第5話 魔法は恐ろしい(色々な意味で)
「ふぅ。」
卓越した表情で、僕は遠くを見た。
「ナニした後だったら、そんな顔になるんですか?」
マリー!それだと意味合いが、微妙に受け取り方によって変わってきてしまう!
「排泄に決まっているじゃないか。」
「まあ、そうですけど…それ以上の何かを感じましたから。」
何なんだ?!それ以上の何かって!何となくわかるけど、凄く自重した方が、良い気がするから敢えて言わないよ!僕は!
「そうなの?!まあ良いよ!さあ、勉強しよう!」
「そうですね。」
マリーは僕を抱いて、軽く揺らしながら話し始めた。
暖かいなぁ。マリー、柔らかいなぁ。
「まず、初めての授業なので、魔法の概念からお教えしますね。」
おお!早速来た!楽しみだなぁ!
「魔法とは、魔力を基にして現象を起こします。魔力は、全ての生命体が持っていて、血液と同じように身体全体を循環しています。」
ふんふん。俺の設定通りだ。
「魔法を使う際には、一般的には詠唱が必要となります。」
…は?おい、ちょっと待て。
僕は魔法を使うにはイメージが重要で、詠唱なんてもん一々考えるのが面倒くさいという理由で、無しにしたはずだ。
「詠唱が!詠唱が必要なのか!?」
「はい。普通はそうですね。」
クソッ!アイリスめ!いきなりミスってんじゃねぇか!
詠唱がないと魔法が使えないなんて、英単語の暗記とほぼ変わらねぇ!
…ん?普通はそうだ、と言ったよな。
「おい!マリー!詠唱の代わりにイメージ力で無詠唱にすることが可能とか、そういうの!ないのか?」
「えっ?良く分かりましたね!その通りです。普通は詠唱が必要ですが、有名な魔法使い様とかは、明確な魔法のイメージを持つことにより無詠唱を可能としています。」
ぃやぁッたぁぁぁあ!!!
無詠唱、可能なんだ!!
ラノベの異世界モノの主人公がことごとく使用する無詠唱!これがなくちゃ、魔法じゃないよな!
「えっと、魔法には多くの種類があり、現在使用されているものは、4種類です。
一つ目が、自然魔法。一番基本の魔法であり、多様性に富んでいます。
二つ目は、召喚魔法です。魔方陣を用いて、魔物等を召喚します。
三つ目は、精霊魔法です。精霊と契約を結ぶ事により、使用可能となります。難易度は高いですが、その分強力な魔法を使うことが可能です。
四つ目は、禁術魔法です。これは、連盟によって使用に制限が掛けられており、協会や王族の許可がないと、魔法を使えません。勇者召喚がこれに当たります。
後補足として、遥か昔には存在したとされる古代魔法があります。その力は絶大で使用すると破滅をもたらすともいわれています。まあ、あくまで昔のお話です。」
うん。ここまで聞いたが、大丈夫そうだ。
「成る程な。魔法には属性とかはないのか?」
「ありますよ。しかし本当に勘が鋭いですね。びっくりです。」
そりゃ、その設定作ったの僕だし。
「まあ良いじゃん。それで、続きは?」
「はい。自然魔法には、火、水、風、土、光、闇、無、の計七つの属性があります。ちなみに、光は聖職者が、闇は暗殺者が好んで使います。無属性は、ワープや、魔力吸収、防護障壁等が当てはまります。」
「分かったよ!じゃあ、早速使ってみよう!」
ものは試しだ!!
うぉぉぉぉ!俺の右手より、炎よ!具現化せよ!
イメージ!
「えっ?!ちょっと待って下さい!詠唱なしでどうするおつもりですか?ましてや、赤ん坊なのに魔法を使うと、魔力切れを起こしてしまい…」
マジかよ?!そんな設定作ったっけ?
いや、よく考えたら、当たり前の事だな。それ、やばいんじゃ…
ボゥッ!
…あ、れ?気絶してない?!
「…うぇーい!!出来たぞー!!」
「そんな…嘘でしょ…」
俺は、元々魔力が多かったって事だな!!
「良し!この調子で…」
我の左手よ!氷を具現化せよ!
イメージ!
バキィィン!
「出来たぞー!…ぉ?ぅぇ…」
あ、やべぇわ。これ。
カクッ…
「アズベルさん!ほら、やっぱり魔力切れになったでしょ!!」
ごめんなさい。謝るから、早く助けて…
アズベルくんの意識は、一時的にブラックアウトしました。