が成り立っている。

そう言っても過言ではないかもしれない。


「それじゃあ、頑張ってくれ給え」


そう捨て台詞に俺は城に戻ってった。


「蜜柑ー?今お暇かいー?」

「んー、暇だよぅ」


城の最上階。

長い廊下を渡った突き当たりの部屋。

戦略家のミカンの部屋がある。

返事を聞いて扉を開けると柔らかいカーペットの上に炬燵。

その中にミカンが入っていた。


ミカン・ストラテジーア


「ふわふわぁ…」

「まぁーた仕事サボってきたん?」

「人聞きが悪い、城を見回るのも最高位の総統様の仕事だろう?」

「あー、そうですねぇ?そーとーさまー」


気の軽い会話を交わしながら蜜柑を口の中に放り込む。

そういえば、戦争屋のこの国はミカンも居て成り立ってる。

確実な戦略。

確実な国の潰し方。

確実な軍隊と、確実な戦略。

そして確実な私の部下の能力。


「この前潰した国からいくら資金とれた?」

「んー、結構取れたよ。何に使うつもり?」

「この前焼けた橋に鋼に鎧に他国からの食料の輸入」

「ならいっか」


少し、長居し過ぎた気がして、腰を上げる。

ヒラヒラとミカンに手を振ってまたフラつき始める。



今度は街に出た。


「総統」「総統閣下」


ヒソヒソと周りから声が聞こえ始めた。

戦争好き、という印象が広まっているのかあまりちやほやはされにくい。

まあ、それはそれで好都合と俺は町外れの大きな教会の扉を開いた。


「やあ」

「…ニコ」


シスター服に身を包んだコイシ。

少し苛立った表情を浮かべながら俺を見据えている。


「また、戦争を起こしたんだね」

「まぁたその話?勝ったから良いじゃないか」

「勝つ負けたの話じゃない、またこれだけでどれだけの人が…」


流石、平和主義。

言う事が違う。

一つの命でも大事。

今の、この世の中にはゴミの様に人間が増えている。

その人口を減らしている俺は何か間違えたことをしているか?

何事にも、量はほどほどに。

好きな物でも沢山食せば吐き戻す。


「お説教の方は遠慮しておくよ」

「全く、君は……」

「ところで、コイシのアレは今でも健在か?」

「何を…まあ、一応……何をするつもり?」


俺が指すアレは、この世界で魔法と呼ばれるもの。

化学では説明のしようがない能力。


コイシ…コイシ・リヴァイヴァル


こいつはその魔法が使える。

人々を蘇生させる能力。

怪我も病も死にたてほやほやならまでならいける。

人が死ぬことを嫌うコイシにはぴったりかもしれない。


「いや、まだ使えるかな、と。個人的な興味さ」

「そう、じゃあ用が無いなら帰ったら?」

「冷たいなぁ、じゃっ帰りますよぅ」


冷たい態度に少ししょんぼりしてしまう。

俺だって、“恐らく”人間の筈だ。

そんなだだ下がりな気分を上げるべく

裏の人間が集まるBARに寄ってみた。

少し古めの扉を押すと古びた鈴が乾いた音を鳴らす。


「やあ」


一声マスターに声を掛けると周りで呑んでいた悪人ヅラの男女の視線が俺に一斉に注がれた。

鬱陶しい。

が、気にしない素振りでマスターから一番近い所の席に着いた。


「やあ、久しぶり。リト」

「おやあ?久しぶりじゃないか、暴君総統」

「酷い言い草だ」


マスター…リト・トゥレチェリイ


この国の…闇の部分を担当している。

強い、その裏には多くの弱点があっても良いものだ。


「最近はどうだ?」

「まあまあだね。何飲む?」

「…ウイスキーのロック」

「はいはい、どーぞ」


カランカランと氷の音を鳴らしながらコップが目の前に出てきた。

それにちびちび飲み始める。

最近、特にこれと言った情報は入ってこないな…。


「隣国の情報は何か入ってきた?」

「いんやぁ?なんにもぅ。そんなに気にしてんの?」

「まぁな、違いとは言い切れない」

「そっか」


一気にコップに入った液体を飲み干して立ち上がる。


「お客さん、お勘定は?」

「ツケ払いで」

「まただ」


逃げる様に店を出る。

しょうがないから溜まった仕事でもしようか…。

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