第1章 零話 その2 「灰色の少女」
自分は世界から必要とされて無い。
つくづくそう感じる。
両親からは見放され、学校にだって居場所はなく
ゲームのギルドからですら追放ときた。
もう笑ってしまうしかない。
野良猫を撫でなから
「あーあ、生まれてくる世界間違えたなぁこりゃ今からでも異世界転移とか転生とか出来ないかなー・・・・・・なんて」
自分の馬鹿らしい発言に、また猫に逃げられた自分に苦笑し、
「キミもボクから逃げるっスか。」
寂しそうに呟き
「はぁ、向こうの世界に行きたい。
なんであんなにも主人公達は輝いてるんスかねー?主人公補正マジ欲しい。」
「あーあーあー、トラックとか突っ込んできて
目が覚めたら異世界に居たりしないかなー!!」
大声で叫ぶが何も起こらない、人が居なくて恥ずかしい思いしなくて良かったと心底思う。
自分にもまだ心があるようで安しー
「ーん?え?ちょ、マジ?」
その時、少女の目の前にめちゃくちゃデカいトラックが?
――何の変哲もない路地なのに!?
思わず目を瞑る少女
そして、思う
――あぁ、やっとこの世界とおさらば出来るんスね――
――ん?痛みないぞ?え?もしかしてトラック、ボクのこと避けた?うそうそうそ、待って待ってなにそれボクめっちゃ恥ず――
またしても心の中で言葉を発しきる前に状況の変化に気付く
――あれ、なんか、風、ある――
目を開けると晴れ晴れした青空と眼下に広がる森
綺麗だ、まるで現実世界じゃないみたい
「ん?眼下・・・あーやっべ、落ちてる。」
焦らず状況を察した彼女は絶賛落下中なのだった。