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第2話 墜落②

 墜落現場は少し木々が開けていて延焼はほとんどなさそうだった。


 と言うわけで、やって参りました来てしまいました。何をするか決めてなかったのだが、割と使えそうな残骸が残っている。これは回収して生活の足しにして、と言われているもんだ!チャンス!

「へっへっへ、らっきいー」

 どっかの変態さんと疑われてもおかしくないセリフだがここには僕一人、冒険者の本領を発揮してみせるっ!

 と息巻く少年。ただ純粋に基材集めに邁進しようとしている。


 勝手に人の物取っていいの?と、思うだろうが、今のご時勢、そんな事故の詳細を調査できる国、または自治体はほとんどない。目下の課題で手一杯なのだ。治外まで回す労力が無い。こういう近場の林でさえ、放置されている。故に冒険者なる職業が成り立つわけだが。


 話を戻すと、落とし物は拾った人の判断で、という事だ。基本的に落とす人が悪いのだ。


(魔法で対策すればなんとかなるしね。)

 そうなのだ。すごく高価なものには『目印(マーキング)』等使えば良いし、魔力が籠もっているなら『探知(サーチ)』も可能だ。それでも探知できないのは、その物事体の魔力回廊が壊れて使い物にならない状態か、徹底的に隠されているか。くらいだろう。



 今回のような場合は(無論前例など無い)飛空船事体壊れているので、取っても(盗っても)構わない。の判断の下、某は回収に勤しむであります!




 しかし、流石に倫理観ゼロではない。流石にする事はしなくては、寝相が……ん?寝入りだっけ?…あっ、寝癖だ。寝癖が悪い。(本人自覚無し)何かって?それは勿論、生存者確認だよ。

「というがあれじゃね〜」

 かなりの速度と高度だった。全員即死もあり得るな、酷い事故だ…とまともな事を考えながら部品集めに邁進する。


っと、一人目発見。…即死か。心臓は止まっていて、体の損傷も中々ひどかった。

「ん?なんだろ」

 その人のポケットに、リストが入っていた。そして身分証、確認するとこの船の副船長あたりらしい。リストの方は、乗組員の数と名前と位と性格が書いてある。なんのための船かいまいちよく分からない。移動にしては戦闘員が多いし、兵役演習じゃないのはすぐ分かったけど。と思ったら二枚、


【奴隷商品・商品番号906の取り扱い】


 と、書いている。

 どうりで、怪しいと思ったら、こういう事か。


「まあいい。胸糞悪い話だが一々首を突っ込む事は無いか、」

 そう言ってベリクは小さな玉を取り出す。自分の魔力を使い結晶化させた水の魔玉。効率はいいとは言えないが、今の魔力を使わなくていいし、反応が少量の持続性を持たせる事もできる。

 それをある程度片付けた(盗った)現場の中央あたりに投げる。搭乗数はさっきのリストで判明している。リストを見つけてこの行動をすぐ行なうあたり、彼はまだ人間性を失っているどころか、この世界の常識に当てはまるとかなり甘い、が優しい。


 世界に翻弄され辛い思いも沢山あるのに、こんな性格なんは、一重にあの『夢』のおかげなのかもしれない。


 …今回に至っては、全てと言えるかもしれないが…



 魔玉が反応して霧を生みながら魔力を放出する。

 霧は火を少し弱める程度だが本質はそこじゃない。僕の魔力は当然僕が一番知ってる。よって感知しやすいが、変化する場合もある。炎に触れた時、炎が出す微量の魔力と混ざって変化する。火や物だけでなく、それよりも、


 人と接触した方が色濃く変化する。


「…さっきのリストで人数は分かった。後は情報を拾うだけだ。」

 集中する。解析はかなり難度が高い。一番早く分かったのは全体の人数。…26、27、28、29。よし、全員の反応あり。残念ながら、バラバラ死体までこの人数では把握出来なかったが、数はあっているようだ。後は、一人ひとり生死を確認する。

 やっぱり副船長と同様、即死が、多い。十人くらい見て全体を見る。ほぼ全員同じ死に様だな…ナムナム…

「一人生きてる?」

 自分の探知を少しフォーカスを合わせる。

 …やっぱり生きてる。


 急ぎ駆け寄る


 反応地点に近づく


  (あり…がとぅ)

 あの『夢』だ



 …なんでこんな時に…?



  (…見つけてくれて)

 そうかい?

 …それは良かった…








 息を吸う。

 いつのまにかその地点のすぐ側まで来ていた。

(呆けてる時じゃないっ!)

 生存者がいるのだ。魔法の補助を受け、慎重にかつ素早く瓦礫をどかす。


 あんな事故、


 あんな衝撃が、


 あったのに…



 その子は静かに眠っていた。






 格好と状況からして、多分この子が商品番号906の…

 格好は黒のボディースーツらしきものに沢山の、『拘束具』だった物、激しい衝撃で壊れている。

 それだけでも目を引くが、それよりも、ヘルメットからのぞく長い金髪と、キツネ耳。腰のあたりには、先の茶色い同じく金色の尻尾。狐人族か。

 沢山怪我をしている。厳重な装備のおかげで死ななかったのか、体中にある。しかし外傷だけなので、僕でも治療できる。

 瓦礫群から移動して急いで治療をするとしよう。


 平らな地面にその子を寝かせて、額とお腹を軽く触れる。女の子なので少々ためらわれるところもあるが、、脱がすよりいいだろ…

 と言うわけで、彼女の体に魔力を流し、彼女の魔力の狂いを見つけ、修復そして怪我を治す。



 という判断までは…よかった。

 適切な対応だった。僕は何も悪くない!


 だけど考えりゃ分かった事だ。

 だって急に人の魔力が流れたらびっくりするのは周知の事実だけど…

 そんなに沢山流した訳じゃなかったのに…


 結果、流し始めた途端彼女は魔力を暴走させた。


もう少しこの状況続きます。後一話くらいで終わると思います。

今話もお読みいただきありがとうございます。

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