第1章 零話 その1 「プロローグ」
「・・・・・・・・・あれが誉れ高き魔王様の城ってか。何とも豪勢なもんだな。うちの王様の城よりでけぇじゃねぇか?」
とふざけまじりに場を和ませるように赤髪の青年が呟く。
それに
「まぁ、一国の王とは違いあちら様は魔族全体の王だからな。あれを今から壊すとなると気が滅入るなぁ。」
と鮮やかな空の色をした盾を装備した青年がめんどくさそうに答える。
「ていうか、帰っていい?マジ怖いんですけど?」
めんどくさそうな様子にヘタレ要素も追加された。
「何言ってんの?帰った王国大変な事になるでしょうが。シバくわよ?」
最初に口を開いた青年よりより赤みがかかった紅色をした髪の妖艶な美女が座り込んでいるヘタレを蹴飛ばしながら、
「それに、私達には"あの人"がいるでしょ?何も怖いものなんてないわ。」
と満面の笑みで言葉を繋ぐ。
「まぁ、確かにうちのリーダーは最強だからな。強すぎる。ホント。化物。」
赤髪の青年が罵倒混じりに強さを賞賛する。
「さて、不安も拭えたとこで・・・」
「いや、全然拭えてないない。マジ怖い帰る探さないでください。」
「他の隊に"勇者本隊"突入するって、連絡ヨロシク!」
ヘタレの言葉にはもう誰も耳を貸さない。厳しい世の中
「あー、あと誰かリーダー呼んできて」
美女が手を高らかに上げ自分が行く!っと主張する。
「魔王討伐にはリーダーの・・・いや、歴代最強の"剣の勇者"の力がいるからな。さて・・・リーダー来る前に少し敵を減らしに散歩でもしに行くか!ヘタレ盾」
「え?嫌だ嫌だ嫌だァァァあああああ」
そんな絶叫と共に魔王討伐への歴史が動く
だが、この魔王討伐の任務でさえ後の冒険の前日談でしかないことを勇者達は知るよしもない・・・