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第7話 魔法以外も学ぼうよ

今日は2歳の誕生日も過ぎた3歳の誕生日。


本当は1年で魔力制御をものにしたかったのだが、納得いく結果が得られなかったので結局2年を費やした。


その間も魔力を増やす事は怠らなかったので、現在僕の魔力は結構な量まで増えたと思う。


そして肝心の魔力制御の方は、訓練に訓練を重ねた結果、複数同時発動は勿論のこと、魔力の微調整も可能に、そして、身体中のあらゆる所から魔法発動が可能になった。


また、ワープ等の特殊な魔法は存在すらすっかり忘れていたので、途中から訓練を始めたが、半年前にマスターできた。


魔力制御についてだが、普通は手以外の部分では身体強化が精一杯らしい。それでも関節の部分等は身体強化が難しいという。


約半年前に、マリーに背中から炎の羽を生やすところを見せて上げたら、固まって頬を引き攣らせていたから異常なのだろう。


まあ、僕は(特に何もしていないけれど)この世界の創造主なんだ。

もっと強くならないと平和へと導くなんていえたもんじゃないしな。


等という使命感は今のところ無い。


ただ暇だからやってるんだ。

面白いから続けてるんだ。


現代日本に生きた前世では、娯楽は有り余っていた。


カラオケ、ゲームセンター、遊園地、

テレビ、パソコン、ゲーム等。


それが全て無い状態になると、僕は我慢が出来なくなった。


この世界の人達は、暇の潰し方を知っている。


前世の記憶のある俺は、それを知らないし、暇に耐えられない。


だから、魔法を極めようとした。

それだけだ。




      ◆◆◆




毎年のように誕生日の夜の月を、自室から眺める二人。


「今日はお疲れ様でした。アズベルさん。」

「あぁ、さすがに今日は疲れたよ。」


なにせ、父さんが3歳の誕生日からは、知り合いを呼ぶことにしたからな。


今まで呼んでいなかった分、今日が実質僕のお披露目の日みたいに感じた。


大勢に囲まれて、やれ可愛いだの、家の子と仲良くしてやってくれだの、休む暇がなかった。


「来年はあんなのはしたくないな。」

「何言ってるんです。来年から年をとるごとに、どんどん派手になっていきますよ。」


マジかよ。考えるだけで気持ち悪くなる。前世では碌に人と話す事なんて無かったからな。コミュ力皆無の俺。


「今までは、魔力増加と魔力制御をやってきたけど、次は何をしようか?」

「無詠唱での魔法に加え、並外れた魔力制御。まだ他に、何を求めるのです。はっきり言って魔王にでもなるおつもりですか?」


おいおい、魔王って。


「そこまで僕はヤバイ奴か?」

「そうですね。実際、アズベルさんはまだ3歳です。それでいて、魔力量は宮廷魔導師並、魔力制御は比較対象がいないなんて、まさしくヤバイ奴ですね。」

「そうか…僕、ヤバイ奴なのか…」


なんとなく分かっていたけど、まさかマリーにまで、そう言われるとはな。


なんか傷つくんだけど!!


もうっ、マリーお姉ちゃんなんて嫌い!アズ、悲しいよぉ!


「そう気を落とさないで下さいよ。」


そう言って、マリーは愚図る子供をあやすかの様に僕を抱きしめてきた。


「マリー…」


グシグシと、柔らかな胸に顔を押し当てる。


「んっ。…よしよし。」


(いくら凄い人でも、アズベルさんはまだ3歳ですものね。私がしっかり慰めてあげないと…)



      ◆◆◆



五分ほどマリーに慰めて貰った後、今後の方針について再度話し始めた。


「さっきは見苦しい所を見せて済まなかった。」

「大丈夫ですよ。アズベルさんの可愛いらしい所を見れましたし。」

「そ、そうか。なら良いんだが。」


あの時は、本気で甘えてしまった。

マリーは優しいし最高だ!あと、柔らかいし!


「僕が思うに、魔法の訓練も続けるけど、今後はあまり重要視はしなくても大丈夫だろう。それよりも次は剣技を学ほうと思う。」

「そうです…か?なぜです?魔法をあれだけ使えるのに、何故剣技を?」


まあ、普通はそう思うだろうな。


「なあ、マリー。確かにそう思ってしまうのは分かる。だが、本当にそれで良いのか?」

「えぇ。普通は魔術師を目指すならば、魔法を極めようとし、騎士を目指すならば、剣技を極めようとするのでは?」


ふふふ、そう言うと思ったよ。

ラノベで学んだ知識、今ここで披露してやる!


「それが常識だ。」

「でしょう?だったら何故?」

「まあまあ。常識が全て最も良い答えとは限らないのだよ。マリー。」

「どういうことです?」

「それは、最終的に国の軍に属することを前提とした常識だろう?」

「普通はそうです。」

「そこが弱いんだ。魔術師は、遠距離戦が得意で接近戦が苦手。騎士は、接近戦が得意で遠距離戦が苦手。魔術師と騎士が合わされば強くなるが、戦うとなれば立ち位置によってどちらか一方が不利になる。」

「確かに…そうですね…」


国の軍に属するならばそれで良いが、僕はそんなつもりは更々ないからな。


「だから僕は、両方を学ぶんだ。折角学ぶ事が可能な状態にあるんだから。」

「…分かりました。剣の先生に関しては、私が手配しておきます。それでもアズベルさんはまだ3歳です。決して無理を為さらぬように。」

「ああ、分かっている。ありがとう、マリー。」



さあ、頑張っていくぞ。

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